ある舞台に向けオーディションを開いていた演出家のトマ(マチュー・アマルリック)のもとに、
無名の女優ワンダ(エマニュエル・セニエ)が遅れてやってくる。
ワンダに押し切られ彼女にもオーディションを受けさせることになるが、
傲慢なトマはがさつで知性もなさそうな彼女のことを内心見下していた。
しかしひとたび演技が始まると、台詞は完全に頭に入っており、
役に対して深く理解している様子が見て取れた。
先ほどまでとは打って変わって知性と気品を漂わせる彼女に惹きつけられていくトマ。
オーディションが進むにつれワンダはますますトマを魅了し、二人の間の力関係は逆転。
役を超えてトマ自身がワンダに支配されることに悦びを感じていく……。
(Movie Walkerより)
冒頭、オーディション会場までの道のりが
鬱々とした天気のパリの街並みと妙なテンポの音楽とともに映し出され、
静かに雰囲気が盛り上がります。
神経質そうで傲慢かつ自信家らしい演出家が
目指す女優が見つからなかったとイライラ電話してる中、
品も無くバカっぽい女が飛び込んできて無理矢理オーディションさせてと迫ってきます。
これはもう、どこまで豹変してくれるのかと期待させます。
予告を観ていたので、ドレスを着て最初の一言を発するところまでは
ふんふん、なるほど。
そこからワンダとトマのセリフの応酬。
どこまでが現実(女優と演出家)の会話で、どこからが台本上の台詞なのか
判然としなくなる流れはとても面白く、
巧みに立場が入れ替わっていくのも面白かったです。
髪もずぶ濡れペシャンコでメイクも半分流れたような顔をしていたワンダ。
後半はきれいな顔にふんわりしたフロンドヘア。
オレ様トマは、最後には唇を赤く塗って柱に縛りつけられているという始末。
結局、ワンダって何者だったんだろうww
人じゃなかったのかな?
劇中にも出てくる「神、彼に罪を下して 一人の女の手に与え給う」
タイトルそのままに毛皮を纏ったアフロディーテだったんだろうか?