くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

議員の品性を創るもの

2012-12-13 22:53:14 | 総務のお仕事(いろいろ)
総務という仕事柄、催し物の準備だけでなく、
司会進行までやらなければならないことも多々あります。

都内での、ある祝賀式典で司会進行を務めたときのことです。

当初の予定では、主賓の筆頭は区長、
そのあとに数名の区議会議員が名を連ねていました。
しかし、あいにく区長は公務の都合により欠席、
代わりにその秘書が代理出席となりました。
区長代理の秘書と区議会議員、どちらを上席にもってくるか?
祝辞はどちらにもお願いしてあります。

単純に区長秘書という立場での出席なら、
議員を上席にもってくるのは言うまでもありませんが、
このときは「区長の代理」という立場です。

主催者と相談し、式典の席次は区長秘書を筆頭にし、
祝賀会での祝辞も、一番最初にお願いすることになりました。

ところが、祝辞を頼まれていた区議会議員は、
これがどうにもおもしろくなかったようです。
「自分よりもはるかに年下の若造が、
 秘書の分際で自分よりも上席に座り、先に祝辞を披露する」 
ということがどうにも我慢ならなかったらしいのです。

「次に区議会議員〇〇様より、ご祝辞を頂戴したいと存じます」
司会者がそう案内しても、一向にマイクのある壇上に来ようとはしません。
「〇〇様、ご祝辞をお願いいたします」
さらに促すと、周囲の取り巻きが「ほら呼んでるよ」と議員を促します。
するとその議員はあろうことか、こう言い放ちました。

「おれはやらねぇよ。やってられるか!」

周囲から失笑が漏れます。
困惑した司会者が主催者側の責任者に目をやると、
小さくうなづいて「先に進めろ」と目配せしました。
その合図に救われ、どうにか式典は混乱せずに終わったのでした。

あとで聞いたところによるとこの責任者は、
式典の終了後、その区議会議員のところに謝りに行ったそうです。

また、北関東のある町議会議員を招いての式典では、
祝賀会で酒類が振る舞われるため、
あらかじめ、「お車でのご来場はお控えください」とお知らせし、
主催者側でタクシーを手配していました。
しかし、来賓者は続々と自家用車を運転して集まってきます。

閉会後、真っ赤な顔をしている議員に、
「タクシーを手配していますから」 と引きとめても、
ほとんどの議員がタクシーを使いません。

「ここじゃこれがあたりまえ。
 こんな田舎じゃ、車がなけりゃ酒も飲めねぇよ」

強い訛りでそう言いながら、
自分でハンドルを握って帰っていくのでした。

こういう言い方は適切ではないかも知れませんが、
地方議会の議員のモラルや品性はのレベルは、
行政の規模に比例する傾向があるような気がします。

それはその議員たちを見ている有権者の数の多寡に
関係しているのではないだうかと思えるのです。

じゃあ国会議員が一番立派なのか?

そう問われると、そうも言えないところが、
日本の政治家の情けないところなのですが。



三代目が国を潰す

2012-12-12 23:01:05 | 政治経済のことも考えよう
「三代目が会社を潰す」とは、よく聞く言葉です。
しかし、これは何も会社に限った話しではありません。
国家が道を誤るのも、節目から三代あと、
すなわち孫の代であることが多いものです。

たとえば日本。
明治維新で新しく生れ変った日本は、
維新を成し遂げた先達が一代目だとすると、
その子供たちが遺志を受け継いで近代国家を築くために邁進しました。
そして名実ともに近代国家の仲間入りを果たした日本は、
維新から数えておよそ孫の代で道を誤り、
不幸な戦争へと突き進んで行きました。

それは当時の軍人や政治家の多くに、
明治維新で活躍した人物の孫がいたことからも明らかです。
近代国家となり、彼らはアメリカやヨーロッパに留学し、
当時最高の教育を受けたはずにもかかわらず、
三代目は道を誤ったのです。

苦労知らずの三代目が、
会社の創業理念を忘れてしまうように、
国家も建国の志を忘れてしまうのでしょうか。

いま身近なところで孫の世代が統治する国家といえば、
すぐに思い当たるのは中国と北朝鮮です。
北朝鮮など、名実ともに「創業者の孫」です。
そして日本もまた、敗戦から出直したときから数え、
孫やひ孫の世代が政治の中心となりつつあります。

歴史を見れば、
対外的に諍いを起したり、内部崩壊で自滅したりと、
道の誤り方はさまざまですが、会社を例に挙げるまでもなく、
三代目の時代こそ、不幸な歴史を繰り返さないよう、
注意していかなければなりません。


紙がなくなる日

2012-12-10 23:32:14 | つれづれなるまま
ある有名なIT企業の社長が、
「30年後には、情報はすべて電子化され、
 紙の媒体は消滅するだろう」 と豪語していました。

