総務という仕事柄、催し物の準備だけでなく、
司会進行までやらなければならないことも多々あります。
都内での、ある祝賀式典で司会進行を務めたときのことです。
当初の予定では、主賓の筆頭は区長、
そのあとに数名の区議会議員が名を連ねていました。
しかし、あいにく区長は公務の都合により欠席、
代わりにその秘書が代理出席となりました。
区長代理の秘書と区議会議員、どちらを上席にもってくるか?
祝辞はどちらにもお願いしてあります。
単純に区長秘書という立場での出席なら、
議員を上席にもってくるのは言うまでもありませんが、
このときは「区長の代理」という立場です。
主催者と相談し、式典の席次は区長秘書を筆頭にし、
祝賀会での祝辞も、一番最初にお願いすることになりました。
ところが、祝辞を頼まれていた区議会議員は、
これがどうにもおもしろくなかったようです。
「自分よりもはるかに年下の若造が、
秘書の分際で自分よりも上席に座り、先に祝辞を披露する」
ということがどうにも我慢ならなかったらしいのです。
「次に区議会議員〇〇様より、ご祝辞を頂戴したいと存じます」
司会者がそう案内しても、一向にマイクのある壇上に来ようとはしません。
「〇〇様、ご祝辞をお願いいたします」
さらに促すと、周囲の取り巻きが「ほら呼んでるよ」と議員を促します。
するとその議員はあろうことか、こう言い放ちました。
「おれはやらねぇよ。やってられるか!」
周囲から失笑が漏れます。
困惑した司会者が主催者側の責任者に目をやると、
小さくうなづいて「先に進めろ」と目配せしました。
その合図に救われ、どうにか式典は混乱せずに終わったのでした。
あとで聞いたところによるとこの責任者は、
式典の終了後、その区議会議員のところに謝りに行ったそうです。
また、北関東のある町議会議員を招いての式典では、
祝賀会で酒類が振る舞われるため、
あらかじめ、「お車でのご来場はお控えください」とお知らせし、
主催者側でタクシーを手配していました。
しかし、来賓者は続々と自家用車を運転して集まってきます。
閉会後、真っ赤な顔をしている議員に、
「タクシーを手配していますから」 と引きとめても、
ほとんどの議員がタクシーを使いません。
「ここじゃこれがあたりまえ。
こんな田舎じゃ、車がなけりゃ酒も飲めねぇよ」
強い訛りでそう言いながら、
自分でハンドルを握って帰っていくのでした。
こういう言い方は適切ではないかも知れませんが、
地方議会の議員のモラルや品性はのレベルは、
行政の規模に比例する傾向があるような気がします。
それはその議員たちを見ている有権者の数の多寡に
関係しているのではないだうかと思えるのです。
じゃあ国会議員が一番立派なのか?
そう問われると、そうも言えないところが、
日本の政治家の情けないところなのですが。