弘法大師さんのお話
とんと昔、あった話じゃ
ある漁師の村に長者が住んどったんやと。
ある日の夕方、一人の旅の坊さんが訪ねてきて
「のどがかわいて、、、水をくれんかの!」
そう言ってきた。
よう見たら汚いふりもしとるし、もし
水をやったら今度は泊めてくれ!って
いわれると思て
「すまんな、あての所には水は無い。すぐ
向うに谷があるけんそこの水飲み、美味い水じょ」
って飲まさなかった。
長者は戸を閉めて坊さんが歩いて
いく姿をのぞき見しよった。
ところが坊さんは谷川の方へ行かんと、
ごっつい険しい崖道の海辺の方へ降り出した。
ほのうち、断崖の岩を杖で突き刺したら、なんと、
ほっから水がこんこんとわいて出てきた。
ところが、ほの晩からほ長者の家の井戸からは
びっしゃり水が出んようになったんやと