beatitude

好きなことだらけさ…

『モールス』

2011年08月18日 | 映画 洋画

雪に閉ざされた田舎町。12歳のオーウェン(コディ・スミット=マクフィー)は学校でいじめられていたが、
二人きりで暮らす精神的に不安定な母親に相談できずにいた。
彼の唯一の楽しみは、自分の部屋から望遠鏡で他の部屋を覗き見すること。
ある夜、望遠鏡を覗いていた彼は、雪の中を裸足で歩く隣に越してきた少女を見る。
雪の夜、オーウェンが中庭で一人遊んでいると、あの少女が現れ、
夜の中庭で何度か会ううちに段々と二人はうちとけていく。
彼女は、12歳くらいだが自分の誕生日を知らず、ルービックキューブが得意で、
アビー(クロエ・グレース・モレッツ)という名であった。
彼女に惹かれていくオーウェンは、アビーの部屋から聞こえてくる荒々しいどなり声に心を痛めていた。
ある日、オーウェンはモールス信号のメモをアビーに渡し、壁越しに話そうと伝える。
自分を心配してくれたオーウェンがいじめられていることを察したアビーは
「やり返すのよ。私が守ってあげるから」と言う。
二人は自分の部屋から壁越しにモールス信号で二人だけの合図を送りあうようになり絆を深めていく。
アビーを守りたいと変わっていくオーウェンは、いじめっ子に仕返ししたことに興奮し、
アビーに血の誓いを交わそうと指を切る。
すると今まで笑顔だったアビーが血を見た途端に様子が急変、「消えろ」と言って走り去る……。
時を同じくして、この小さな町で残酷な連続猟奇殺人が起こり始めた。
生きたまま首を切り裂かれ血を全て抜き取られた少年、トンネルで惨殺された男性……。
そんな中、車の事故で容疑者と思われる男が病院に搬送されたが、
彼は頭から硫酸を被っていて刑事と話もできない。
そしてその男は手がかりとなるメモを残し病室から転落死してしまう。
だが、血液が抜かれたジャックという男の死体が湖から発見されたことで事件は進展。
彼の自宅を調べていると、近隣の女性が最近、首を噛み切られ病院に搬送された後、
病室が発火して死んだらしいことが判明する。
この団地に何かがある。刑事は団地へ乗り込み、ドアの前で拳銃を構えるが、家の中からは応答はない。ドアの向こうで息を殺していたのはオーウェンだった……。
(goo映画より)

昨年夏に公開されたスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』のハリウッドリメイク版。
『ぼくのエリ』の方はホラー色の強いヴァンパイア映画って感じだったんですが、
潔くホラー映画にしてしまったんですね~
その分、とても分かりやすくなってましたが…。
舞台をアメリカ ニュー・メキシコにした時点でもう空気感が違いますね。
北欧 ストックホルム郊外の冬というどこか暗く、陰欝とした空。
全編に流れるもの悲しい色――これがね~。
かなり抑えた感じにしてますがやっぱりね~。
まあでも『モールス』だけ観れば、特に気になるわけではないんですが。
これはクロエ・グレース・モレッツあっての映画という見方をすれば、
なかなか魅力的だと思います。

アビーが血を吸うシーンはやっぱりエグい
ヴァンパイアといえば萩尾望都「ポーの一族」をすり込まれてる年代なもので
お食事も美しくないと…。
“衝撃のラスト”も何が起こるか分かって観てましたから、まあこんなもんで。

クロエちゃん完全に女の子でしたね。
「女の子じゃないよ。」のセリフはありましたが、
それは人間の12歳の女の子じゃないって意味で、
本当は去勢された男の子なんだよ、という部分は完全にカット。
一緒に暮らす男も表向き父親、実はかつて少年としてアビーに恋し、彼女の世話をすべく
成長しないアビーと共に生きる道を選んだ男。
そして最後まで彼女のためだけに生きて死んでいった男として描かれています。
こうなるとラスト、オーウェンは完全に彼の身代わり。
この辺は『ぼくのエリ』でもそういう終わり方だったんですが…
もっと原作に近い解釈で観たかったです。
彼とアビーが出会ったのは少年愛のペドフィルがバレて教師職を追われた憐れな男と
その男が手に入れたくても届かない、美しい去勢された男の子。
男はかつての恋人ではなくアビーの下僕。
対しオーウェンはアビーが心を寄せる男の子。
この対比でお願いしたかった…。

クロエちゃんもコディ・スミット=マクフィー君もなかなか良かったので、まあいいか。
『ぼくのエリ 200歳の少女』の感想