SakuraとRenのイギリスライフ

美味しいものとお散歩が大好きな二人ののんびりな日常 in イギリス

St Leonard-at-the-Hythe

2014年08月29日 | 【イギリス生活】
Hythe駅から雰囲気のある教会が見えることを発見してからずーっと気になっていた教会についに行ってきました。



ちなみに、ここ、St Leonard-at-the-HytheはHythe駅からこんな感じに見えます。



最近教会に入るのが好きになったSakuraとRenが、このまま徒歩圏内にある教会を見逃すわけにはいきません。
なんとなくHythe駅から歩いて、だいたい5分でたどり着くことができました。(ただし、若干危険な感じもしたので、女性一人で歩くのは怖いかも。)



ここは普段は閉まっているようですが、外にあった張り紙によると、火、木、金、土のお昼くらいに来れば中に入れるようです。
Renたちが来たのは金曜のお昼。運よく入ることができました。

内部はこんな感じ。Lady Chapelもあって、結構本格的。



司祭や合唱団が座る部屋への入口のアーチには綺麗な壁画がありました。



入ってしばらくすると、どこからともなくオルガンの音が。
どうやらオルガン奏者と思われるおじさんが、練習していました。



この教会は14世紀から建てられ始めたらしく、とても価値があるので「The Churches Conservation Trust」という基金が管理しているそうです。
偶然発見して入ってみた教会でしたが、たくさんあるステンドグラスも大変美しかったし、おじさんのおかげで良質なオルガンも聴けたし、良い時間を過ごせました。

(投稿者:Ren)

Tier 4ビザの更新の話(4)

2014年08月18日 | 【イギリス生活】
今朝、UK Visas and Immigrationから、アカウントを作るときに登録したアドレス宛にメールが届きました。
必要書類がすべて揃ったので、これから僕たちのビザを延長するかどうかの審査に入るとのことです。
もし何か書類に不備があれば追加で送るように連絡があったはずなので、僕たちが送ったものに問題はなかったみたいです。
パスポートとビザが帰ってくるのをドキドキしながら待っていようと思います。

参考までに若干不安だったものの大丈夫だったことをご紹介。
・パスポートサイズの写真:誰の写真か分からなくなるから裏側に名前を書いた方が良いのかなと思ったけど、そうしろとはどこにも書いてなかったので何も書かず。結果、書かなくて良かったようです。
・supporting documentsを送るときに同封したcover sheetへの署名:パスポートの署名と同じでOKでした。

そして、参考までに、現在までにかかった費用は、
申請料:£422×2=£844
郵送料(Special Delivery。返信用含む):£7.15×2=£14.30
biometric information:£19.20×2=£38.40
パスポート用写真(インスタント):£5×2=£10

合計:£906.70

イギリス政府が「お金を持っている人じゃないと滞在して欲しくない」と思っていることがよく伝わってきますね。
イギリスの大学院で修士→博士を考えている方がいらっしゃったら、このとんでもなく高い費用も考慮しておくと良いんじゃないかと思います。
(もちろん僕たちは夫婦で来てるので、もし一人で来られているならこの半分の費用です。それでもすごく高いと思うけど。)


この程度の内容の更新だけだと申し訳ないので、おまけにColchesterの郵便局の写真を。
外観はすごく雰囲気が良いけど、内装は意外と普通の郵便局です。



(投稿者:Ren)

渡英してから1年経ちました

2014年08月17日 | 【イギリス生活】
いつの間にか渡英してから1年(と数日)が経っていました。
大学ではPre-sessionalコースが始まったからか、日本から来られたと思われる方を含め、たくさんのまだこちらの生活に慣れてなさそうな人を見かけます。
Renはそんな中、相変らず修士論文に呻吟する毎日です。数か月前の予定(願望)では、もうすでに提出しているはずだったのですが…。

ちょうどこの前、こちらに来たばかりの頃に撮った写真を見返していました。
あの頃は見るものすべてが新しくて、毎日何かの写真を撮っていたみたいで、今から見てもその気持ちが蘇ってきます。
写真を見ていると、やっぱりSakuraもRenもManningtreeにいるときの表情が一番楽しそうで、やっぱり僕たちはManningtreeが好きなんだと実感中。
町の雰囲気とか人々の親切さがこれほど素晴らしい町にいままで出会ったことがありません。
Manningtreeに最初に住んでいなかったらこんなにイギリスを好きになることもなかったんだろうなと思います。

