歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

素形材の夜

2010-07-28 23:48:31 | Weblog
素形材の業界の方々と飲んできました。皆さんお元気でほっとすると共に元気をいただきました。
私も明日から頑張ろうと思います。

三共合金鋳造所の「凍結鋳造システム」

2010-07-25 23:50:58 | ものづくり・素形材
 暑いですね。工場見学が好きな私でも、さすがにこの時期は暑さが厳しい鋳物工場の見学は遠慮したくなります。せっかく採用できた新人も、夏の工場の環境に耐えかねて退職してしまうことが多い、と鋳物メーカーの経営者の方から聞いたことがありますが、さもありなんと思います。
 そんな厳しい鋳物工場の環境を一変させる革命的技術が、鋳物用の砂を氷で固めて造型する「凍結鋳造システム」です。かつて本ブログでこの技術について紹介したことがありましたが(こちら)、昨年末、実際にこの凍結鋳造システムを導入して生産を行っている三共合金鋳造所(大阪市)を訪問させていただく機会に恵まれました。猛暑の中、ふと鋳物工場の操業環境が気になったので、同社の模様を紹介したいと思います。


 三共合金鋳造所は、鋳物メーカーとしては珍しく鋳鉄と銅合金鋳物の両方の鋳造を手がけているのですが、得意先である大手鉄鋼メーカーからの特殊な鋳物に対するニーズに対応するため、かなり早くから京都大学などとの産学協同研究に力を入れてきた研究開発型企業です。同社が凍結鋳造システムという鋳物づくりの常識を超えた鋳造法にチャレンジしたのも、長年にわたる研究開発の素地があったからだといえるでしょう。


 こちらが砂型を凍結させるための冷凍庫です。温度の表示を見るとマイナス46.8度とあります。


 この冷凍庫の中に砂と水を混錬させて作った砂型を入れて凍結させます。


 冷凍庫から出てきた砂型はカチンカチンに凍っています。それでも1,500度近い溶湯が注がれて本当に大丈夫なの?と思ってしまいますが、全く問題なく製品が作られているので驚きです。ちなみに注湯の作業を行う方々の中には若い女性社員が1名混じっていたことにも驚きました。


 こちらは凍結システムで作った鋳物のサンプルです。さすがに大きな製品の鋳造には使うことはできませんが、かなり細かい造形のものが作れるようです。冷凍設備のコストダウンが前提になりますが、作業環境の大幅な改善につながる「凍結鋳造システム」は、日本国内において鋳物生産を続けていく上で重要な役割を果たすのではないかと思います。

「日立 uVALUEコンベンション2010」に行ってきました

2010-07-24 07:52:27 | Weblog
 昨日、東京国際フォーラムで開催された日立 uVALUEコンベンション2010に行ってきました。大変な盛況でした。



 会場に入ってまず目を引いたのが、「記念展示:日立グループ100年の歩み」の展示品の数々です。日立が初めて作ったモーターや家電製品などが展示されていましたが、できれば電気機関車とか発電用のタービンとか、でっかいものも実物の展示が欲しかったです。



 展示ホールでは「社会イノベーションで加速する都市のスマート化」と題して、様々な社会の課題を解決するITソリューションが紹介されていました。完全にIT企業の展示で「ものづくり企業」としての日立はどこに行っちゃったの?という感じ。スマートグリッド関連の展示には大勢の人が集まっていたのが印象的です。私は「注視方向検知技術のマーケティングへの活用」という技術は面白いと思いました(こちら)。ちょっとデモに参加させてもらいましたが「もしかして視線を検知する技術なの?」と思ってしまうような出来です。



 一通り展示を見た後、「100年後の「夢」を実現する技術、今後100年の展望」と題したパネルディスカッションを聴講してきました。モデレータは多摩大学教授の紺野登氏、パネリストはMIT Media Lab副所長の石井裕氏、総合研究大学院大学教授の長谷川眞理子氏、青山学院大学教授の福岡伸一氏、東京大学教授の堀井秀之氏、株式会社日立製作所基礎研究所主管研究長の矢野和男氏の5名。中でもMIT Media Labの石井氏と青山学院大学の福岡氏のプレゼンは印象的でした。シンプルですが強いメッセージが込められたテキストと画像を使ったスライドを用いて情熱的に喋る石井氏と、ほのぼのとした雰囲気の中さりげなくユーモアを交えてゆっくり喋る福岡氏、プレゼンのスタイルは対照的ですがどちらも非常にわかりやすく、勉強になりました。

