中国人船長の釈放の速報を受け、
石原都知事は会見で、「中国のやり方はやくざと同じ」と発言しました。
この人の発言は、いろいろと眉をひそめるようなものもありますが、
今回の「暴力団の縄張り拡張と同じ」という発言にはまったく同感です。
那覇地検は釈放を決めた理由について、
「日本国民への影響や、今後の日中関係を考慮した」と発表しました。
理由が「嫌疑不十分」ならともかく、このような理由で釈放するということは、
那覇地検が独断で決められることではなく、
当然、政府からの指示や合意があったと見るべきでしょう。
今回の釈放は、店の前にやくざをたむろさせて営業妨害をしている暴力団に、
「言う通りにしますから、商売させてくださいと」言ったようなものです。
「外交と暴力団追放を一緒にするな」と聞こえてきそうですが、
人間の心理など、しょせん同じです。
一度、不当な要求に応じれば、
すなわち、「こいつは脅せば言うことをきく」と思われれば、
理不尽な要求は次第にエスカレートするということです。
「日本の司法手続きは、違法かつ無効」と主張する前提には、
「尖閣諸島は中国領土である」という主張があります。
したがって、日本が司法手続きを中途半端なままで終わらせたということは、
中国にとっては、「日本は中国の主張を認めた」ということか、
あるいは「脅せば屈する弱腰国家である」ということのいずれかであり、
長い目で見れば、いずれに転んでも日本の国益にはつながらないということです。
一度、不当要求を認めてしまうと、
両者の力関係を断ち切ることは至難の業です。
日本は目先の利益にとらわれて、大きな失敗を犯しました。
「損して得とれ」のまったく逆をやってしまったと思います。
せめて今回の中国の理不尽な対日政策を教訓として、
日本は、中国に頼らない経済政策へと舵を切るべきです。
ベトナムやインドなど、日本が手を組める国は中国だけではありません。