『矢継ぎ早のリリー』 D・キッサン 著 ZERO-SUMコミックス 一迅社
D・キッサンの初短編集です。
『どろ高』は基本4コママンガでしたが、これは短編ながらストーリーマンガです。
「矢継ぎ早のリリー 前・後編」
吸血鬼モノ。でも目立ってるのは魂の遺言執行人。
吸血鬼ってのは未来永劫、死ぬまで姿形が変わらないものだと思っていたけど、
ここでは違いました。
「鞠めづるヒトビト」
時代物も描けるんだ!おまけに蹴鞠でスポーツ漫画って…。
でも見せ方上手いぞ!優雅で美しいスポーツって感じがちゃんと出てます。
「或ル婦人」
大正ロマンの雰囲気漂う縁起にまつわる話。
ご本人は別の結末を目指してたらしいですが、悲しい感じになったとあとがきに書いてます。
独特な感じがいいです。
「シスター・シスター」
どこかの国の土着信仰系ファンタジー。
これは連載に持っていけるんじゃないでしょか。続きが読みたいですよ。
ここに姉妹の話が入ってますが、これはご自身の体験アリですかね。
うちのオタ姉妹もどんなに邪険にされても、姉ちゃんにひっついてる妹が…
4話まるで一貫性がなくバラバラですが、いろいろ引き出しがあるじゃないですか!
4コマやってないでストーリーマンガ描いてくださいよう。
でも「矢継ぎ早のリリー」読んでるとき、
なんか、どろ高のメンバーがコスプレして登場してるような錯覚を覚えて笑ってしまった。
『小煌女 1』 海野つなみ 著 KC Kiss 講談社
相変わらず、画は硬いなぁ。
海野つなみは「なかよし」に描いてるときから時々読んでますが、
画はほとんど変わってないような気がします。
デビュー21年目だそうで、完全オリジナル長編連載が、この作品が初とは…
おまけに、フルデジタルだそうで、がんばれ~です。
彼女の作品は画で見せるというより人物の関係性で
心に響くものがあるように思います。
今回は完全オリジナル&SFなのでストーリーでも引き込んで欲しいかな。
時は未来、宇宙時代を迎えた地球連邦英国自治区。
舞台は上流階級の子女が集まるベネディクト女学校。
住み込みのハウスメイドとして働くサリーと、
惑星トアンから留学を名目に亡命してきた王女・ジノン。
国も身分も違うふたりの運命的な出会い。そして…。
(単行本裏表紙より)
1巻では、地球の女学校に王女・ジノンが留学してきたことで
そこの生徒達同士やジノンを挟んでの、女の子特有のベタで分かりやすいイザコザなんかが
描かれています。これはこれで、安心して読んじゃいました。
今どきの陰湿なイジメのためのイジメとかと違って、昔からあった類いのそれです。
少女マンガの王道、お姫様に憧れ、お姫様になれない自分を卑下し、
まわりを傷つけてものし上がろうとする少女と、それを冷ややかに見る同級生。
そして、その同級生にも隠された事情が…
どこか懐かしい感じさえしました。「小公女」なんだからOKです。
サリーとジノンはまだ“運命的な出会い”という感じではありませんが
帯にも「ああ、あたし、恋に落ちたよう」というセリフまで載せているので
きっとこれからなのでしょう。
終盤、いきなりSF展開を見せているので、次巻が楽しみです。
『宝塚BOYS』 漫画:小宮なつ 原作:東宝芸能 原案:辻則彦 プリンセスコミックス 秋田書店
日曜日、渋谷のBOOK OFFで見つけました。
裏表紙にあの「宝塚」に男子部があった!――実話をもとにした感動の青春グラフィティ!とあります。
ええっ!!とパラパラ中を見ると終戦後、一時ホントにあったらしく
2007年、2008年と舞台化されてて、その舞台写真まで載ってる!びっくりした
中身はマンガとしてどうかっていうと面白くないというか、
どうという事はないというか、へえ、そうなんだ止まりです
たぶん原案の辻氏が書いた『男たちの宝塚―夢を追った研究生の半世紀』(のじぎく文庫)を
読んだ方が面白いのかな?
