歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

秋葉原にて

2009-06-28 23:53:29 | Weblog
 今日はちょっと秋葉原を歩いてきたのですが、電気街で障害を持つ中年男性の物乞いに出会ってしまいました。
 アニメグッズや同人誌の店の派手な広告が並ぶ道端で、彼は「私は事故で片足と仕事の両方を失ってしまいました。カンパをお願いします」と手書きで記した段ボール紙と義足を前にして座り込んでいました。幼い頃に見た傷痍軍人のような彼の姿は、周りの光景とのあまりの落差もあってかなりショックを覚えました。

増田剛己「思考・発想にパソコンを使うな」 (幻冬舎新書)

2009-06-27 19:18:15 | 読書
 増田剛己「思考・発想にパソコンを使うな」 (幻冬舎新書)を読みました。幻冬舎新書らしい刺激的なタイトルですが、これは看板に偽りなしです。

内容(「BOOK」データベースより)
あなたの思考・発想を凡庸にしているのはパソコンだ!コピー&ペーストで、記憶力、構成力、表現力が衰える。パソコンは大量の情報の収集・整理には便利だが、知的創造には不向き。そこで「手書きノート」だ。ふと浮かんだアイディアは、断片をメモするだけでなく、可能な限り文章化する。文章にすれば記憶に定着しやすいし、そのプロセスが、自己分析力と他人に伝える力をつける。漱石、熊楠から、野村克也監督、中村俊輔選手まで、古今各界一流人の使えるノート術も一挙公開。


 本書によるとパソコンのキーを打っている間は脳はほとんど使われていないのだそうです。一方、手書きは脳を刺激する行為であり、単なる手書きの「メモ」を自分なりに整理した手書きの「ノート」に発展させるとその効果はさらに大きなものになる、ということを古今の文人などのノートの内容を紹介しつつ著者は説明しているのですが、これは大いに納得しました。

 最近、新しいことを勉強しようとしてもなかなか頭の中に入らないのは年のせいかなと思っていたのですが、これは情報のインプット、アウトプットをパソコンに大きく依存していることに原因がありそうです。かつて学校に通っていた頃、先生が黒板に書いた板書や教科書の内容をそのまま書き写す行為にどのような意味があるのか、と思ったこともありましたが、それには大きな意味があったのだ、ということを今更ながら気がつかされました。本書の終盤には具体的な「ノート術」が書かれていますが、他人の流儀やテクニックを真似る以前に、とにかくまずは手書きというアナログな行為を復活させることが私にとっての課題になりそうです。

マイケル・ジャクソン死去のニュース

2009-06-26 07:00:23 | Weblog
 Twitterを眺めていたら「マイケル・ジャクソン死去」のニュースが飛び込んできました。まだ日本のマスコミは報じていないようです。

(以下引用)
Michael Jackson Dies

Posted Jun 25th 2009 5:20PM by TMZ Staff

Michael JacksonWe've just learned Michael Jackson has died. He was 50.

Michael suffered a cardiac arrest earlier this afternoon at his Holmby Hills home and paramedics were unable to revive him. We're told when paramedics arrived Jackson had no pulse and they never got a pulse back.

A source tells us Jackson was dead when paramedics arrived.

LaToya ran in the hospital sobbing, after Jackson was pronounced dead.

Michael is survived by three children: Michael Joseph Jackson, Jr., Paris Michael Katherine Jackson and Prince "Blanket" Michael Jackson II.
(引用終わり)

http://www.tmz.com/2009/06/25/michael-jackson-dies-death-dead-cardiac-arrest/

 Twitterは意味が無いような個人の「つぶやき」がものすごい勢いでアップされていますが、チェックしていると時にはこんな大ニュースを即座に入手できるんですね。

 彼については極端な整形や奇行などで正直あまり好きではありませんでしたが、学生時代に接した「スリラー」は印象深い曲でした。

 ご冥福をお祈りいたします。

「地域発 職人の技+日本デザイン」のお店”Rin”に行ってきました

2009-06-26 00:23:34 | Weblog
 火曜の夜、職場の飲み会があったのですが、その会場が大変素敵なお店でした。表参道にあるRinという店(http://rin.smrj.go.jp/)なのですが、ここは中小企業基盤整備機構が運営する「都会の暮らし」と「地域の自慢」をつなぐことをコンセプトにした、ショップ・ギャラリーとダイニングカフェからなるお店です。
 地場産品の販売を目的とした地方のアンテナショップは都内にたくさんありますが、ここは圧倒的におしゃれです。2階のダイニングカフェは落ち着いた雰囲気の中で美味しい特産品と地酒に舌鼓を打つことが出来ました。



