SakuraとRenのイギリスライフ

美味しいものとお散歩が大好きな二人ののんびりな日常 in イギリス

イギリスの学生を勉強させる素晴らしいインフラ

2013年12月14日 | 【イギリス生活】学生生活
イギリスの大学院に通っていると、日本とは全然違うなと感じることがいくつかあります。
今日はそのうちの一つをご紹介したいと思います。
ただし、Renは政治学の大学院で勉強していたことはないので同列に並べることはできないだろうし、そもそもRenが大学を卒業したのはもうずいぶん経つので事情はかなり変わっているかもしれない、ということを念頭に置いて読んでいただければと思います。

よく言われているように、こちらでは毎週のようにかなりのリーディングアサインメント(これを読んできなさいねという宿題)が課せられます。
ただ、これはRenが通っている大学・学部だけかもしれないのですが、時々アメリカに留学されていた方から聞いていたような「毎週読み切れないほどの文献が指定される」「毎週このくらい(40~50センチメートルを示すジェスチャー)本を読まないといけない」ということは、現在までのところありません。

一例として、ある週(真ん中の10月28日から始まった週)の予習文献を数えてみましょう。

授業(1):論文1つ
授業(2):論文6つ
授業(3):論文2つ
授業(4):文献1の2つの章+文献2の2つの章

こうして挙げてみると、「読み切れないほど」とか「40センチ~50センチ」という量とは全然違うのかなという感じがします。
それでもRenの英語力ではこれを読むだけで大変苦労しました。
上の例よりもたくさんの文献が指定される週ももちろん珍しくなくて、これとエッセイやプレゼン等が重なってしまって、ちゃんと文献を読み込めないで授業に出るというスリリングな体験をしなければならないことも何度かありました。
英語力の向上が急務ですね。冬休み中にどれだけ上がるか分かりませんが。

そして、量がこれだけであるということは、留学体験者からたまに聞いていたテクニックである「スキミング」(≒斜め読み)を使わなくても間に合う、ということを意味します。
いや、むしろ、スキミングはあまり好ましいものとはされていないようです。
ある授業で我々学生が先生の質問にうまく答えられなかったときに、「ただスキムするんじゃなくて、文献を注意深く読んでこないとだめじゃないか」と叱られたことがあります。
Renは本に線を引いたり書き込みをしながらでないとちゃんと読むことが出来ず、どうしてもスキミングができない(しようとしても、ほとんど頭に入って来ない)ので、スキミングしないととても間に合わないくらいの量を指定されなくて大変安心しました。
他の国・大学・学部はどうかは分かりませんが、スキミングは英米の大学で学ぶための必須の能力ではない、と言えそうです。


さて、このように「そこまでめちゃくちゃではないけどそれなりに多い量」を毎週読むことになるのですが、「これらを必ずしっかり読んできなさい」と言われるかわりに、「必ず読めるように学生を支援する仕組み」がちゃんと用意されています。
それが、「大学図書館との連携」です。

毎週の必読文献・論文はシラバスにあらかじめ詳細に記されてあるのですが、これが図書館にも提供されており、図書館がこれをもとに「リーディングリスト」を作成します。
このリーディングリストにはリンクが貼ってあって、その本ないし雑誌がどこにあって現在どういう状況にあるのか(貸出中か否か)が分かるようになっています。
さらに、「American Political Science Review」や「American Journal of Political Science」をはじめとする有力な雑誌に掲載されている論文はオンラインで入手(&プリントアウト)できるようになっていて、わざわざ雑誌本体を探し出してコピー機で一枚一枚コピーする必要がありません。
こういう仕組みが日本の大学でもあったら、学生たちももっとしっかりと勉強できるのではないかなと思ったりします。

ただ、このためには満たされなければならない条件が他にもあります。
ある授業を履修しているのは1人ではないので、必然的に同じ文献への需要が競合することになります。
Renは日本で学生をしていた頃はあまり図書館に行っていなかったのでもしかしたら勘違いなのかもしれませんが、たしか日本の大学の図書館は基本的に本は1冊ずつしかなかったように記憶しています。
こちらの大学の素晴らしいところは、よく使われる文献が必ず複数冊あることです。(学部生も使うようなものだと5、6冊あることも珍しくありません。)
さらに、これらの本が①「一般書棚」(院生は学期終わりまで借りられる!)と②「Student Collection」(一週間借りられる)と③「Short Loan Collection」(4時間のみ借りられる)に振り分けられていて、どうしても必要(かつ③に所蔵されている)本だと、数時間待てばその文献が入手できることになります。
(一例として、King, Keohane, and Verba, Designing Social Inquiry(いわゆるKKVですね)の場合、②に5冊、③に2冊あります。)

これだけ至れり尽くせりの環境を整備されてしまっては予習をちゃんとしないわけにはいかないですよね。
英米の大学は学生をちゃんと勉強させている、それに比べて日本の大学は、、、みたいなことが言われますが、このようなインフラの充実度合も認識しておかないといけないのかなと思います。


おまけ。
Renがいま通っている大学の図書館名物のリフト(エレベータ)。
ドアもなく、ノンストップで動いています。



左側が上に行き、右側が下に動きます。



うまく乗り降りしないと身体が挟まれそうなので、毎回ドキドキしながら利用しています。
階段もあるけれど、このスリルが癖になってしまって、Sakuraといつも楽しんで乗っています。


(投稿者:Ren)


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