歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

「広辞苑」10年ぶりに改訂

2008-01-31 23:00:13 | ニュース・雑感
 ちょっと疲れたのでゆるいネタを。こんな記事を見つけました。

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10年ぶり改訂…「広辞苑」【キャバクラ】落選のワケ
全男性編集部員“現場”経験なく…

 岩波書店の広辞苑が10年ぶりに改訂され、第6版が今月から発売された。かつて人気を博した知恵蔵やイミダスが休刊する中、すでに目標の34万部を予約注文だけでクリアし、改めて老舗の強さを証明した。新たに加わった1万語の中には、「いけ面」「さくっと」「ラブラブ」など日常、頻繁に使われる現代語やカタカナ語が多く収録されたが、よく耳にする言葉の中には、意外な落選組もあった。

(中略)

 東大名誉教授で国語項目を統括する山口明穂氏に、上野さんを含む3人の男性編集部員の計4人で行われた採用会議で、「キャバクラ」は、一度は採用する流れになった。しかし、試しに書いた原稿の内容が、〈若い女性が酒で接待するところ〉。

 「だったらスナックだっていいじゃないか」「大体キャバレーとクラブの違いは何なのか」「クラブというからにはキャバクラは会員制なのか!」と、会議は大紛糾した。

 「誰も行ったことはないのか」と山口教授に指摘され、一同「ごめんなさい、ありません」と頭をかいたが、「みんなで行ってみよう」とはならなかった。

 そこで、百聞は一見にしかずと一番若い20代後半の編集部員が「そんなのお金くれれば僕が行きますよ!」と名乗りを上げたものの、「おまえに出す金はない!」と却下された。「そこまでして載せる項目か?」と冷静さを取り戻し、結局、採用は見送ることになったという。(以下略。全文はこちら
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 言語学者らの言葉の定義に対する真摯な取り組みには頭が下がります。ネットを検索すればいくらでも事例は見つかるとは思うのですが、そのような安易な方法には頼らずに実証にこだわる点が学者としてのプライドなのでしょう。
 しかし、「広辞苑」に収録されている新語は、すべて採用に際してはこのように言語学者らによって喧々諤々の議論が行われているのでしょうか。その場面を想像すると、大変だろうなあと思うと共に、可笑しくなってきますね。

携帯電話の価値

2008-01-31 00:35:06 | ニュース・雑感
 女優の上戸彩さんが、ソフトバンクモバイルの孫正義社長から写真のようなダイヤをちりばめた1000万円以上の携帯電話をプレゼントされたのだそうです(いいな~ 上戸彩ダイヤの携帯ゲット(スポーツニッポン) - goo ニュース)。

 ほとんどの日本人が持つようになった携帯電話。飽和し成熟した市場の中で生き残っていくため、ワンセグやらオサイフといった機能、デザインで競い、そして料金値下げ、と絶え間ない競争を続けてきた携帯電話業界は相当疲弊しているかと思います。そんな中、超高級モデルを投入してきた孫正義社長はやはりタダモノではないな、と一瞬感じました。高額所得者を対象としたマーケットはニッチかもしれませんが、厳しい競争とは無縁な世界なので利益率は高いでしょうし、ブランド力を高める効果も大きいでしょう。彼のこれまでの強引な商法には反発も感じましたが、これは他社が容易にまねできない、うまい戦略だ。。。と思ったら、なあんだ「限定10台」ですか。

 私が孫正義社長に商才を一瞬感じた背景には、超高級携帯電話の市場が世界で拡大しているように思えるからです。もともと産油国にはとんでもない金持ちがいますし、資源高騰を背景にロシアなどの資源国でもとんでもない金持ちが増えています。経済の急成長が続く中国も同様です。そんなスーパー金持ちだけでなく、全世界で進行している格差の拡大の中で増加している、プチ富裕層とも言える階級の人たちをターゲットとした携帯電話が、VERTUというブランドです。