 1階のショップ・ギャラリーは閉店(19:00)間際だったのでちょっとしか滞在できませんでしたが、デザインに優れたハイセンスな商品がズラリと並び、眺めていて飽きません(残念ながら商品の写真撮影は禁止でした)。コンセプトは「「ものづくりの国」で生きる現代人に、「ものえらびの目」の在り方を問いかけます」とのことです。

(以下Rinホームページより引用)
はっとするほど斬新なデザインの器がじつは何百年も前から伝わる伝統工芸だった、ということがあります。
反対に、古き良き知恵の生かされている家具が新進デザイナーの作品だった、ということがあります。
現代の価値観やライフスタイルにふさわしいデザインを考える時、
もうそこに時代の壁はないのかもしれません。
Rinは、日本が世界に誇る凛とした「ものづくりの精神」に着目。。
「職人の技」と「優れたデザイン」を兼ね備えるものだけを時代を問わず全国の地域からセレクトするほか、
Rinプロデュースにより制作し提案する、ギャラリースタイルのセレクトショップです。
その技は、そのデザインは、暮らしを幸福にするか、否か。
「ものづくりの国」で生きる現代人に、「ものえらびの目」の在り方を問いかけます。
(引用終わり)


 商品は高価でなかなか手が出にくいものが多いのですが、写真のようなカード立てのようなものは買ってもいいかなと思いました。銅鋳物の湯道を再利用した商品ですが、なかなかいい味を出しています。


 欧米人には絵ろうそくが人気があるそうです。


 はっきり言って我々のようなサラリーマンの団体で押しかけるお店というよりも、デートコースにふさわしいお店です。女性と二人で訪れて、ショップ・ギャラリーでプレゼントを買い、ダイニングカフェで一緒に食事をすれば、(交渉力にもよりますが)男性諸氏の成功率は高いように思われます。ちなみにダイニングカフェのメニューの価格は、表参道というロケーションと店の雰囲気に比してリーズナブルなのでお勧めです。

松本仁一「 アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々」 (岩波新書)

2009-06-25 22:57:36 | 読書
 松本仁一「 アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々」 (岩波新書) を読みました。

内容(「BOOK」データベースより)
豊かなジンバブエの農業を一〇年で壊滅させ、アパルトへイトを克服した南ア共和国を犯罪の多発に悩む国にしたのは誰か。中国の進出、逆に国を脱出するアフリカ人の増加などの新しい動きを追い、同時に、腐敗した権力には頼らず自立の道を求めて健闘する人々の姿も伝える。三〇年近いアフリカ取材経験に基づく、人間をみつめた報告。


 著者は元・朝日新聞記者です。本書の内容の多くは朝日新聞の紙上ですでに報告されており、既視感があります。しかしその報告をまとめ加筆された本書を一気に読んで、改めてアフリカ諸国の政府の絶望的な腐敗ぶりに衝撃を受けました。独立解放を目指して白人支配と戦ってきたアフリカの指導者たちのほとんどが、権力を握るや否やあっという間に堕落して自らの利権のみを追及し国の発展を省みなくなっています。なぜそんなひどい有様になってしまったのか、筆者はつぶさに現地を取材し報告しています。このような発言は好ましくないということを承知の上で述べさせてもらうと、白人支配の植民地のままであり続けた方がアフリカの黒人たちは幸福ではなかったのか、とさえ思ってしまいます。

 日本政府はアフリカに対するODAを倍増させるらしいのですが、本書を読んでアフリカ援助のあり方について考えさせられました。

NHKにものづくりマンガの草分け「ナッちゃん」登場

2009-06-23 23:25:56 | ものづくり・素形材
 これは気がつきませんでした。見てみたかったです。

NHKにものづくりマンガの草分け「ナッちゃん」登場(livedoorニュース)