終戦後、元々「宝塚」という華やかな舞台に憧れていた青年たちが
自分たちも舞台に立ちたいと強く願い、1人の青年が創始者である小林一三さんに手紙を書いて
男子部結成になったんですが、馬の足とか陰コーラスの仕事はあれど
なんだかんだあって、ライトを浴びる事は1度もないまま、解散した――という内容です。
時代が時代だけに青年たちはみんな熱いし、画もきれいでいいんですが、感動はちょっと…
自分の友達にも塚ファンはいます。出マチ、入マチは当たり前らしいです。
自分は生舞台を観たことがないので何も言えませんが、
ミュージカル自体がそんなに好きではないので入り込めない気がしてます。
塚ファンの方が読むと感動するのかなぁ…
2010年8月「宝塚BOYS」が新生・BOYS 誕生!!と銘うって3度目の舞台化だそうです。
興味のある方は行ってみてください。
『テルマエ・ロマエ』 ヤマザキマリ 著 BEAM COMIX エンターブレイン
マンガ大賞2010 大賞受賞、第14回手塚治虫文化賞 短編賞受賞と
凄い事になってるんですねぇ。
う~ん、確かに面白い!
でも、電車の中で笑いを堪えるってのじゃなくて、
ここまで風呂にこだわって、ローマ彫刻張りの主人公で毎回話を進めるってのが
なんとも面白い。
それもアイデアの源はタイムスリップして収集する日本の風呂事情。
自分が知ってる世界じゃないと本人驚きはするけど、
風呂に集中するあまり、その辺はなんとなくクリアできちゃったりする。
自分の発想が全て、オリジナルではなく平たい顔族の模倣だと悩み、
ハドリアヌス帝の前では緊張のあまりお腹ぐるぐるになっちゃったりする真面目ヤロウ。
そんなこんなで、彫像顔ルシウスは愛すべき好人物であるらしい。
それぞれ、話の最後に載ってるコラムは
あちらでの生活が長い作者ならではの話と
本人も相当風呂にこだわってるのが分かって面白いです。
巻の最後、3年も家を空けて奥さんに逃げられてしまったルシウス。
「過酷な運命と風呂に翻弄されるルシウス!!頑張れルシウス!!」
とあったのがけっこう笑えた
古代ローマの設計技師(風呂限定)ルシウス。
仕事熱心な彼は浴場のアイディアについて悩みまくり、
そのあげく現代日本の銭湯にワープ!?
彼は日本と古代ローマ(風呂限定)を往来できる体質になってしまったのだ!!
好漢ルシウスの時空を越えた大冒険(風呂限定)が始まった!!
(本書帯より)
『俺と彼女と先生の話』 トチツキハジメ 著 WINGS COMICS 新書館
トチツキハジメはBL漫画家なのかな?
初めて読んだので他の作品がどんなのかは全く知りません。
この『俺と~』はなかなか面白かったです。
どこか『百鬼夜行抄』を思わせる怪奇モノかな。(全くBLではありません。)
画も安定してます。
最初、ガタイのヨサゲなプーっぽい“俺(謙清)”が好きじゃないなぁと思ってたんですが、
この坊主、お家が三代続く茶道家!その茶のセンスは正に神童!!
この設定はいいぞぉ。一気に株急上昇です。
なんせ、あやかしを茶でもてなすんですから。
高橋謙清はある日、謎の美少女・小町から「早死にする」と告げられる。
その直後、祖母からの電話で「ある用事」を託かり、
指示された先を訪ねてみると、
そこには民俗学の研究をしている鈴木という男がいた。
この三人が出会い、彼岸(ひがん)と此岸(しがん)の狭間(はざま)で起こる
現代怪奇譚が幕を開ける――…!