(以下wikipediaより引用)
2002年に富裕層向けの高級携帯電話ブランドとして展開を開始し、現在ヨーロッパやアジア、中東、アメリカ諸国で展開している。なお、正しい発音は「ヴァーチュ」であり、英語などの外国語を解さない日本人がしばしば誤読する「ベルチュ」ではない。
ダイヤモンドなどの宝石やプラチナ、金などをちりばめたデザインの、数十万円から数百万円の価格で販売される電話機と、質の高いコンシェルジュサービスの提供が世界的に評判を呼び、富裕層を中心に人気を呼んでいる。
(引用終わり)

 中心価格帯はソフトバンクのティファニー携帯よりは安い、とはいえ、一般庶民には無縁であるのは同じ。しかしVERTUとティファニー携帯の大きな違いは、VERTUにはコンシェルジュサービスがついてくることです。どんなサービスなのか、VERTUブランドの生産に関わっているノキアのプレスリリースによると以下の通りです。

(以下引用)
Vertuを購入することは長期的な投資であり、クライアントはユニークなサービスを受けることができます。Vertuを購入すれば、世界でも限られた人だけのコミュニティのメンバーになって、Vertu コンシェルジュを利用することができます。世界の最高ホテルに匹敵するグローバル・ネットワークを24時間いつでも利用できるこの専用サポートシステムでは、ユーザーが専用キーを押すだけで、旅行やエンターテインメントの詳しい情報だけでなく、予約、優待料金、緊急サポートへのアクセスを得ることができます。Vertu コンシェルジュは、米国、ヨーロッパ、アジアで利用可能です。
(引用終わり)

 きっと「クルーザーをプライベートビーチによこしてくれ」といったリクエストにも迅速に対応してくれるサービスなのでしょうね。
 富裕層の人々にとっては宝石も重要かもしれませんが、お金儲けで毎日忙しいでしょうから時間も重要でしょう。VERTUが世界の富裕層に支持されているのは、単に宝石をちりばめているだけでなく、こうした特別なコンシェルジュのサービスが伴っているからなのでしょう。

 しかし、そもそも携帯電話の価値は何で決まるのでしょう。
 それはティファニー携帯のようなちりばめられた宝石ではなく、VERTUが用意している特別なコンシェルジュのサービスでもないでしょう。また、ワンセグなどの余分な機能でも、人の目を引く先進的なデザインでもないような気がします。
 大切な愛する人、かけがえのない友人、尊敬できる人生の先輩、自分を信頼してくれる取引先、などの電話番号でアドレス帳が満たされており、いつでもどこでもお互いつながりあえる手段として手のひらの中にあること。これが携帯電話の基本的な価値であって、その他は全て付録のようなものでしょう。なんてこと言いつつ、ガジェット好きな私は機能やデザインにもかなり目を向けてしまうのですが(苦笑)

堤未果「ルポ 貧困大国アメリカ」(岩波新書)

2008-01-28 23:06:49 | 読書
 堤未果「ルポ 貧困大国アメリカ」(岩波新書)を読みました。

 著者はアメリカの大学を卒業後、アメリカで就職、勤務している中で.11のテロを体験をした後、ジャーナリストとなった方です。彼女は、ローンの破綻で家を失った人や、高額な医療費を払えずまともな治療が受けられない人、ハリケーンで家を失い人間として最低の生活を強いられている人、貧困故に過酷かつ危険なイラクへ出稼ぎに行かざるを得なくなった人などなど、様々なアメリカの経済弱者やNGOなどに対して丹念にインタビューを重ね、このルポをまとめています。アメリカにも貧困層は多いとは知識では知っていたつもりですが、彼らの置かれた絶望的な状況と、そのような状況にある貧しいアメリカ人の数の多さははるかに私の想像を超えていました。
 たとえば、アメリカでは低収入の家庭の子供たちは、収入の水準によって学校で割引給食(国から一部補助が出る)または無料で給食を受けることができる「フードプログラム」という制度があるのですが、このプログラムに登録した生徒数は全米で実に3,002万6,000人にものぼります。人口約3億人の大国とはいえ、この数はとても世界一豊かな国とは言えない数字であると思います。

