言葉による音楽的な日々のスケッチ

作曲講座受講日記と、言葉による音楽的日々のスケッチを記録

ペンギン的な愛に学ぶChaosな一日

2007-05-17 23:44:29 | 作曲理論講義/受講録
二ヵ月ぶりのペン大講義でした。

菊地さん、出掛けに二時限目のジャズ科の講義で使おうと
先日のNHK放送で一番好きと言っていた
マイルスのCDをパリンと割っちゃって、
もう一枚あったはずだと探してるうちに20分遅刻したそうで(笑)
ご自身の奇行を気候のせい(?)みたく言っていて(笑)
面白いなーと笑いつつ、それに納得せざる得ないくらい
この日は私にも混乱した一日だった。

ミッションが多い月曜なのに、あさ駅に行ったら
電車が止まっていて、迂回したため到着が30分遅れる。

貴重な朝の時間が、、、じゃなくとも月曜は週末の不摂生で
時差ボケ気味だというのに。にしても、
やけに頭がぼーっとする。のも当然、発熱していた。
風邪をひいたらしい、、

午前中、時差を取り戻しながら熱をおしつつ
ミッションをこなしたせいか、
帰りぎわには既に水曜日くらいの気分になる。

でもペン大には行こう、這ってでも行っちゃおう、
やる気いっぱいにもかかわらず
昨夜寝る前に指差し確認したのに
ノートや楽譜やキーボードなどすっかり忘れていた(笑)

仕方ないので会社で使うレポート用紙を持っていく。
こんな日は、お後もよろしくて、帰りの沿線の駅で、
電車が遅延して来なかった、、、
こんなにあまりないことが続くなら
宝くじすら当たる気がしてきましたが(笑)


さて、2回休んでしまった間に既に終わったと思っていた
「三月の水」の最後の分析、大架橋である
ペダルポイント(ベース音が固定されて
上部和音のみが動く演奏・・・バッハの時代の音楽で言うと
通奏低音みたいなやつかな?)
で、菊地さんがペダルポイント(オルガンポイントともいう)の
例として実際にバッハのオルガン曲、トッカータとフーガを
口と身振り手振りで演奏してくださる(笑)

久々の講義で感じる、音楽のこと。この講義のこと。
ジョビンのこと。マイルスのこと。愛のこと。
菊地さんの講義になぜこんなに魅力を感じるのかと思えば
それはただならぬ音楽への愛、教えることへの愛、
学ぶ人への愛、芸術への愛、それを純粋に感じるからだと思う。

正直なところ、菊地さんを初めてネットで拝見したとき
(その直後に日仏学院でスパンクハッピーのあの伝説のライブを観た)
この方はナルシストなんだ、と思っていた(笑)
もちろん、人は誰でもナルシストで自己愛人間なんだけど
(そして菊地さんはそれを少し面白がっているような・・・)

彼の生徒なら、格好もあんまりなりふり構わず、
生徒&音楽本意な教師としての菊地さんの姿を知っていると思う。
内容とともに、そんなことも感じ取って
みな学びたがるのではないだろうか。

以前、岸野雄一さんがEsquireに菊地さんが講義で
熱弁を振るうところを「忘我の境地」と書いていらしたけど
本当にそうなのだ。それを久々に感じたし、
なんだかそれによって、学ぶほうは学んだこと以上の
何かをもらって帰るように思うこともある、というのは
ふと思い出したことがあって、それは
ず~っと、もう映画美学校の音楽美学講座の初等科のとき
初めての作曲(コード進行のみ)の宿題を提出したとき
菊地さんがそれを演奏して「この人にいったい
何があったんでしょうか!?という位に暗い進行ですね」(笑)
と言われたとき、私自身、意図せずに出た
哀しくなるはずの表現がすっごく可笑しくなって
皆が笑って、なんだかすっかり救われたのだ(笑)

だって、ぜんぜん暗いと思わずに弾いていて
今振り返ればそれはAm7から始まる4度の動きなんだけど
最後だけ、Fm7とCM7のメジャーコードで終わる単純なもので
頭の中では少し違うメロディーとピアノによるリズム的な
ビート感があったから、暗いイメージはなかったのだった。


架橋であるジョビン「三月の水」の最後のフレーズは

elis e tom - aguas de mar�o



もっとも幸福に満ちたデュエットのやりとりの箇所で
後に誰もがこのときのエリスレジーナのヴォーカルのように

「ぷっと可愛らしく吹き出しながら、時に笑いながら歌う」部分を
真似したそうだけど、誰も出来なかったそうだ。


二人の掛け合いが、互いをリードしあって
終わりに向かう部分には、立体交差のような
意図的と考えたほうが自然なほど
奇跡的なコード進行や効果が起きていて
でも、意図的ではなかったんだろうと思うような
幸福で自然な流れと臨場感に満ちているのだった。


こんな完璧すぎる曲を聴いたら、作曲をしたいなんて
思えなくなることもあるけど、好きだから、やるけど(笑)
本当に、少しばかりへこんだりも、するくらいに
凄い曲なのだった。