 たまにはこういうイベントに参加するのもよいものですね。

ブラジルの「暴れる洗濯機」

2010-07-21 01:59:11 | 海外ものづくり事情
 ブラジルという国は、かつては外国産の工業製品に極端に高い関税を課して事実上輸入から締め出し、自国の工業を保護して育成するという輸入代替政策を取っていました。ブラジルが自国の航空機産業(エンブラエル社)を持ち、年間300万台近い自動車を生産する南米随一の工業国になったのは、この輸入代替政策のおかげとも言えます。しかし、何しろ外国製品との競争にさらされないために概して品質は世界水準に比べると低く、たいていの工業製品はとても輸出できるような代物ではありませんでした。
 90年代前半以降、ブラジルは自国市場を積極的に外資に開放することで80年代の経済の混乱と停滞から脱し、製造業も外資を導入することで輸出競争力を付けるようになった、と聞いたのですが、どうも依然としてブラジル製の工業製品の品質には難があるようです。特にブラジル製の白物家電には、現地にいらっしゃる日本人女性たちのブログを拝見したところ彼女たちはかなり苦労していることがうかがえます。

(以下引用)
そしてこれがうちの洗濯機。ちなみに2台目です。
一台目は洗濯層に穴が開いてるとかでお陀仏に。
修理できるのできないので2週間ぐらいかかり
その間手洗いを強いられるということに!あれは辛かった。
お友達にも結構洗濯機のトラブル聞きます。
ブラジルの洗濯機は古くなってガタがくると歩き出すって(苦笑)
轟音を轟かせながら移動を始めます(コワ!!!)
かなりの暴れん坊っぷりらしいよ。
やっぱり洗濯機だって日本のが最先端だと思うなぁ。
(引用終わり)

出所:http://feliz2005.exblog.jp/5069568/

 YouTubeで"Lavadora"(ポルトガル語で「洗濯機」)と入力して検索すると、いろいろな洗濯機の動作の模様を撮影した動画を見ることができます。なんでこんなにたくさん洗濯機の動画が投稿されているの?という疑問も沸きましたが、日本ではちょっとお目にかかれない挙動を示す洗濯機の動画が興味を引きました。



 どうやらまだ新品の洗濯機のようですが、脱水のときにたてる音と振動が半端ではありません。脱水後には洗濯機の位置が動いてますし・・・30年以上も前、私が子どもの頃に家で使っていた洗濯機も脱水のときに大きな音を立てて振動したものですが、さすがにここまでひどくはなかったと思います。問題はモーターなのかベアリングなのかはわかりませんが、とにかく日本の家電メーカーが現地で日本水準の洗濯機を作ればきっと売れるだろうな、と思いました。
 ちなみにこの動画に写っている洗濯機はBrastempというブラジルを代表する家電メーカーの製品です。Brastempはアメリカに本社を置く世界的な家電メーカーのWhirlpoolに買収された会社なので、技術も同社から導入していると思ったのですが、この様子だと技術移転は十分には行われていないようですね。

(以下蛇足)
 Whirlpoolについて調べてみようと思い、Googleで「Whirlpool」と入力して検索したら、トップに表示されるhttp://www.whirlpool.co.jp/が家電とは全く関係ない会社(秋葉原と関係が深いという意味では関係がなくもないか)のホームページなので笑ってしまいました。アメリカのWhirlpoolは抗議しないんですかね。

夏ですね

2010-07-19 17:21:34 | 自然
関東地方も梅雨明けしましたね。この三連休は子供と一緒にプールと海で過ごし、すっかり日焼けしてしまいました。
谷戸の田んぼにも顔を出してきましたが、こちらではトンボがたくさん飛んでいました。夏ですね。

村上春樹, 吉本由美, 都築響一(共著) 「東京するめクラブ 地球のはぐれ方」(文藝春秋)

2010-07-19 01:02:57 | 読書
 5年ほど前、友人と一緒に谷川岳に登って下山した後、「どこかで飯を食べようや」ということで車で水上の温泉街を訪れたことがあります。スナックやショーパブなどの店舗が随所に見られたのですが、とにかく温泉街全体に寂れた雰囲気が漂っており、扇情的な店の看板がかえって我々をやるせない気持ちにさせたのでした。ここに限らず、男性中心の団体旅行客を当て込んだ歓楽型の温泉街はもはや時代のニーズにそぐわず、全国どこも同じような状況ではないかと想像します。正直言って水上の温泉街は面白いとは思いませんでしたが、同時に地元の人々に対して「もうちょっとなんとか頑張ってくれよ」と思わざるを得ませんでした。
 
