SakuraとRenのイギリスライフ

美味しいものとお散歩が大好きな二人ののんびりな日常 in イギリス

指導教授が決まりました

2014年02月27日 | 【イギリス生活】学生生活
2週間ほど前にようやく修士論文の指導教授(supervisor)が決まりました。
指導教授がいなくて授業を受けているだけなのはちょっと院生っぽくないなあと思っていたので、なんだか嬉しいものです。

嬉しくなって、指導教授のオフィスアワーに2週間連続でお邪魔して(先生はみんな1週間のあいだ2時間のオフィスアワーの設定が義務付けられているのです。)ミーティングしてもらいました。
一週目は修士論文で書きたいテーマや内容を大まかに説明。
関連しそうな文献のリストを作ってくるように言われたので、昨日(=二週目)にその宿題を持って論文の構成を相談。
来週中に論文執筆のスケジュールを相談する予定です。

実は指導教授になってくれた先生は、履修している「現代正義論」の授業の先生でもあるので、顔見知りでした。
秋学期の頃から何回もオフィスアワーに遊びに行っていてすでに良好な人間関係を構築できているので非常にやりやすいです。
不安な点は、この先生はPolitical Theory(政治理論)が専門の先生で、Renが書こうとしている実証的な政治学は専門外であること。
とはいえ、指導はしてもらっても、修士論文は自分の責任で自分の力で書くもの。
毎週の予習やコースワークにただ追い立てられるように日々が過ぎて行って、気が付けば修士のコースももうあと半年しかありませんが、良い論文が書けるように頑張っていこうと思います。


おまけ。
Renの通っている大学は人里離れた場所にあるため、大学のキャンパス内にいろんな施設が入っています。
レストラン(驚くほど美味しくない。)やスーパー(品質は悪い。そして不当に高い。)だけでなく、郵便局や銀行、美容院まであって、いろいろ我慢すれば街に出て行かなくても暮らせるくらいです。

カフェもいくつかあって、SakuraとRenは頻繁にコーヒーかティーを楽しんでいるのですが、面白いなと思うのは飲み物を頼むと必ずと言っていいほどクッキーがつくことです。


イギリスではみんなそうなのかと思いきや、街中にあるスターバックスや大学を出て歩いて15分ほどの場所にあるTESCO横のCosta(カフェ)で飲み物を飲んでも何もついてきません。
確か、ManningtreeのCafe Rioでもクッキーはついてこなかった気がする。(そういえば、このところ忙しくてずっとManningtreeに遊びに行けていない。。)
キャンパス内にあるという利便性のほかに、クッキーをつけてくれるところが、大学のカフェのお気に入りポイントです。


(投稿者:Ren)

Highgate Cemetery, London

2014年02月23日 | 【イギリス生活】旅行
最近はエッセイやアサインメントに追われる日々で全然余裕がありませんでしたが、今週末はようやく一息つけます。
ということで、週末にはるばるLondonまで遊びに行ってきました。
主な目的は日本食などの買い物、ついでにSakuraとRen初のLondon観光スポット、Highgate Cemeteryの訪問。

Highgate CemeteryはKarl Marxさんが埋葬されているということで、ずっと行きたいと思っていた場所(Renは有名人のお墓巡りが好き。)です。
Northern lineのArchwayで電車を降りて、10分くらい坂道を上るとWaterlow Parkが出てきます。
このきれいな公園の中を通っていくと、Highgate Cemeteryに到着です。

Highgate CemeteryはWestとEastに分かれていて、それぞれが入場料を取るのですが、お目当てのMarxさんはEast(入場料は£4)。
入口で墓地の地図(主な埋葬者の場所を含む)を無料でもらえたので、Marxさんを発見するのに全然苦労しませんでした。

これがMarxさん。


ちなみに、お墓の上には「Workers of all lands, unite」、下の方には「Philosophers have only interpreted the world in various ways. The point, however, is to change it」と刻まれています。(前者は『共産党宣言』から、後者は『ドイツ・イデオロギー』からですね。)
Marxさんのお墓に着くと、ずーーーーーっとお墓の前で立ちつくしているおじさんがいて(熱烈なファンなのか?)、お墓の前で記念撮影をしたい人たちで行列ができていました(おじさんが占領しているせいでお墓の前に立てない!!)。まるで巡礼スポットみたいですね。