(以下引用)
6月14日深夜放送のNHK BS2「マンガノゲンバ」に、オースーパージャンプ(集英社)で「下町鉄工所奮闘記 ナッちゃん 東京編」を連載中のたなかじゅんが出演する。
たなかはマンガ家とその制作現場に迫る「作者ノゲンバ」に登場。大阪工業大学工学部卒という経歴を持ち、物理や電子工学に造詣が深いたなかが創り出すものづくりマンガの現場を、その目に焼き付けよう。
(引用終わり)


 しかし、このニュースの表題を見て、てっきり「あーNHKでドラマ化されるのか」と勘違いしてしまいました。元気な女の子が主人公ですから、朝の連続テレビ小説の題材に良いのでは・・・主婦層には受けそうもないからダメか。

丸島儀一 (著) 「キヤノン特許部隊」 (光文社新書) (新書)

2009-06-21 22:10:11 | 読書
 丸島儀一 (著) 「キヤノン特許部隊」 (光文社新書) (新書)を読みました。

(以下引用)
出版社/著者からの内容紹介
特許で守り、攻める。これが神話になった特許マンの仕事だ! 1950年代には未だカメラ専業メーカーであった、キヤノンの奇跡ともいえる60年あまりの歴史に、丸島の展開してきたビジネスはどのような役割をになったのか。企業戦略として特許を活用するとは、具体的にどのようなことなのか。昭和9年生まれの日本人が、朝からステーキを喰うアメリカのビジネスマンたちとどのように渡り合ってきたのか。そして私たち日本のビジネスパーソンは、特許あるいは知的財産権をどのように考え、仕事に生かすべきなのだろうか。 実はいま、特許、発明、知的財産という言葉が私たちの周囲を飛び交っている。
(引用終わり)


 知的財産戦略についてちょっと勉強する必要があって本書を再び読んだのですが、改めてキヤノンの特許戦略のすごさを実感しました。とりわけ、不可能といわれていたゼロックス方式によらない普通紙コピー機を開発するに際してのゼロックス社との攻防のくだりは迫力があり、特許に関心が無い読者でも引き込まれるでしょう。
 日本企業にとって知的財産の重要性がますます高まっている中、日本経団連会長にキヤノン会長の御手洗冨士夫氏が就任していることは大変象徴的です。ぜひともキヤノンにはこれからも特許戦略の先進企業として日本の経済界をリードしていただきたいのですが、それだけに「偽装請負」など労務のまずさによって同社が世間からの評価を大きく下げてしまったことが残念に思われます。

イランの民主主義とTwitterの力

2009-06-20 19:42:44 | Weblog
 イランでは大統領選挙の結果に不満を持つ反大統領派の若者たちの抗議デモが全国に広がっています。こうしたニュースに接して、マスコミには現体制の揺らぎの現れを見る向きもあるようです。しかし私は、現職大統領の対立候補がしっかり立候補して両者の間で政策論争が繰り広げられ、そして選挙結果に対して多くの人々が不満を表明している点に、イランは中東では珍しく民主主義が根付いている国だと感じました。

 これは決して皮肉ではありません。サウジアラビアや湾岸の王国の体制は中世そのままですし、エジプトは現大統領が30年間近くも権力を維持していて息子を後継者に据えるようですし、シリア、リビア、チュニジアも独裁体制ですし、イラクの混乱ぶりは言わずもがな。そんな中で例外的に民主主義が健全な形で機能しているのが、イスラエル、そしてムスリムの国では世俗主義を徹底しているトルコとイスラム革命体制のイラン、という両極端の国であることはなんとも皮肉です。
 
 また、反大統領派の抗議活動の連絡にTwitterが活躍している、ということも驚きでした(当局規制にネットで対抗=「トゥイッター」使うイラン改革派(時事通信) - goo ニュース)。音声通話やメールでは当局に発信者が特定される上にそもそもつながりにくい一方、Twitterはそのようなことがない、というのがその理由であるようです。しかし、日本でもさほど普及しているとはいえないTwitterが、イランの若者たちの間でポピュラーな存在であるとは、今回のニュース報道がなければ知ることが出来なかったと思います。今まで思い描いていたイランのイメージを変えなければならないと感じました。
 