 さて、先日、「東京するめクラブ 地球のはぐれ方」(文藝春秋)という本を読みました。本書は、名古屋、熱海、ハワイ(ワイキキ)、江ノ島、サハリン、清里という、上記の水上温泉のようにあまり面白くない場所を、作家の村上春樹氏をリーダーとする「東京するめクラブ」が訪問してなんとか面白がろうと努力する、というルポルタージュです。確かに本書では知られざる面白いスポットの紹介もあれば、トホホな状況にある観光地の再建に向けた提言もあるのですが、どうも「東京するめクラブ」の面白がり方は都会の文化人の方々の「上から目線」が基本であり、観光客の誘致に一生懸命な地元の観光協会の方々が聞いたら憤慨しそうな内容が随所に見られます。

(以下引用)
村上 うん、たとえば女の子を誘って箱根にでも行こうか、という感じはあるけど、熱海へ行こうか、と言っても逃げるよね。スマートボールいいのがあるよ、とか言って所詮限界があるし(笑)。
都築 まあ、よほど練れたカップルじゃないとね(笑)。でも、僕たちが熱海で見かけた若いカップルって、決して練れちゃいないよね。むしろアイデアなくてここに来ちゃった、みたいなさ。
村上 箱根と熱海の違いもわからないまま、来てるんじゃないかっていう感じのカップル多いよね(笑)。それからさ、熱海の街を歩いているおばさんの団体って、関西弁の人がやたら多かった。関西の人は今の熱海がどれくらいさびれているかよくわかってないから、旅行代理店に騙されて連れてこられるんだよ、きっと。
(引用終わり)


 ノーベル文学賞に最も近い作家からここまで言われてしまう熱海は気の毒ですね。熱海はかなり頑張っており、最近ではAR(拡張現実)という時代の最先端を行く技術を使ったこんな誘客キャンペーンも展開していますし・・・先を行き過ぎて逆効果にならないか、ちょっと心配ではあるのですが。

この夏、熱海をラブ色に染める「熱海 ラブプラス+現象(まつり)」がいよいよスタート!(IT media, 2010.07.12 20:13)



森 博嗣「スカイ・クロラ」 (中公文庫)

2010-07-17 01:36:41 | 読書
「創るセンス 工作の思考」(集英社新書)を読んで森 博嗣という作家に関心を持ち、彼の 「スカイ・クロラ」 (中公文庫)を読んでみました。

 「シャッタ」、「メータ」といった独特の言葉遣い、飛行機や自動車のメカに関する正確な描写は理系の作家ならではですが、情景描写や主人公の感情表現は必要最小限に抑えられており、まるで詩人が書いたような文章です。とりわけ戦闘機同士の空中戦の描写などはまるで散文詩を読むようです。また世界観に関する説明が少なく、本書の内容説明に書かれた「戦争がショーとして成立する世界に生み出された大人にならない子供」が登場人物であることを頭に入れておかなければ、この作品の面白さはわかりにくいと思います。さらに、各章の扉の部分にはサリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」の一節が引用されているのですが、サリンジャーは全く未読である私にはこの引用がもたらす効果というものが残念ながらイマイチ伝わってきませんでした。
 「スカイ・クロラ」 はシリーズ化されており、一連の作品を読めば作者が作品にこめた深い意味を理解することができるそうです。結構気に入った作品なので、時間があれば読んでみたいと思いました。

 こちらのアニメ化された映画のトレーラー動画も見てみましたが、この作品を映像化した監督の押井守はつくづくすごい才能の持ち主ですね。


ブラジルの"Electric Shower"

2010-07-16 01:10:53 | Weblog
 この夏にブラジルに出張する予定だったのですが、諸般の事情により秋以降になる見込みです。私としては早く大西洋を眺めながらのんびりカイピリーニャ(ブラジルの有名なカクテルです)を飲みたいものだ、と思っていたのですが、どうも出張の時期がずれたのは結果的に良かったような気がします。
 と、いうのもブラジルは日本から見て地球の反対側。私が出張する予定の南部は現在真冬であり、特にアルゼンチンとの国境に近い地域では寒波の到来で非常に寒く、「大西洋を眺めながらのんびり」などという状況ではありません。現地でお世話になる予定の方のブログ(こちら)によると、ブラジル南部はまるで冬の欧州のような光景です。ブラジルというとなんとなくトロピカルなイメージを抱きがちですが、工業が集中する南部は冬(北半球では夏ですが)は寒いのだということを改めて認識させられます。