どういう文脈でかは忘れたのですが、Manningtreeのときの大家さんに「なぜ私たちにこんなに良くしてくれるのですか?」と聞いてみたことがあります。
僕たちに親切にしても彼女が得をすることは別にないし、親切にする義務が彼女に課せられているわけでもないのに、いつもいつも彼女は僕たちによくしてくれたのです。

そのときの答えがいまでも心に残っています。

「だって、あなたたちに良い気分で過ごして欲しいから。それが一番大事なことでしょう?」

この言葉のおかげでこの1年楽しく過ごせたし、来年からも充実した日々を送れそうです。
僕たちもこういう気持ちで人と接していきたいと思っています。


いま見返しても思わず息をのんでしまうManningtreeの美しい夕暮れの写真をおまけに。









先日、日本から友人がわざわざColchesterまで訪ねてきてくれたのですが、これを見せてあげれなかったのが残念です。

(投稿者:Ren)

Tier 4ビザの更新の話(3)

2014年08月16日 | 【イギリス生活】
郵便局で「biometric information」を取得してきました。
手続きは予想以上に簡単でした。以下、ご紹介します。

(1)郵便局の窓口に行って「ビザ更新のためにbiometric informationを取りたい」と言う。→専用の機械があるブースに案内されます。

(2)当局から送られてきたバーコード付きの紙を渡し、フルネーム&誕生日を言う。

(3)係員の指示に従って①写真撮影、②指紋採取(右手の4本→右手の親指→左手の4本→左手の親指)、③署名。
署名はビザ申請のときに書いた形式で、と言われたので漢字で書きました。3つとも全部専用の機械上で行うのですが、特にタッチペンみたいなのを使用しての署名が難しく(途中で自分の書いた筆跡・文字が見れない)、きれいに書けませんでした。

(4)お金(£19.20×2人=£38.40)を払って終了。


手続き全体にかかった時間は一人5分くらい。
対応してくれた郵便局の人がとても良い人だったおかげで、気持ちよくスムーズにすることができました。

あとは当局の判断を待っていればいいそうです。
次の大学がある街に引っ越す前にもらえたら嬉しいのですが、どうなることやら。

(投稿者:Ren)

Tier 4ビザの更新の話(2)

2014年08月15日 | 【イギリス生活】
UK Visas & Immigrationから手紙が届きました。
郵便局に行って「biometric information」を取得・送信せよ、とのことです。

どうやらいままでのところはうまく手続きが進んでいるようで一安心。
手紙に記されていた日付を見るとビザ更新書類をオンラインで提出してから1週間だから、思ったよりスムーズですね。

ただし、この手紙は申請者一人ひとりに別々に届きました。(申請するときはdependent分もまとめてできたのに。)
そのためかどうかは分かりませんが、届いたのはSakuraが昨日でRenが今日。
危うくdependentにしか必要ないと思って郵便局に行ってしまうところでした。
今日は予定があって行けなかったから良かったものの、もし行ってたら二度手間になってしまうところ。

というわけで、今日のポイントは、

・「biometric information」を要求する手紙は一人ひとりに届く
・おそらく郵便局の作業の都合で、同じ日に全員分が届くとは限らない

という感じでしょうか。

「biometric information」の手続きがどういうものかは、また追ってレポートしたいと思います。
今のところ分かっているのは、写真や指紋を採取されるらしいということと、その費用がなんと£19.20もかかるということ。
もう、なんでもかんでも高すぎです…。

(投稿者:Ren)


Tier 4ビザの更新の話(1)

2014年08月08日 | 【イギリス生活】
そういえばまだ発表してなかったのですが、もうちょっと政治学を勉強したくなったので来年度(今秋)から博士課程(ただし別の大学)に進学することにしました。
そうすると必要になってくるのが、Tier4ビザの更新です。
ビザについてネットを調べると、取得方法はたくさん書いてあっても更新方法はあまり見つからなかったので、困っている方の参考になるべくここに僕のしたことを書き残しておこうと思います。

なお、ビザについては人によっていろいろと状況が違ってきそうですが、僕は、
・Tier 4 (General) student visaの更新(extension)
・修士課程を終えて、秋から博士課程に進学
・妻はTier 4 dependent visaを同時に更新
・手続きは英国国内から行う
という条件です。(情報は、これを書いている2014年8月現在。)