そして、ジョビンの曲の分析だったけれど、
テレビ出演に際してマイルスの話にもなり、
育ちのいいインテリおぼっちゃまだったマイルスは
どこか楽器同士の掛け合いとかアンサンブルというより
「喧嘩」のような格闘技のようなゲーム的な
ビバップを嫌いになっていったそうだ。
そして、そのあとギルエヴァンスらとともに
当時はまだ無かったおしゃれと繋がるような
洗練されたエレガントなジャズを生んでいった、とのこと。
(その後もマイルスは変わり続けるわけだけど)
私はまだそこまで読み進んでいないけれど

マイルスの音楽への、演奏への姿勢というかスタンス、
思想を深く愛せる「くだり」の文をもう見つける事ができた。
せっかくなのでそっくり引用したい。
マイルスは一人でギンギンに目立つ派手な演奏など
目指していなかった。それはとても意外だった。


これは、あらゆる楽器の演奏やアンサンブルについての金言だと思う。
私はこれでもうすっかりマイルスを愛してしまいました(笑)


「音符を吹くというのは、まずオレにとっては、
いいサウンドでなけりゃダメだ。オレはずっと
そう心がけてきた。そしてその音符が、
コードと同じ音域にあるようにしてきた。
ビバップのころは、みんなとにかく速く演奏していたが、
オレはやたらスケール(音階)をたくさん吹くのは嫌いだった。
オレはコードの中から、一番重要な音を拾おうとしていたんだ。
あの頃はミュージシャンの多くが、あまりにたくさんのスケールや
音符を演奏して、何も頭に残らないことばかりをやっていた。

音楽ってヤツは、スタイルがすべてだ。たとえば、
オレがフランク・シナトラと共演するとしたら、
彼が歌っているみたいに吹くか、彼の歌い方に味付けするように
吹くかなんだ。猛烈なスピードで吹いたりはしない。
オレはあの頃、シナトラやナットキングコールや
オーソンウェルズの節回しまで聴いて、フレージングについて
ずいぶんと勉強した。連中は、楽節とか文節とか句を
声で言いまわす真の達人だった。エディランドールは
「1フレーズ吹いて一息吸うか、呼吸に合わせて演奏しろ」と
よく言っていた。歌手の伴奏じゃ、ハリースイーツエディソンが
シナトラのバックでやったのがよい手本だ。
シナトラが止まったらハリーも止まって、ちょと先に行ったら、
わざと遅らせたりする。決して張り合わない。
歌手より絶対前に出ないで、間で演奏するんだ。


そいつがもしブルースなら、フィーリングを吹かなきゃダメだ。
感じなければ、できない。オレはセントルイスで
そんなことを学んでいたから、普通のトランペッターとは違う何かを
吹くんだと心がけていた。オレにもできるんだってことを
証明するためにな。ディズ(ディジーガレスピー)みたいに
高音で速く吹きたかったのを我慢してだ。
ビパップ時代の多くの連中は、そんなオレのことを軽く見ていた。
連中の耳は、ディズのことしか聞き取れなくなっていた。
みんな、ディズこそトランペッターだと思っていた。
オレみたいに何か新しいことをやろうとする人間は、
無視されるリスクをいつも背負っているんだ。

バード(チャーリーパーカー)はディズがバンドを辞めた後、
何か変わったことを求めていた。
トランペットの別のアプローチや、新しいコンセプトや
サウンドを欲しがっていた。ディズとは逆に、
バードを補って
目立たせるようなサウンドを求めていた。
だから、オレを選んだんた。バードとディズは、
ものすごいスピードでスケールを上がったり下がったりして、
どっちがどっちだかわからなくなるくらい似通ったことをやっていた。
だが、バードがオレとやると、ディズと一緒の時にはなかった
自由なスペースが生まれるんだ。

ディズはバードに、まったくスペースを与えなかった。
オレはバードにスペ-スを与えたが、
それこそバードが求めていたものだった。
「スリー・デューセス」でやりはじめた後も、
オレの代わりにディズを聴きたがる連中はたくさんいた。
そいはオレにもわかっていたが、オレはオレだ。」

*マイルスデイビス自叙伝1より

「オレはオレだ」!強力にかっこよくないですか!?(笑)


さて。お話変わりまして
愛といえば大好きな、愛しいペンギン愛。


ペンギンのオスは酷寒で体感温度マイナス80度のなか
みなで固まって卵を守って孵化させるわけですが、
父性愛が強くて、母親が戻ってきても
雛を返したがらないそうです。(涙)
やはり肯定ペンギン、いえ、皇帝ペンギン、
たとえつつかれてもいい。
キミをいつか思い切り抱きしめたい(笑)

菊池さんの速報に写真がアップされていましたが
あまりに可愛らしく麗しいペン大バッヂ。
やった!きっと売ってもらえるんだ~と思ったら
2個も好きなのを選んでいいとのことで
生徒全員に振舞われました。うれしい♪

(迷わず学生証とおそろいのパープルのバッヂと仲良くペンギン三人が踊っているやつを頂く)





























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