 さらに衝撃的であったのが、そうした弱者の群れが、民営化の名のもとで軍産複合体の巨大ビジネスの食い物になってしまっている、というおぞましい現実です。
 儲けを最優先する民営の医療保険は高額で、多くの企業は負担できません。このため企業が負担しきれない部分は個人が支払うことになるのですが、その負担は経済弱者にとってあまりに高額です(盲腸の手術でたった1日入院するだけで個人負担が1万2000ドル!)。医療機関も競争原理が導入され、投資家を満足させるために効率が重視するあまり、医療サービスは大幅に低下しています。
 民営化されたのは医療という「命の現場」だけでなく、「教育の現場」も同様です。アメリカは階層社会で、大学卒業の資格がなければ条件の良い職業に就くことは難しいのですが、大学の学費は高額です。このため巨額なローン負担を抱える学生が多いのです。そしてそのような学生に「手をさしのべている」のが軍なのですが、入隊してもローン負担はなかなか減らずに、イラクの前線に送られるという厳しい現実があります。そしてアメリカでは戦争すら民営化が進んでおり、イラクのような戦地においても物資の輸送業務などは民間会社にアウトソーシングされています。そこで自爆テロなどに怯えながら丸腰でトラックの運転手や倉庫の作業員などとして働いているのは、医療費の負担などで貧困層に転落したアメリカ人と、ネパールなどアメリカよりも貧しい国々の人々なのです。

 こうした状況について、彼女がインタビューしたある人権NGOのスタッフは以下のように述べています。
 
(以下引用)
「もはや徴兵制は必要ないのです。」
「政府は格差を拡大する政策を次々と打ち出すだけでいいのです。経済的に追いつめられた国民は、黙っていてもイデオロギーのためでなく生活苦から戦争に行ってくれますから。ある者は兵士として、またある者は戦争請負会社の派遣社員として、巨大な利益を生み出す戦争ビジネスを支えてくれるのです。大企業は潤い、政府の中枢にいる人間たちはその資金力でバックアップする。これは国境を超えた巨大なゲームなのです。」
(引用終わり)

 悪夢であるとしか思えません。

 日本は実は社会主義国家だとよく言われてきました。グローバリゼーションの中で日本経済が活力を維持していくには法人税の引き下げだ、役所の仕事の民営化だと主張されています。私も日本の行きすぎた平等主義や硬直的なお役所仕事には辟易しますが、企業として担うべきコストをいたずらに国民に転嫁したり、国が本来担う領域まで経済原理に委ねようという政策は、こうしたアメリカの例を見るまでもなく危険だと思います。
 人件費、土地、水、電力、などコストの高い日本がグローバリゼーションの中を生きていくには、コスト(中でも人件費)を下げるしかない、という発想はそもそも安易に過ぎる思います。多少コスト高であっても世界市場から求められるような、魅力ある、高付加価値な財とサービスを生み出していくことこそ、これからの日本の課題でしょう。そして、そのための企業の努力をバックアップし、各種のインフラ整備(たとえば社会福祉制度も、安心して働くことができるための産業インフラの1つだと思います)を進めていく政策が政府に求められているのではないかと考えます。

1歳から100歳まで

2008-01-27 21:31:15 | 動画
  GIGAZINEで知った、1歳から100歳までの100人が順番に太鼓を叩いていくビデオです。大変シンプルなビデオなのですが、かえってそのシンプルさが「光陰矢の如し」という言葉の重みを改めて強く感じさせてくれました。



横浜ドックヤードガーデンを訪れました

2008-01-27 20:52:29 | 日常
 子供と一緒に横浜ランドマークタワーにある「ポケモンセンターヨコハマ」に行った帰り、横浜ドックヤードガーデンに立ち寄りました。
 今まであまり気に留めていなかったのですが、日本に現存する商船用石造りドックとしてはもっとも古く、国の重要文化財として指定されているんですね。現在、このドックヤードガーデンの内部には飲食店が多くテナントとして入っていますが、ドックの石積みの重厚さがおしゃれな雰囲気を醸し出しています。