まず、ビザの更新については大学側がきちんとしたサポート体制を構築していることがあります。
幸運なことにRenがいま通っているところも、これから通おうとしているところも、サポートを熱心にしてくれるところでした。
そういう大学に通おうとしている方は、大学に問い合わせてみると良いんじゃないかと思います。

ただし、SakuraとRenの場合はこういう事件がありました。
これから通おうとしている大学にいろいろ手続きを質問したところ、大学から「それについてはいま通っている大学に相談してみてください」と言われてしまったのです。
これから違う大学に行こうとしている人にサポートをしてくれるんだろうか、と疑問に思いながらいまの大学に相談してみたところ、「じゃあ、ビザワークショップに出席してください。ワークショップに出たら今度は個別相談に乗ってあげます」とのこと。

ところが、ワークショップを終えて、個別相談に出向いたところ、「違う大学に行く人にはサポートできないことになってます」と職員の方が言うではありませんか。
そうですよね、でも、それなら最初に聞いたときにそう言ってほしかった…。
このプロセスのせいで2週間ほど無駄にしました。


この事件によってもうこれから通う大学に相談するのも面倒になったSakuraとRenは自分で手続きをすることにしました。
ビザワークショップで少し導入の話を聞いたとはいえ、自己流なのでいろいろと不備があるかもしれません。(無事にビザをもらえるかリジェクトされるかでそれが分かるのでしょう。)

ということで、僕たちがこれまでしたことをご紹介します。
①アカウントを作る
UK Visas & Immigrationのウェブサイトに行きます。
https://apply.ukba.homeoffice.gov.uk/iapply.portal
ここでForm Finder(Forms A-Z)を使って、Tier 4 Studentのオンライン申請書類を選び、指示に従ってパスワードその他を設定すればアカウントが作れるはず。

②オンライン申請書類に必要事項を記入する
ビザを更新しようとする方ならもう取得時にいろいろ苦労して記入した経験があると思いますが、それとほとんど同じような項目でした。(若干、書かなければならないものが減っていた印象。)
また、Dependentの分も同じ書類で申請することができます。
なお、僕がビザを申請する際に別途記入しなければならなかったAppendix(手書きするもの)は今回はありませんでした。

③記入したら、料金を払って、オンライン申請完了
料金は一人につきなんと£422。二人だと£844で、日本円に直すと、およそ145,000円(1£≒172円で計算してます)!!!
いや、読み間違いではありません、14万5千円です。
ちなみに、「8週間以内」で結果が分かるこの方法ではなく、直接役所に出向いてその日のうちに結果を知ることができるPremium Serviceだと、一人につき£822。
参考までに二人分の£1644を日本円に直してみたところ、28万3千円…。

④Supporting Documentsをcover sheetとともに郵送する
僕たちが今回一番気にしたのが、初めのビザ申請時には必要だった「婚姻していることを証明する書類」を送らなければならないかどうかでした。
でもどうやら、更新時には当局に求められない限りはこちらから送る必要はないようです。
そのため、僕たちが郵送したのはパスポートとパスポート用写真2枚だけ。
Cover sheetへの署名は、確かビザ取得時にはパスポートに記載されているものと同じにするように言われたので、今回も漢字でサインしました。
また、今回の郵送と同様に、同封した返信用封筒もSpecial Deliveryにしてもらいました。(Special Deliveryにすると、いまその郵便物がどこにあるか追跡でき、郵便局の人によれば「the safest way」らしいです。)
本当にこれで良いのか不安ですが、もし足りないものがあれば当局から連絡が来るらしいので、ちょっと待ってみようかと思います。


ということで、ポイントは、
・今回はAppendixがない
・Main applicantとDependentは同じ書類で申請可能
・婚姻していることを証明する書類はいらない
ということかなと思います。

これでうまくいくかどうか、何かアクションがあったらまたここでご報告します!

(投稿者:Ren)

一等車(First Class)初体験!

