報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

「郵政民営化」とメディア(7)

2005年08月08日 16時51分14秒 | □郵政民営化
<「郵政民営化」法案 否決>

参院本会議「郵政民営化」法案決議。
自民党議員から投票は始まった。積み上げられていく白票(賛成票)。青票(反対票)を手にする自民党議員はそれほど多くないように見えた。自民党議員が投票を終えるころには、青票も少し積まれたが、何票あるかはよくわからない。公明党は全員白票。野党は全員青票。淡々と投票は進んだが、個人的にはちょっとしたスペクタクルを見る思いだった。結果は。

賛成:108
反対:125

17票差で、「郵政民営化」法案は否決された。予想外の大差だ。
自民党から22人の反対票が投じられた。投票の前に、議場を出る自民党議員もちらほらいた。欠席・棄権した自民党議員は8名。

裁決後、国会はただちに閉会。竹中平蔵郵政民営化担当大臣は、無表情だった。小泉純一郎首相は、衆議院を解散し、総選挙に入る意向を示した。野党は、受けて立つと表明。CNNは「日本の政治が劇的に変わるだろう」と速報を出した。

小泉首相は、衆院で反対票、欠席・棄権した51名の自民党議員を公認しない。この51名は、新党を結成して選挙を戦うだろう。小泉首相は、この51名に合わせて、にわか公認候補を立てることになる。しかし、小泉首相は選挙で勝てる気でいるとは思えない。公明党は、解散・総選挙を避けたい意向だ。負けが見えているからだろう。解散・総選挙は、小泉首相の断末魔の悪あがきでしかない。来年秋には、自民党総裁の任期も切れる。どうころんでも、彼は終わった。おそらく、アメリカからも捨てられるだろう。竹中平蔵氏もアメリカに錦を飾れなくなった。ウォール街も、否決のニュースに落胆していることだろう。

「郵政民営化」法案が否決されたからといって、安心はしていられない。大きな流れが変わったわけではない。日米関係の、富の移転の構造そのものは変わっていない。「構造改革」が必要なことは事実である。輸出主導という日本の経済構造は、アメリカにモノを買ってもらわないと成り立たない。この構造がある限り、日本は永遠に富を奪われ続ける。小泉首相の「構造改革」は、日本の富を効率よくアメリカに移転するための改革でしかない。その本丸「郵政民営化」法案が自民党自身の手によって、潰されたことは歴史的出来事であると言える。

真の構造改革とは、日本の輸出主導という経済構造を改革すること以外にない。