laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
楽しく気楽につぶして生きてます。

キカクとキカク

2023-09-15 | kabuki a Tokio

公文協巡業西コース見てきました。

公文協の巡業超久しぶりな気が…
タイトルのお方を堪能してきました。
し、しかし空いてる……
 
土屋主税
 
私、この芝居見たことある?とまた自問自答。歌舞伎データベースでちらっと調べた限りこの20年くらいはがんじろさん(元カンジャクさん)の独占状態でほぼ西でしかやってないから初めてなのかも。
なんつか「裏松浦の太鼓」のイメージ。登場人物も設定もほぼ同じ。(腰元の兄がこちらの芝居では源吾じゃなくて勝田なんちゃらさんだったりするけど)
見慣れてるせいか、どちらかというと松浦・・のほうが好きかなあ。でも殿様の設定はこっちのほうがいいかも。松浦・・・はあまりに馬鹿殿なので。
役者さん。がんじろはんはまあ持ち役だけあって安定。しかし見るたびに太るねぇこの人。これ以上太ると健康にもよくないのでは、などと余計な心配を客にさせてはいけないので、福々しい、程度で抑えていただきたい。
はるばる板橋くんだり(失礼)まで来たのは亀鶴くん見たさ。一時のナンバー3、かどうかは別にして今でも大好きな役者さん。最近は見かけても台詞二つ三つみたいなことが多くて寂しい限りなので。
大高源五、とても良かったです。ただこの方も最近やや太りすぎ?いやがんじろさんと比べるとだいぶシュッとはしてるんだけど、こういう白塗りやるにはちょいと見た目が・・・痩せればかっこいいのにともったいない気持ちが。
 
前段は宗匠其角と弟子の子葉(源五)のほぼ二人芝居。
其角の橘三郎。なんかお久しぶり?だけどとても良かった。この人も脇役国宝になってもいいんじゃ?と思うくらいの渋い役者さんだよね。その其角に相対するリアル亀鶴。はい、タイトルですねぇ。オヤジギャグですねぇ。
いや二人の感情のもつれあい、そして源吾の口には出せない別れ。そんなものがとても良かった。
そこに絡む第三の男。ごめんなさい。がんじろさんのお弟子さんだと思うのだけど名前がわからない・・・この人もとても良かった。二人のキカクと充分対峙してて、若若しいが故に武士は二君にまみえず、を貫きたいんだろうね、きみは。と納得してしまった。
 
後段、土屋さんが登場してからはどうも丸っこいのが気になってしまい、前段ほどの緊張感は得られなかったのだけれど。そして腰元さんの兄さんとして新たに勝田なんちゃらを出す必要があったのか、とかいろいろ考えてしまい・・・考えてるうちに寝てしまい・・・ww
 
しかし土屋さんちも吉良さんちのお隣で松浦さんちもお隣なら両隣ってこと?と気になってしまったので調べてみましたよ。
実際は土屋さんちがお隣で松浦さんってのは実在しない旗本さん。完全フィクションとして作られた松浦の太鼓にたいして、俺もこんなのやりたい!ってんで何代か前のがんじろさんが新しく作らせたのが土屋主税、ってことらしい。まあ昔らしい話だね。
 
個人的にはキカクとキカクと若侍の三人芝居の前段だけでも充分満足でした。
 
汐汲
 
例によって前知識ゼロなので亀鶴がまた出てくるとは知らなかった。土屋主税だけで帰ろうかと思ってたくらい。幕あいに雨が降ってたのでとりあえず見るかってんで残ったら・・・あらまあ、亀鶴くん踊ってるじゃないですか。しかも潮汲ってこんな押し戻し紛いが出てくるヴァージョンあったの?ってくらいすごく楽しかった。
せめてチラシくらいは見ないとなあ、とちょっと反省(たぶん改善しない)。
幕開け。チョンとともに吉弥さんの汐汲。隣のおばあちゃま二人組が「わあ!綺麗!」。確かに綺麗だけど踊りはイマイチ・・・吉弥さんならちゃんとお芝居で見たかったなあなどとぶうたれてたら。
あらま、あらま、あらま。
めっちゃかっこいい赤面さんが花道方向からお見えになった。
白塗りのときはちょっと痩せてよ!と思った亀鶴さんですが赤面すると貫禄があって逆にかっこいい。
見得も綺麗で力強くて、荒事なのに品があって・・・技術のある團十郎(もちろん十二代目ですよ!)って感じでしたw
亀鶴くん、本当に実力のある役者さんなのだけど何でも出来ちゃうから中途半端な感じになってるのかな。私もくん付けしたりさん付けしたり、年齢的にも中途半端なのかも。
へこたれずに酒飲みすぎに頑張ってください。アフロヘア赤面やらせたら彼の右に出るものはいない!というくらいになって欲しい。團十郎というよりは個人的には血縁関係なく第二の段四郎的な存在になって欲しい。瀬尾、頓兵衛、義平次・・・全部いいと思うよ!
しかし、あの赤面さん、誰だったんでしょうか?本当汐汲であんなの見たの(たぶん)初めて。
 
冒頭にも書きましたがもう少したくさんのヒトに見ていただきたかったなあ。それなりに良い芝居だったのになあ。役者さんたちは客入りの悪さにめげずに熱演していて嬉しかったです。