(以下引用)
日本では水害が報道され梅雨明けも近く暑い夏日が差す季節に成って来ているようですが、ここブラジル南部では真冬の冬将軍が訪れポルトアレグレの町でも早朝は1度まで下がっています。昼間でも10度を超す事がなく風が冷たくブラジルの寒さを楽しんでいますが、鼻水が出たりメガネが霞んだりPCを叩く手が悴んでしまい暖炉が恋しい日が続いています。
(引用終わり)

http://blogs.yahoo.co.jp/yoshijiwada2/17110166.html

 寒い冬には夜は風呂で温まりたいところでしょうけれども、あいにくブラジルではバスタブにつかるという習慣は一般的ではありません。寒波が到来していてもシャワーだけで我慢しなければならないというのはなかなか日本人としては辛いと思います。
 ところで、ブラジルの家電産業について英語文献を調べている中で、"Electric Shower"という品目が目に止まりました。「電気シャワー」とは一体なんだ?と思って調べてみたら、ブラジルのシャワーは写真のようにシャワーヘッドの中にニクロム線を通して電気で温水を作るタイプが普通なのだということを知りました。ブラジルに出張したときに泊まったホテルで使ったシャワーは日本と同じようなものでしたが、一般家庭では「電気シャワー」なんですね。

(以下引用)
よっぽどリッチな住宅でない限り、ブラジルでは基本的に家に風呂桶は完備していない。ホテルでも安いところだとシャワーだけというのが多い。国民がそれだけ入浴を重要視していないということだ。通常のブラジルのシャワーはガスではなく電気式。シャワーの上の部分を見てみると、なにやら電線のようなものがコンセントに向かって伸びているのが分かる。頭の部分にはレバーがあり「ON⇔OFF」や「夏⇔冬」などの設定ができるようになっている。これを「OFF」にすると当然お湯は出なくなる。「夏」にするとお湯がぬるくなる。電気が流れているためこのあたりを下手にいじくるとビビビっと感電してしまうこともある。
(引用終わり)

http://www.jinterjp.com/j/index.php/infobr/109-infobr0017.html

 ブラジル電機工業会のホームページによると(こちら、ただしポルトガル語)、この電気シャワーは家庭用ガスの普及が遅れたブラジルで1927年に発明されたものであり、水の節約になる優れたシステムであるとのこと。ブラジルではガソリンではなくアルコールで走る車も珍しくありませんし、日本ではちょっと考えにくいものが作られていますね。

※写真はWikipediaの"Chuveiro"から拝借しました。

今年も小動神社天王祭を見てきました

2010-07-11 22:51:36 | Weblog
 昨年に引き続き、今年も鎌倉市腰越の小動神社天王祭を見てきました。昨年の模様はこちら
 前回は昼の模様を見物しましたが、今年は夕方からの参加です。飛び入りで息子と一緒に山車を綱で挽かせてもらう幸運にも恵まれ、とても楽しませてもらいました。地元住民による地元住民のための祭りなのですが、余所者の飛び入りであっても小さな子供たちは「おぅ、入りなよ」という感じですんなり祭りの輪の中に入れてもらえるようです。それと、よく見ると神輿の担ぎ手の方々は、かかとを上げた爪先立ちで神輿を担いで歩いていることに気がつきました。神輿を担いで歩く際にはどこの祭りもそのようにしているのか、それともこの祭り独特のものなのかはわかりませんが、面白い慣わしだと思います。

 街中を練り歩いた神輿が小動神社の境内に入り、海の男たちが神輿を担ぎながら神々に歌を奉納する(シチュエーション的にそういう意味だと思います)場面は、まさに祭りのクライマックスであり、私たちも結構興奮しました。祭りというものは見物するものではなく、参加してみるものですね。日没間近、あいにくの小雨交じりの曇天で、しかもフラッシュの無いiPhoneのカメラによる撮影なので、うまく写真が撮れなかったのが残念です。

 来年は見物ではなく参加したいと思いました。

竹を切る

2010-07-10 20:14:43 | 自然
週末農業の田んぼの脇の斜面に竹が生えているのですが、これが伸びると田んぼに日陰が出来てしまい稲の発育にとってマイナスとなります。このためノコギリと鉈を持って斜面を登り、ひたすら藪を刈り払い竹を切りました。
足場は不安定ですし、暑いし虫には刺されるし、結構な苦行でした。しかし学生時代の藪山山行を思い出し、楽しませてもらいました。