 明治28年起工、という表示板が歴史の重みを感じさせます。

 さあ、帰ろうと思っていたら、ドック脇に浮かぶ「日本丸」と「マリタイムミュージアム」が、今日は日本丸の竣工記念日とのことで入場無料でした。これはラッキーと思って子供を連れて見てきました。


 やはり船ってロマンを感じさせますね。

Willcomのスマートフォンesがまた死亡

2008-01-26 00:58:00 | IT,インターネット
 Willcomのスマートフォン、esを使い続けて1年以上になります。フルキーボードと大画面の液晶を備えているesは、外出先で長文のメールを作成したりwebを閲覧したりする機会が多い私にとって、大変活躍してくれるマシンなのですが、あまりにOSのWindows Mobileに起因する不具合が多すぎます。おかげでこれまで何度となくリセットと完全フォーマットを余儀なくされました。

 そのesがまたしても手に負えなくなってしまいました。スタイラスでタップしてもまったく反応がないのです。リセットしてもだめ。完全フォーマットをかけてみました。フォーマットをかけた場合、Windows Mobileを再度起動させるためにまず最初に画面をタップする必要があるのですが、、、、タップしても何も反応がありません。完全フォーマットをかけたにもかかわらず、電話としてもPDAとしても使えないという、最悪の事態になりました。

 うおーまたかよ、もうWillcomは次に出すスマートフォンにはWindows Mobile以外のOSを使ってくれよ。。。と思いながらWillcomのお店に持ち込むと、原因はソフトウェアに起因するものではなく、ハードウェアの問題ではないか、とのことでした。とりあえず修理代の見積もりをしてくれるというので、esはお店に預けてきましたが、もう買い換えようかな、という気になりました。

子供用の工作機械

2008-01-25 01:11:00 | ものづくり・素形材
 工作機械についてウェブで調べものをしている中で、たまたま面白いものをみつけました。



 オーストリアの子供用工作機械"PLAYMAT"です。



 船などの模型を作るための素材があらかじめ同梱されています。保護用眼鏡も付いています。この工作機械を使いながらこれらの模型を作ることによって、ものづくりについて学び、そして自分で作った模型で遊ぼうという、なかなかメリットが多そうなオモチャです。



 もちろん鉄を削ることはできません。木工専用です。しかしオモチャとはいえ立派な工作機械です。そして、旋盤での切削だけでなく、ドリルでの穴あけ、研磨、鋸の4種類の機能を使うことができます。

 この"PLAYMAT"を販売しているのはオーストリアのThe Cool Tool GmbHという会社です。実はこの会社、玩具メーカーではなく、木工や模型制作用の工作機械や治具、工具のメーカーなんです。何しろ機械のプロたちが販売しているものですから、回転数など機械の性能についてもきちんと表示されています。このあたりが普通のオモチャとは雰囲気が異なります。

Woodturning machine:
for soft wood with a diameter of up to 30mm
Point width 130 mm
Peak height 36 mm
Spindle revolution 3700 R/min
Engine performance 15 Watt
Rated speed 11000 R/min

Jigsaw:
for plywood with a thickness up to 6mm, balsa up
to 20 mm
Saw plate surface 90 x 90 mm
Cut strength Plywood up to 6 mm
Stroke rate 3700 R/min

Drilling machine:
for the screw drilling of wood
Desk surface 90 x 90 mm
Distance desk surface - spindle nose 0 to 36 mm
Discharge 36 mm

Sanding machine:
for the sharpening of tools and finishing of workpieces
Disk revolution 3700 R/min
Sharpening surface Ø 32 mm

 同社のホームページに書いてある"PLAYMAT"の説明書を読むと 「本物の機械の働きについても学ぶことができます」というあたりが、クラフトマンシップの伝統が根付くドイツ語圏らしいな、と感じました。説明書は英語、ドイツ語、スペイン語、そして中国語(簡体字)があるので、欧米だけでなく中国でも販売されているんですね。
 日本でもオークションサイトに出品された形跡があります(こちら)。日本の電圧でも動くのかなという気はしますし、値段にもよりますが、日本でも買えるのであれば子供にプレゼントしようかなと思いました。


火星にて女性発見?