(裏表紙から)
鈴木先生の飄々感も良いし(でも病んでるシスコン)、小町はかわいい。
最後のオマケに載ってるバイト仲間の田中君が
何気に見えちゃう体質ってのも笑えました。
謙清と小町ちゃんでシリーズ化しないのかなぁ。
ところで第14回手塚治虫賞文化賞 マンガ大賞『へうげもの』に決まりましたね。
新生賞が『虫と歌』(読んでいたのでちょっと嬉しい)
それより短編賞が『テルマエ・ロマエ』ヤマザキ マリ 著。
これ手元にあるんですがまだ読んでない
スゲー面白いよと言われ借りてるんですが、早く読まなきゃ~
『櫻狩り 下』 渡瀬悠宇 著 フラワーコミックススペシャル 小学館
これはやはりBLというジャンルになるんでしょうね。
読後感は巷にあふれてるBLを読んだ時とはかなり違う気がする・・・
あとがきにもあるように、ここに描かれている性描写は
最後のシーン以外はすべて性暴力、虐待、
読んでいてけして気分のいいものではありません。
昔からある「男色文化」は男同士であるが故、
やはりリンチの要素があったのではと思いました。
下巻での正崇の成長っぷりはアッパレでした。よくぞここまで・・・
自分的には最後のラブシーンは無くても十分だったのではと。
蒼磨が正崇から「貴方を赦します」と言われ
己も父親に「赦して居ます」と言えた時点で、
憎しみの連鎖がほぼ浄化されているのではないでしょうか。
正崇の生い立ちを聞き、己のした仕打ちに愕然とし
「有り難う、生まれて来て呉れて―」と言った事で十分では・・・。
著者はまだ描き残した部分があるようなので
どこかで続編が読めるかと思います。
それもまた楽しみです。
うん十年ぶりに少女マンガ月刊誌を買ってみた。
もちろん付録目当てである。(小学生のようだ・・・)
萩尾望都描き下ろしクリアファイル
3枚手に入れるためには続けて5、6月号も買わねばならない
うちの娘等は今どきの女子中高生らしく少女マンガを読まない。
クラスで回るのは少年誌である。
たまに自分で買うのは、ややお値段のはるアニメ雑誌。
子供部屋で目にするのは今っぽい画風のマンガ。
ホントに久々に少女マンガ雑誌の中を見て、
岩本ナオ、西炯子、小玉ユキ、この辺はここで描いてたのかとあらためて気付き、
同じ紙面に田村由美、渡辺多恵子、赤石路代が並んでいるのかと少し驚いた。
(まあ、本誌なんてそんなものか)
そして、それぞれ話の前か後ろかその両方に
その作家先生の単行本情報が載っている。ほう、そうなんだぁ。
単行本を買うときや友人から借りるときは、自分の好みであろうと
推察しながら選んで読んでるけど
やはり自分、ライトノベルの挿絵的な画風に毒されてるなぁと。
4月号では井上ナヲの『紺碧の空の先に何があるのか』が魅かれたかな。
別の作品も読んでみたい。
本誌を読んでるとぶつかる情報というのもありましたよ。
小玉ユキ先生、出産休業だそうで数ヵ月連載を休むそうです。
『坂道のアポロン 6』は予定通り夏頃発売だそうで。
少年誌を読んでる下の娘が
「ゼッテェ読めよ!」とテーブルに積んでいった『バクマン』。
2010年版「このマンガがスゴイ」男編1位、
2010年マンガ大賞にノミネートされてますね。
2巻目まで読みました。クワーッ!ジャンプ系、青春っすね。
読んでると力入っちゃったりするから、少しずつ読みます。
7巻まで出たのかな。
秋にはNHK教育でアニメ化。デスノみたいに流行るのかなぁ。
『SARU 上』 五十嵐大介 著 IKKI COMIX 小学館
五十嵐ワールド全開ですか。
明朝北京・紫禁城、ツングースカ大爆発、フォークランド紛争、ノストラダムス、
地球温暖化、国際ダンスビエンナーレ、エクソシスト、黒魔術、西遊記
すべてを繋ぐ猿・・・
ものすごい大風呂敷広げてますが、これ下巻で決着付くんでしょうか。
ナワン・ナムギャルの存在意義は?奈々は?
下巻楽しみですねぇ。
そして競作プロジェクトの伊坂幸太郎の『SOSの猿』
二人で出し合ったアイデアを共有しながら別の独立した物語を作り上げる
というプロジェクトらしいですが、どんな話になってるのか読んでみたいです。
家電量販店の店員・遠藤二郎は、イタリアで修行した「エクソシスト」という
もう一つの顔を持つ。遠藤は他人の発する「SOS」を見過ごせない性格だった。
ある日、知り合いの「辺見のお姉さん」に
ひきこもりの息子・眞人の悪魔祓いを依頼され、辺見家に赴く。
一方、桑原システムの社員・五十嵐真は、
20分間で300億円の損失を出した菩薩証券の株誤発注事故の調査を命じられる。
菩薩証券は、ミスの原因をシステムのせいにしたがっているという。
聞き取り調査を始めた五十嵐は、なぜか奇怪な幻想に翻弄されていく。
眞人の部屋で「西遊記」を発見する遠藤。そして五十嵐の前には異形の猿が......。
これは現実か妄想か。二つの物語のゆくえはいかに。
〈中央公論新社HPより〉
誰かもってないかなぁ。
娘に学校の図書館物色してきてもらおうかな