ここはMarxさん以外にもいろいろと有名人が埋葬されています。

社会進化論(Social Darwinism)で有名なHerbert Spencerさん。


明治期の日本に来て帝國大学で教鞭を執ったErnest Fenollosaさん。


他にも、Renは存じ上げない方だけど、ものすごくユニークなお墓がたくさんありました。






Waterlow ParkもHighgate Cemeteryもとってもいい散歩スポットなので、晴れた日に訪問するのがおすすめです。


(投稿者:Ren)


Michael S. Lewis-Beck, Economics and Elections (The University of Michigan Press, 1988)

2014年02月07日 | 
今日は、Michael S. Lewis-Beck, Economics and Elections: The Major Western Democracies (The University of Michigan Press, 1988)をご紹介したいと思います。

本書は、「経済と選挙の関係(The Economy and the Vote)」という政治学において最も多くの研究を生み出してきたテーマの一つに関する様々な論点について、それまでの先行研究と著者の研究による知見の到達点を示すことによって、その後の研究において必ずと言っていいほど参照されるようになっている、いわば古典的な作品です。
副題に示されている通り、本書の射程は主要な西欧民主主義国(英、独、仏、伊、西、米の6か国)に限られていて、たとえば日本にそのまま当てはめることは難しいのですが、それでも本書の知見は現在の日本政治を考える上でも一定の示唆を有するのではないかと思われます。



さて、「経済と選挙」というと、Ronald Reaganさんが現職のJimmy Carterさんと大統領の座を争った1980年の選挙において、
「Are you better off than you were four years ago?」
と国民に(反語的に)問いかけ、勝利したという事例が有名です。

ではなぜ、この選挙において経済が重要だったのか。
もっとも単純なモデルは、それを以下のように説明します。
「経済が良ければ投票者は与党に報酬を与え(議席増)、経済が悪ければ与党に懲罰を課す(議席減)」(報酬・懲罰仮説)

しかし、物事はそう単純ではありません。
このものすごく単純なモデルをめぐっては、以下のような論点が提起されてきています。

1.投票者はその政党の過去の業績を基に投票しているのか、その候補者や政党がもたらすであろう将来の利得に期待して投票しているのか。
2.投票者は自分や家族の財政状況で政策を判断しているのか、、国全体の経済状況を見て政策を判断しているのか。
3.経済が良いときと悪いときで投票者の行動に差はあるのか(悪いときの懲罰は大きいけど、良いときの報酬はそれほどでもない、というようなことは起こるか)。
4.投票者の政策への感情は政策判断に影響を与えているのか。
5.国によって経済の影響の仕方は異なるのか。
6.政治的景気循環は存在しているのか(経済が選挙に大きな影響を与えるなら、政府は選挙前に様々な政策手段で経済を良くしようとするのでは?)。

先行研究の多くはそれまで時系列データの統計分析でこの問題にアプローチしていたところ、本書は個々人を対象にしたサーベイへの回答を分析することにより、より直接的に個人の投票行動を解明しようとします。(いわゆる「Colemanのバスタブ」の底の部分の推論がこの方法の採用によって可能になる、と理解できるのではないかと思います。初の試み(!)として、現時点でRenが理解している「Colemanのバスタブ」を下記のように描いてみました(Ren作成)。この方法の意義の解釈も「Colemanのバスタブ」の解釈もたぶん間違っているので、詳しい方がいらっしゃったらご指摘いただければ幸いです。)

実証部分を飛ばして本書の結論だけ書くと、以下のようになります。

1.先行研究の多くは投票者は過去の業績を基に投票している(将来のことはあまり考えていない)としていたが、実は投票者は将来の期待利得も同様に重視している。
2.国全体の経済状況を重視しての投票行動のほうが顕著。ただし、経済状況は将来的に自分の財政状況にも響いてくるからそう判断している可能性も捨てきれない。(確定的なことは言えない。)
3.先行研究の多くでは投票者は経済状況が悪いときの懲罰のほうが経済状況が良いときの報酬よりも大きいとしてきたが、実は投票者は両者に対して同じように反応している。
4.経済政策への「怒り」などの感情は、経済状況等をコントロールしても与党への投票にマイナスの影響を与える。ただし、そのメカニズムは明らかではない。
5.経済状況に反応した投票行動はどの国でも見られるが、そのあらわれ方は、それぞれの国の政治制度によって異なる。たとえば、連立政権はその政策に誰が責任あるのかが単独政権に比べて判断しづらいので、経済状況への反応の強さはその分弱くなる。
6.政治的景気循環は観察されない。その理由はおそらく以下の2点。(1)選挙のためにある政策を実施したとしても効果がいつ現れるか分からない、(2)投票者も選挙前にばらまき政策があっても選挙後にその分緊縮財政がされることを予想できるので、政府は短期的な景気浮揚策よりも中長期的な経済発展の道を示していないと評価されない。

