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(書評)ジム・ロジャース「冒険投資家ジム・ロジャース 世界大発見」

2006-10-29 21:54:20 | 読書
何度かこのブログで述べていますが、私は現場主義が大好きです。海外出張では車と通訳を雇って、まず普通の旅行者が訪れることがないような片田舎を走り、工場ばかりを見て回っていると(まあ、海外に来てまで工場を訪問する旅行者自身、少数派なのですが)、世間で喧伝されていることと現実がかなり異なることに気づかされます。

さて本書は究極の現場主義の本です。ウォール街の伝説の投資家が、改造べンツを運転して110ヶ国以上に及ぶ国々を3年間の月日をかけ見て回った冒険の記録です。ちなみに筆者は自動車による冒険の前にバイクでやはり世界中を旅し、その記録を本にまとめていますが、こちらもお薦めです。
北極圏からアフリカ、南米と、腐敗した政治家とNGOに怒り、絶望的な官僚主義に妨害され、戦闘地域でかなり危険な目に遭いながら、彼はまさに世界中を見て回ります。そしてその国が「買い」か「売り」かを指摘しますが、地べたの視点から現場を眺めている彼の指摘は非常に鋭いものがあります。訳者もあとがきでも述べていますが、彼の旅は1998年から2001年に及ぶものですが、まるで現在のことを記述しているのではないか、と錯覚してしてしまいます。

自分で運転するわけでもなく、またほんの限られた地域しか目にしていない私には、当たり前ですがとうてい彼にはかないません。大投資家になろうという野望は私には毛頭ありませんが、彼のように世界中を見てみたい、そんな気持ちになる本です。

冒険投資家 ジム・ロジャーズの世界大発見 (単行本)
ジム・ロジャーズ (著), 林 康史 (翻訳), 望月 衛 (翻訳)