2014年08月06日 | 【イギリス生活】
この前、First Class(一等車)の前売り料金がStandard Class(普通車)のそれとあまり変わらなかったので、First Classに乗ってみることにしました。
自慢がてら紹介しますが、以下は「Abellio Greater Anglia」という会社(イングランド東部の電車会社)の事例なので、他の会社だと違うかもしれません。

First Classの車内はこんな感じ。



Standard Classは通路を挟んで2席+2席のところ、First Classは2席+1席なので、横幅がゆったりしている感じ。
シートや机の色が落ち着いてシックな印象を受けるのに加え、窓にはカーテンがついていて、開け閉めすることが可能になっています。
前の人と脚をぶつけないように座るのが困難な4人席については、若干幅が空いたような気はするものの、それでもやっぱり欧州の方と向かい合わせになったら脚はぶつかるような気がします。

First Classで嬉しいのが、車内で売っている飲み物&スナックが無料でもらえること。



普段こんな席には座れないSakuraとRenははしゃいでしまって、水、オレンジジュース、ポテトチップス×2を注文。
もちろん、First Classの人たち向けの特別ドリンクとかではないけど、無料でもらえるのは嬉しいですね。
どうやら注文できる飲み物はコーヒー、紅茶、水、オレンジジュースのみで、ラテとかカプチーノが注文できたらもっと嬉しいところですが、どうせ滅多に利用しない(できない)だろうから別にいいか。


ちなみに、Colchester駅からHythe駅に向かう電車(4両編成の小さい電車です)にもFirst Classはほんのちょっとだけあるのですが、見た感じStandard Classとほとんど変わりません。



飲み物とかももらえないっぽい(車内販売がないので)し、この電車でFirst Classに乗るメリットがあまり感じられない。。

(投稿者:Ren)

イギリスの無人駅の利用方法

2014年08月03日 | 【イギリス生活】
イギリスの田舎に行くと、たまに駅員さんも券売機もない駅に出会います。
SakuraとRenが住んでいるところの最寄り駅、Hythe Stationもこういう無人駅で、ここをどう利用したらいいかずっと分かりませんでした。
イギリスの電車には「ちゃんとしたチケットで乗っていないのを発見したら多額の罰金を払ってもらいます!」みたいな脅し文句がたくさん貼ってあるのだけれど、無人駅でどうやってチケットを買えというのだろうか。定期券をあらかじめ入手しないと電車は乗ってはいけないということなのだろうか・・・。

でも、最近こういう駅の利用方法を知り、今日それを実際に確認できたので、ここに情報を残しておきたいと思います。


チケットの入手方法は基本的に以下の二つです。
(1)インターネットで注文する
(2)駅で買う

このうち、(1)の場合、チケットを(i)郵送してもらう、(ii)券売機がある駅でコード等を入力して発券する、がありますが、(i)は実際にそのチケットを利用する数日前に注文しなければならない(郵送にはそれなりの日数がかかるので、直前になると郵送オプションは提示されません。)という欠点があり、(ii)についてはHytheのような無人駅には定義上、適用されません。(なお、券売機がなくても、駅員さんがいれば「インターネットで注文したんですけど…」って言えば発券してもらえます。(Wivenhoe駅はそうでした。他は不明。))
また、(2)も駅員さん&券売機なしの無人駅では不可能。

では無人駅ではどうすればいいのかと言うと、、、



こういう機械が無人駅にはあります。
これは古いタイプの券売機かと思いきや、よく見ると、「Permit to travel」と書いてあります。

実は、無人駅ではチケットを買うことはできないものの、旅行許可券は購入可能です。(そういえば、Hytheと同様、Mistleyにもこの機械がありました。)
チケットと旅行許可券との違いは、前者は行先によって値段が設定されているのに対し、後者は自分で好きな額のものを購入できること。
旅行許可券を持っていれば、「電車賃を払う意志があった」ことを主張しつつ、車内でチケット確認に来た車掌さんからチケットを購入(旅行許可券の額面との差額を支払う)することが可能です。
(ただし、車掌さんはあまりチケット確認には来ません。だから、旅行許可券を持たずに乗車しても何も問題がないこともあるかもしれない。でも、たまたまこれを持たないで乗車したときにチケット確認にあってしまうと大変なことになりそう、と小心者のRenは思うので、やっぱり毎回これは購入した方がいいと思います。)

さて、以下は、今日Manningtreeに行くときにSakuraとRenがしたことです。

手順は機械に記載されています。



まず、自分の好きな額のコインを入れます。コインを入れたらボタンを押すだけです。
Renの財布事情から、今回は50ペンスコインで1つ、20ペンスコインでもう1つを発券しました。

出てきたのは、こんなもの。



電車が発車してしばらくすると、珍しく車掌さんが来ました。
「Manningtreeまでの往復チケットをください」
と言いながら旅行許可券を渡します。

すると、これら及びお金(£6.70-£0.70=£6.00)と交換でチケットをゲット。



車掌さんの装備から察するに、デビットカードでの支払いもおそらく可能だろうと思います。

無人駅だというのに、駅の利用方法が親切に掲示されてないので初めはさっぱり分かりませんでしたが、やってみると意外と簡単でした。
利用する機会がある方は是非一度この方法も試してみてください。