 イランの大統領選挙については、イランの若者たちだけでなく、世界中の人々がTwitterで英語の「つぶやき」を寄せています。Twitterの持つ、グローバルなスケールでの新たなコミュニケーションツールとしての力が、今回のイランの大統領選挙を通じて明らかになったといえそうです。Twitterで寄せられるメッセージは短文なので、私も英語でつぶやいてみようかな。。。

日清食品「イタリアンシーフード」

2009-06-17 23:46:59 | Weblog
 コンビニで「新商品!」とPOP広告で宣伝していた、日清「イタリアンシーフード」を食べてみました。スープが真っ赤なので一瞬辛いのかと思いきや、これはトマトスープであるためで、それでいて名作「シーフードカップヌードル」の風味がしっかりと踏襲されています。チーズも入っているのですが、うまく溶けきれていなかったのがやや残念でした。
 驚くようなペースでカップ麺の新商品が市場に投入されていますが、そのほとんどがすぐに姿を消していきます。この商品はさていつまでコンビニの店頭に並んでいるのでしょうか。

「経済社会政策のオルタナティブ・ビジョン」とは

2009-06-17 00:57:03 | Weblog
 シンクタンクの受託研究部門にとって最大の顧客は中央官庁です。この時期になると私たちはいろいろな省庁の「公募情報」をチェックしては応札すべきか検討しているのですが、時々「おや」と思う案件に出会います。たとえば、経済産業省の「オルタナティブ・ビジョンに関する調査研究」(http://www.meti.go.jp/information_2/data/20090527190311.htm)という案件です。

(以下「仕様書」より引用)
1.調査研究の目的
・ 平成20年9月のリーマンブラザーズ破綻に端を発する金融危機に対し、各国政
府はケインズ主義的な財政金融政策をとるに至った。しかし、金融危機に端を発す
る不況は一般に長期化する傾向があり、雇用の回復は景気回復よりもさらに遅れる
ことが多い。
・ そこで、経済危機脱却後の10年以上先を見据えた中長期の視点に立ち、我が国
としていかなる政策的対応が可能か、検討を進める必要がある。
・ また、今次金融危機を契機として、経済的価値より高次の価値から社会的な課題
の解決も含め議論する動きが欧米を中心に活発化している。そこで、経済成長のみ
ならず、社会的閉塞感や共同体意識の崩壊などに対し、いかなる社会的・道徳的価
値観から対処に臨むべきか
、検討を進める必要がある。
・ 本調査研究は、上記問題意識に基づいて経済社会政策のオルタナティブ・ビジョ
ンを提示すべく調査を行い、今後の経済産業政策の立案に役立てることを目的とす
る。
(引用終わり)

 「経済的価値より高次の価値」、「いかなる社会的・道徳的価値観から対処に臨むべきか」と、仕様書には経済産業省らしからぬフレーズが目立ちます。これは面白い、と思ったのですが、ちょっと私の能力の範囲を超えると考え、応札は断念しました。

 お金を儲けることを罪悪視する社会は健全とは思えませんが、人の道を外れるような強欲が横行する社会はごめんです。しかし、何が「人の道」で何が「強欲」なのか、と問われると私は適切な言葉が見出せません。

 一方、世界には「経済的価値より高次の価値」を明らかに重視している経済圏が存在します。イスラム世界です。イスラム世界の人々の多くは、1日5回の礼拝を励行し、断食月は昼間の空腹と渇きに耐え、利子を否定し、そして富者は貧者への施しが義務とされます。とりわけ断食月には昼間彼らはフラフラになって働きますから、職場の生産性は極端に落ちます。経済的価値から考えるとそのような行為は誠に非合理的なのですが、彼らにとってはアッラーの教えという「高次の価値」に基づく行動が優先するのでしょう。

 ただし、そんなイスラム世界は、サウジやクウェートのような石油に恵まれた一部の国を除くと、経済状況は決してよいとは言えませんし、国民の貧富の格差も小さくありません。また言論の自由は大きく制限され、民主的とは言いがたい政治体制の国が目立ちます。そんな事例を想起すると、「高次の価値」を重視しすぎるのもいかがなものか、と思ってしまいます。

 果たしてこの経済産業省の調査研究ではどのような報告書がまとめられるのでしょうか。興味があります。