しかし、どんなにIT技術が発達し、
電子化が進んだとしても、紙の媒体で育った私たちが、
完全にそれを手放すことはできないでしょう。

何かのマニュアルなど、
必要な部分だけを読むようなものは電子媒体が便利ですが、
最初から最後まで読まなければ理解できないような、
体系的に記された専門書や大河小説のようなものは、
やはり紙の媒体が読みやすいものです。

おそらく、当分の間は、
そのような紙媒体と電子媒体の棲み分けが続くに違いありません。

そして、いよいよ紙の媒体が消滅するのは、
小学校で配られる教科書がiPadのような電子媒体になり、
それらで学んだ子供が大人になる時代でしょう。

たぶんそのような教育を受けて育った子供たちは、
一昔前に言われたような新人類などと言う比ではなく、
良くも悪くも、いまの私たちにはとうてい理解できない思考をもった、
新しい人類になっていることでしょう。

子供の頃から本や新聞を読まず、
スマホやケータイに慣れ親しんだ世代が親になり、
その親に育てられた子供たちがやがて大人になる頃には、
そんな時代になっているような気がします。



リヒテンシュタイン秘宝展

2012-12-09 13:49:06 | お出かけ
国立新美術館(東京・六本木)で開催中の
「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」展に行ってきました。

 
国立新美術館(2007年開館)
名称は「美術館」ですが、企画展や公募展のための建物で、
美術品のコレクションは保有していないそうです。
企画展を観たあと、常設展を探してしまいました。まぎらわしいです。

(画像クリックで拡大)

美術展としては、久しぶりに自分のツボにはまりました。
入場して最初の4点の絵画を観ただけで、図録の購入を決めたほど。
作品の背景にある物語をもっと知りたくなるような展示品ばかりでした。

また、驚いたのは、その保存状態の良さ。
およそ300~400年も前に製作されたものとは思えないほど。
静物画に描かれた銀食器の輝きや果物のみずみずしさ、
人物画の生き生きとした鮮やかな色使いは、
いまもまったく損なわれていません。

人類の知の遺産である美術品の収集と保護を家訓とする、
リヒテンシュタイン侯爵家の500年にわたる深い思い入れを感じさせました。


リヒテンシュタイン展チラシより(画像クリックで拡大)

リヒテンシュタイン侯国は、スイスとオーストリアの間にある、
世界で6番目に面積の小さな、立憲君主国家です。
国家元首は12世紀頃からハプスブルク家に仕えていたリヒテンシュタイン侯爵家。
カール1世(1500年代後半)の時代から本格的に美術品収集が始まり、
そのコレクションを通じて、当時ヨーロッパ全土を支配していた神聖ローマ帝国、
ルドルフ2世と交流、世襲侯爵位を授与されたといいます。
そして1700年代前半、神聖ローマ帝国から自治権が与えられ、
神聖ローマ帝国の領邦国家として侯国となりました。

いわば美術品収集が国家成立のきっかけになったという特異な国で、
いまや所蔵する美術品は30,000点、英国王室に次ぐ数と質を誇るそうです。

 象牙のジョッキ(1676年)

展示は絵画が中心ですが、調度品も数多く出展されています。
象牙のジョッキは、現存する象牙彫刻としては、
世界最高傑作のひとつと評されているものだそうです。
これだけでも一見の価値あり。とても人間技とは思えません。

東京展の会期は残り二週間(12月23日)まで。
年明けに高知と京都を巡回するそうですからぜひとも御一見!


案外とおもしろいかも

2012-12-07 19:01:28 | 総務のお仕事(防災)
ようやく今年の震災訓練(BCP訓練)が終わりました。

「シナリオに基づく訓練も大事だが、
 最悪の被害を想定した、実践的な訓練を!」

経営層からそう指示され、
訓練実施までの一ヶ月間は、目の廻るような忙しさでした。

たしかに昨年までの訓練は、
「発震後ほどなくして、震災対策本部のメンバーが参集できる」
という前提のシナリオでしたから、想定が甘すぎでした。
プロットも登場人物もすべて作りなおしです。

そこで会社から5km圏内に居住する社員数名を拝み倒し、
「社長命令だから」と、半ば強引に特別震災対策チームを編成。
今回から、メンバーの養成を始めることになりました。

経営層の要求レベルは、
「震災時は、チームの誰が出社しても、
 また社屋が被災していても、 発電機やパソコン、
 衛星電話など残された手段を駆使し、
 社員の安否や、出先事業所の被災状況の確認など、
 事業継続のための最低限の初期対応ができる」というもの。

それはまさに、映画に出てくるような、
知力と体力に長けたスーパーヒーローのイメージです。
思わず「映画の見すぎです」とツッコミたくなりました。