2008-01-24 00:26:23 | IT,インターネット
 2003年6月にNASAによって打ち上げられ、2004年1月に火星に到着した火星探査車マーズローバー・スピリッツ。当初3ヶ月程度しか活動できないと見られていたのですが、今でも定期的に貴重な火星の地表の写真を送ってきています(NASAの火星探査のサイトはこちら。スピリッツの活動の模様を伝える日本語のサイトはこちら。)。

 とても夢のあるプロジェクトですし、こうしたフロンティア精神、チャレンジ精神こそ、アメリカの偉大なところでしょう。。。と思ったら、中国人が変なところに目をつけました。

 NASA最新照片发现火星存在裸体女性岩石(组图)

 スピリッツが送ってきた最新画像にて、火星に裸体女性の岩石の存在することが明らかになったのだとか。





 確かに若い裸の女性が砂漠の中でポーズをとっているように見えなくもないですねー。

 この記事の出所は中華網という中国最大規模のポータルサイトで、Googleの提携相手でもあります(こちら)。しかしこの中華網、このような実に「東スポ」的な情報が満載なんです。Googleも変なところと提携するものだなあと思います。

低価格ミニノート「EeePC」の日本語版

2008-01-22 22:35:21 | IT,インターネット
 昨年、このブログでも触れた(こちら)、台湾ASUS製の低価格ミニノートPC「Eee PC」の日本語版がついに出ましたね。GIGAZINEのフォトレビューを見ると、結構よさげです。日本語版はWindows XPを搭載、価格は4万9800円と、英語版の199ドル(OSはLinux)よりは割高ですが、それでも激安といってよいでしょう。
 今日、秋葉原を歩いていたら大型量販店に実機が展示されていました。触ってみたかったのですが、先客がいましたし、急いでいたので通り過ぎてしまいました。私のほかにも展示の前で足を止めるお客さんが結構いたので、今年上半期の人気機種になりそうですね。うーん買おうかなあ。どうしようかなあ。

バングラデシュの船舶解体現場

2008-01-22 01:13:27 | IT,インターネット
 ロシアの画像サイトFun-House.ruにて見つけた、バングラデシュの船舶解体現場の写真です。出所はこちら





 遠浅の干潟に打ち上げられた巨大な船舶。そこにとりつく人々。ちょっと非現実的な光景です。クレーンなどこれといった設備は見受けられず、ほとんど人力で解体されているようです。





 これは一体どういうことなのか、ネットで検索して調べてみると(たとえばwikipediaのこちら)、古い船舶の解体が大きな問題を抱えており、バングラデシュのような貧しい国がその問題を引き受けていることを知りました。
 バングラデシュの船舶解体は、まともな設備もない中、低賃金の労働者によってほとんど人力で行われ、事故によって命を落としたり重い障害を負ってしまう労働者が多いといいます。そして、古い船舶は有害なPCBやアスベストを使用しているものも多く、労働者の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、環境悪化につながっているのだそうです。

 廃船の解体、リサイクルは鉄資源の有効利用という観点からみて大変有益なビジネスでしょう。また、低賃金労働とはいえ、貧困にあえぐバングラデシュの人々に現金収入の道が少しでも開けることは悪い話ではありません。しかしながら、労働者たちの健康や生命、土壌や海に悪影響を及ぼしているとなると、これはちょっと。。。ですね。
 だからといって、まともな設備もない状況の下で労働者たちを働かせているバングラデシュの船舶解体業者を非難し、ボイコットできるかというと、それはどうでしょう。手間がかかる厄介な作業を請け負ってくれる国があることは、船主の大半を占める先進国にとっても有り難い話でしょうから。

 中国における電子機器の解体ビジネス(こちらは人力でレアメタルを取り出すことで儲ける)も同様の問題が指摘されていますが、船舶は図体がでかいだけに、解体を請け負える国、地域は非常に限られるでしょう。中国特需、資源特需で世界的な造船ブームが続いていますが、これらの船舶が老朽化した時に、誰が解体を請け負うのでしょうか。あまり知られていないようですが、かなり深刻な問題であると思います。