クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

孔雀の間には月下の棋士がよく似合う? ―起雲閣―

2016年09月25日 | ふるさと歴史探訪の部屋
高校生のとき、『月下の棋士』に夢中になったことがある。
いまはない羽生市内の古本屋でたまたま立ち読みし、
迷わず即買した放課後。
以来、再読を含めて愛読している。

その題名の通り、棋士をモチーフにした漫画だ。
作者は能篠純一。
小学館から全32巻単行本が発行され、
のちにドラマ化もされた。

あらすじ紹介は避けるが、
最後は主人公「氷室」と「滝川」が宿命の対決をする。
その対決の舞台となった「初きよ」。
物語では、近代ビルが建ちあまり知られていないように設定されているが、
起雲閣がモデルになっている。

実際、著名な棋士が起雲閣で対決している。
それは誰か?
“谷川浩司”と“羽生善治”だ。

第5期竜王戦で激しく火花を散らした舞台としても知られる。
対決部屋は孔雀の間。
1992年の12月のことだった。

『月下の棋士』の愛読者としては、谷川・羽生両棋士の対決よりも、
その部屋がどの場面で登場したかに想いを馳せてしまう。
実際に『月下の棋士』を持って起雲閣へ行けば、親近感は倍増だろう。

ちなみに、孔雀の間は作家舟橋聖一にこよなく愛されたという。
彼が特注した満寿屋の原稿用紙を持って、この部屋でペンを走らせたのだろうか。
作家・武田泰淳もこの部屋で執筆したらしい。

それぞれの歴史がこの部屋には刻まれている。
起雲閣へ行き、『月下の棋士』を読み返したくなる人は多いに違いない。


孔雀の間(静岡県熱海市)





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