ある舞台に向けオーディションを開いていた演出家のトマ(マチュー・アマルリック)のもとに、
無名の女優ワンダ(エマニュエル・セニエ)が遅れてやってくる。
ワンダに押し切られ彼女にもオーディションを受けさせることになるが、
傲慢なトマはがさつで知性もなさそうな彼女のことを内心見下していた。
しかしひとたび演技が始まると、台詞は完全に頭に入っており、
役に対して深く理解している様子が見て取れた。
先ほどまでとは打って変わって知性と気品を漂わせる彼女に惹きつけられていくトマ。
オーディションが進むにつれワンダはますますトマを魅了し、二人の間の力関係は逆転。
役を超えてトマ自身がワンダに支配されることに悦びを感じていく……。
(Movie Walkerより)
冒頭、オーディション会場までの道のりが
鬱々とした天気のパリの街並みと妙なテンポの音楽とともに映し出され、
静かに雰囲気が盛り上がります。
神経質そうで傲慢かつ自信家らしい演出家が
目指す女優が見つからなかったとイライラ電話してる中、
品も無くバカっぽい女が飛び込んできて無理矢理オーディションさせてと迫ってきます。
これはもう、どこまで豹変してくれるのかと期待させます。
予告を観ていたので、ドレスを着て最初の一言を発するところまでは
ふんふん、なるほど。
そこからワンダとトマのセリフの応酬。
どこまでが現実(女優と演出家)の会話で、どこからが台本上の台詞なのか
判然としなくなる流れはとても面白く、
巧みに立場が入れ替わっていくのも面白かったです。
髪もずぶ濡れペシャンコでメイクも半分流れたような顔をしていたワンダ。
後半はきれいな顔にふんわりしたフロンドヘア。
オレ様トマは、最後には唇を赤く塗って柱に縛りつけられているという始末。
結局、ワンダって何者だったんだろうww
人じゃなかったのかな?
劇中にも出てくる「神、彼に罪を下して 一人の女の手に与え給う」
タイトルそのままに毛皮を纏ったアフロディーテだったんだろうか?
2014年12月20日(土) 開演14:00 東京文化会館
3公演のうち、東京バレエ団のみのキャストで踊る公演日。
主役は沖香菜子&梅澤紘貴でした。
沖さんはロミジュリで観ていたので、これは大丈夫、とても可愛いクララでした。
小柄な日本人はクララ役がよく似合いますよね。
どこまで踊ってくれるのか未知数だった梅澤くん、頑張ってました。
そりゃあ昨日のラドメーカーと比べる事は出来ませんが、
素直にスーッと踊ってる感じが好感度上がりますね。
彼の持ち味で踊ってるというか、汗かいていっぱいいっぱいではなかったです。
(汗はかいてましたがw)
難易度の高い技もキメのところはちゃんとやってました。
細い足腰でリフトも頑張りました!!
欲を言えば、もっと王子オーラを出して欲しいなぁ。
どうだっ!!的なところがぜんぜん無いww
優しく微笑んでサラ~って感じ。
あとはパートナーシップかな。ひとりで踊ってるときはいいんですが、
女性と一緒だと、う~ん扱い慣れてないというか、ガンガレ!!
この日は脇の配役も(クララの両親は同じですが)、前日とは違う人が踊ってました。
そして前日より良かった!!