それぞれの結論について今なお論争が続いていますが、Lewis-Beckさんの本書における結論の多くはいまだに維持されていると言っていいのではないかと思います。
(たとえば、Lewis-Beck, Michael S. and Mary Stegmaier (2009), "Ecnomic Models of Voting", in Russell J. Dalton and Hans-Dieter Klingemann (ed.), The Oxford Handbook of Political Behavior (Oxford: Oxford University Press), pp.518-537。)


ただ、、、こう言ってしまっていいのか分からないけど、どうもThe Economy and the Voteをめぐる話は、全体的に「そんなこと誰でも知ってるよ」というような話にしかなっていなくて、あまり「発見」という感じではないような気がしてなりません。
「そんなこと誰でも知ってる」からReaganさんは冒頭のようなことを問いかけたのだろうし、日本の選挙においても、経済政策(と与党の業績)は非常に大きな争点になるんだと思います。

やっぱり、「みんなの常識」について、「それがなぜ起こるのか」というメカニズムを解明しているのだ、ということでしょうか。
メカニズムが分かれば、その中の一つないし複数の変数を変化させたときに結果がどのように変わるか推測することができるかもしれない。
そう理解すれば、このテーマの研究も意味があると言えるのかな。

・・・バスタブの図を描いて満足してしまって考える気力がいまはないので、今後おいおい考えていきたいと思います。


(投稿者:Ren)

旧正月(でもキャンパス内は静か。)

2014年02月01日 | 【イギリス生活】学生生活
今週の火曜にプレゼンテーションをしました。
エッセイとかだと間違ったことを書いても悪い点がつくだけなのでそこまで気にならないのですが、プレゼンはみんなの厳しい目があるのでそんなに変なことはできません。
なので、プレゼンをしなくちゃいけないときは、エッセイよりもはるかに一生懸命に準備してしまいます。(そのくらいの頑張りをエッセイでもできたらいいんでしょうけど、それをしてしまうと身体がもたない。)

勉強の良いところは、とにかく努力をしてさえいれば、少なくともそれなりの結果は得られることです。(仕事だとそう簡単にはいかないですよね。。)
ちょっと失敗したかなと思う部分はあったけど、みんな興味を持って聞いてくれたからまあまあ良かったのではないかと自画自賛。

ただ、普段はだいたい26時頃には寝てるところ、プレゼンの前の2週間くらいから毎日28~29時まで起きて準備していた(その分、起きる時間も若干遅くなるんですけどね(苦笑))からか、プレゼンが終わってから数日、燃え尽きていました。
プレゼンが終わったと言っても、授業は普通に進んでいくし、すぐにエッセイの締切があったりするので、そろそろもとに戻らないといけないですね。
ということで、来週の授業に向けてリーディングに追われる普段通りの週末です。


さて、今日(1月31日)は春節(旧正月)。
Renが通っている大学にはたくさんの中国人留学生がいるので、この日はさぞかし賑やかになる(爆竹の音が鳴りやまないとか)んだろうなと身構えていたのですが、キャンパス内でそういうことをしたら怒られるからか、みんな授業の予習やアサインメントで忙しいからか、「大晦日」の昨日も、「新年」の今日もキャンパス内は普段通り。
今日は天気がとても悪かったこともあって、むしろいつもの金曜日より静かなくらいでした。

特別なことといえば、学内のレストランでChinese New Year特別メニューがやっていたことくらいです。
でも、美味しい中華が食べられるかも(もちろん裏切られました。)、と思ってランチに入ったレストランの店内には中国人はあまりおらず、ほとんどが欧米人の学生たち。
中国人留学生たちはいったいどこでお祝いしているのでしょうか。
さすがに学期中だから彼らも中国に帰ってはいないと思うんだけど、寮のキッチンでパーティをしたりしているのでしょうか。

そういえば、木曜に会った中国人の友人が、
「大晦日と正月に授業に出て、リーディングもたくさんしなくちゃいけないなんて、人生初めての経験だよ」
と嘆いていました。

彼は今週末にLondonの中華街に遊びに行くそうです。
キャンパス内は静かでも、Londonみたいな都会に行けば大騒ぎしているのかもしれません。
都会の喧騒が苦手なSakuraとRenは、大人しく寮でのんびり過ごします。


(投稿者/Ren)