(投稿者:Ren)

Vivien A. Schmidt, The Futures of European Capitalism (Oxford University Press, 2002)

2014年08月02日 | 
読んだのは少し前だけど、やっぱり重要な本だったので、内容を思い出すためにVivien A. Schmidt, The Futures of European Capitalism (Oxford University Press, 2002)を紹介したいと思います。



本書は、グローバル化及びヨーロッパ統合によって収斂するだろうと言われていた各国の経済体制が未だにそれぞれの特徴を保持していることを確認し、その理由を考察するとともに今後の展望を論じるものです。

著者によれば、グローバル化及びヨーロッパ統合にどの程度影響を受けるかは
(1)経済の脆弱性(経済危機の有無、競争力)、
(2)政治制度の態様(政府がどの程度政策変更を主導できるか)、
(3)これまでの政策(その政策変更がこれまでの政策実践にどの程度フィットするか)、
(4)政策選好(これまでの選好にどの程度フィットするか、新しい政策に対する開放性)、
(5)言説(経済の脆弱性やこれまでの政策についての認知に影響を与えることによってアクターの政策選好を変容させる能力)、
に依存します(pp.62-67)。
これらが各国によって様々であることにより、欧州においては3つ(2つではなく)の資本主義のモデルが並立していると主張されます。

3つのモデルとは、
①市場中心の資本主義(Market Capitalism):イギリス、アメリカなど
②管理された資本主義(Managede Capitalism):ドイツ、オランダ、スウェーデンなど
③国家主導型資本主義(State Capitalism):フランス、イタリアなど
です(p.113)。

グローバル化及びヨーロッパ統合によって、それぞれのモデルはより自由主義化しているけれど、まだそれぞれの特徴を保っていると著者は主張します(p.142, p.144)。

本書においては主にイギリス、ドイツ、フランスの3か国がケーススタディの対象とされ、上記の5つの関わりとともに論じられているものの、最も強調されているのが言説の重要性です。
そして、アイディアの政治学の文献において本書が必ずと言っていいほど引用されることにも示されているとおり、本書の最も重要な貢献もここにあると思われます。

僕の見るところ、本書における特に重要なところは以下の二点。
(Ⅰ)その国の政治制度によって言説がどう作用するかが異なることの理論化
著者は、言説の態様はcommunicative discourse(主に選挙民にアピールするもの)とcoordinative discourse(エリート間で交わされるもの)に区分できるとした上で、権力が執政部(政権中枢)に集中している国では公衆へのcommunicative discourseが、権力が様々なアクターに分散している国ではアクター間のcoordinative discourseがより重視されるとします(p.211)。

(Ⅱ)言説の内容をcognitive function(人々の認知に働きかけるもの)とnormative function(人々の規範に働きかけるもの)に区分し、後者の重要性を示したこと
前者(cognitive function)においては、その政策が他の政策に比べて優れていることを示すことによってその政策を正当化するのに対して、後者(normative function)においてはその国に根付いている価値観に沿っていることを示すことによってその政策の正統性を主張するとされます(p.213)。
著者は前者を「justifies through logic of necessity」、後者を「legitimizes through logic of appropriateness」とまとめています(p.218)。
そして、前者のみが存在したケースでは政策変更はうまくいかなかったものの、前者に加えて後者があったケースではうまく政策が変更されたと主張します。

本書の枠組みを取り入れている木寺元さんの本に熱狂した僕ですから、もちろんSchmidtさんのこの理論化にも感動するのですが、やっぱりまだ明晰に理解できないのは(Ⅱ)の区分。
necessityとappropriateness、あるいはjustifyとlegitimizeの区別は、観念としては分かるけど、現実の政治/政策の世界においてどれだけ分けられるのか。
appropriatenessはその国の価値観に照らして測られるとされるというけど、「その国の価値観」はどうやって知るのか(後付けにならないか)。
ものすごく可能性のある議論だと思っている(というか、僕はこれをもっと研究していきたい)ので、ちゃんと理解したいところです。


本書はアイディアの役割を重視する潮流の文献のイメージが強かったのですが、
・アイディアの政治
・資本主義の多様性
・ヨーロッパ統合の各国への影響
のいずれに興味がある読者にとっても得るところが大きいと思います。

(投稿者:Ren)