ドロッセルマイヤーは柄本弾くん。これはさすがに木村さんの方がうまかった。
パーティー会場にパッと登場した時のインパクトの与え方が弾くんだとまだまだでした。
ピエロ、コロンビーヌ、ムーア人、まずこの3人が前日よりピシッとしてて良かったです。
前日残念だった2幕の各国の踊りは、ぜんぜん違っていて、
同じ振付なのか?と思ったほどでした。
スペインの木村さんだけは残念ことに、手をついてしまいましたね。
あれはどうしたんでしょう?手をついた後も少しフラついてるように見えましたが。
アラビアの松野くんは関節も柔らかく、雰囲気出してました。
三雲さんも最後まできれいに踊ってました。
ロシアの入戸野くんは見せ場を作ってました。
フランスの杉山くんはロミジュリのベンヴォーリオを思い出しました。
これは前日の岸本くんの方が好みでした。
◆主な配役◆
クララ:沖香菜子
くるみ割り王子:梅澤紘貴
【第1幕】
クララの父:永田雄大
クララの母:高木綾
兄フリッツ:吉川留衣
くるみ割り人形:中村祐司
ドロッセルマイヤー:柄本弾
ピエロ:岸本秀雄
コロンビーヌ:金子仁美
ムーア人:吉田蓮
ねずみの王様:原田祥博
【第2幕】
スペイン:川島麻実子-木村和夫
アラビア:三雲友里加-松野乃知
中国:金子仁美-岡崎隼也
ロシア:伝田陽美-入戸野伊織
フランス:村上美香-河合眞里‐杉山優一
花のワルツ(ソリスト):
渡辺理恵、小川ふみ、二瓶加奈子、崔美実
森川茉央、原田祥博、和田康佑、岸本秀雄
2014年12月19日(金) 開演19:00 東京文化会館
先週のNBA新演出とは違い、東京バレエ団はワイノーネン版でバリバリ古典でしたが、
こちらもプロジェクションマッピングを多用して華やかな舞台になってました。
(こちらの方が豪華だったかなw)
主役はゲストのエフゲーニャ・オブラスツォーワとマライン・ラドメーカー。
ラドメーカー狙いで行った公演です。
金髪の王子はやっぱりステキです。
ドロッセルマイヤーはベテランの木村さん。
ちょっと線が細いかなと思ったんですが、そんなことはなく、
高々と脚を上げてさすがの存在感で登場。
2幕のキャストは若手メインなのかな?
舞台は残念ながら先週のNBAの方が面白かったです。
(新演出で力入ってましたしね!!)
なんというか、きれいに整え過ぎのような…。
クララの家のクリスマス・パーティーにお客様が向かうところから始まりますが、
道中、何やら色々演技が入ってるんですが、これがさっぱり面白くないw
くるみ割り人形とネズミの戦いも勢いも笑いも無く、
整列して向かい合ってグルグル回って終わりって感じ。
う~ん、1幕にドラマが感じられないのが眠くなる原因か。
(ネズミはキモくなかったですww)
場面転換はとてもきれいで、プロジェクションマッピングいいですね。
1幕クララがロウソクを片手にくるみ割り人形の傍に行くシーンはホントに映画のようでした。
そして、このワイノーネン版クララは少女のまま夢の世界に入っていくのではないんですね。
人形が王子に変わった時、少女から娘に成長してるんですね。
だからその後のクララと王子のラブラブ度が高い!!
2幕はふしぎの国に突入。各国の踊りはちょっと厳しかったかなぁ。
ズラリと並んだ時に目に入ってきたのはスペインの弾くん。
さすがに抜きん出た雰囲気を持っていて、踊りも鮮やかに決めてました。
アラビアの二人はダメだったなぁ。ぜんぜんアラビア感がないw
女の子の方は最後、回れずにグダグダになってしまって回してもらってました。
中国もカワイかったけど女の子が今ひとつ。
フランスは岸本くん、キメのところで滑っちゃいましたね。
それまではノーブル感いっぱいでイイ感じだったので残念。
花のワルツは女の子の衣裳がフワフワしてきれいでした。
このワイノーネン版には金平糖の精が登場しませんでした。
その分主役二人が存分に踊ります。
でも、なんだかラドメーカーこんだけ?って感じw
もっといけるよね。もったいないなぁという感想です。
「くるみ」だからしょうがないのかw
明日(もう今日か)は2回目観に行きます。
今度の王子は梅澤紘貴くんですね。
◆主な配役◆
クララ:エフゲーニャ・オブラスツォーワ
くるみ割り王子:マライン・ラドメーカー
【第1幕】
クララの父:永田雄大
クララの母:高木綾
兄フリッツ:乾友子
くるみ割り人形:氷室友
ドロッセルマイヤー:木村和夫
ピエロ:杉山優一
コロンビーヌ:岸本夏未
ムーア人:岡崎隼也
ねずみの王様:森川茉央
【第2幕】
スペイン:川島麻実子-柄本弾
アラビア:渡辺理恵-森川茉央
中国:岸本夏未-氷室友
ロシア:乾友子-原田祥博
フランス:吉川留衣-河谷まりあ‐岸本秀雄
花のワルツ(ソリスト):
小川ふみ、伝田陽美、政本絵美、三雲友里加
安田峻介、杉山優一、永田雄大、松野乃知