くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

リヒテンシュタイン秘宝展

2012-12-09 13:49:06 | お出かけ
国立新美術館(東京・六本木)で開催中の
「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」展に行ってきました。

 
国立新美術館(2007年開館)
名称は「美術館」ですが、企画展や公募展のための建物で、
美術品のコレクションは保有していないそうです。
企画展を観たあと、常設展を探してしまいました。まぎらわしいです。

(画像クリックで拡大)

美術展としては、久しぶりに自分のツボにはまりました。
入場して最初の4点の絵画を観ただけで、図録の購入を決めたほど。
作品の背景にある物語をもっと知りたくなるような展示品ばかりでした。

また、驚いたのは、その保存状態の良さ。
およそ300~400年も前に製作されたものとは思えないほど。
静物画に描かれた銀食器の輝きや果物のみずみずしさ、
人物画の生き生きとした鮮やかな色使いは、
いまもまったく損なわれていません。

人類の知の遺産である美術品の収集と保護を家訓とする、
リヒテンシュタイン侯爵家の500年にわたる深い思い入れを感じさせました。


リヒテンシュタイン展チラシより(画像クリックで拡大)

リヒテンシュタイン侯国は、スイスとオーストリアの間にある、
世界で6番目に面積の小さな、立憲君主国家です。
国家元首は12世紀頃からハプスブルク家に仕えていたリヒテンシュタイン侯爵家。
カール1世(1500年代後半)の時代から本格的に美術品収集が始まり、
そのコレクションを通じて、当時ヨーロッパ全土を支配していた神聖ローマ帝国、
ルドルフ2世と交流、世襲侯爵位を授与されたといいます。
そして1700年代前半、神聖ローマ帝国から自治権が与えられ、
神聖ローマ帝国の領邦国家として侯国となりました。

いわば美術品収集が国家成立のきっかけになったという特異な国で、
いまや所蔵する美術品は30,000点、英国王室に次ぐ数と質を誇るそうです。

 象牙のジョッキ(1676年)

展示は絵画が中心ですが、調度品も数多く出展されています。
象牙のジョッキは、現存する象牙彫刻としては、
世界最高傑作のひとつと評されているものだそうです。
これだけでも一見の価値あり。とても人間技とは思えません。

東京展の会期は残り二週間(12月23日)まで。
年明けに高知と京都を巡回するそうですからぜひとも御一見!