クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

旧北川辺町に“砂丘”が残っている? ―飯積河畔砂丘―

2016年09月23日 | 利根川・荒川の部屋
飯積河畔砂丘は、旧北川辺町(現加須市)にある。
現在の利根川の流れではなく、旧流路が形成した砂丘だ。

砂丘の全長520メートル。
往古はもっと長く連なっていたのかもしれない。
時代の流れと共に消えたのだろう。
文化財に指定されているわけではない。
物言わず、静かに横たわっている。

砂丘の上には民家や寺が建っている。
砂丘の麓には工場もあり、
「昔」と「今」が交錯している印象を持つ。

30歳の夏、自転車でここを訪れたことがある。
夢を叶え、外国で仕事をしていたNさんが帰って来たばかりで、
およそ7、8年ぶりの再会に一緒に呑むことが多かった。

光陰矢の如し。
気が付けば、それから7年の歳月が流れている。
Nさんは外国人と結婚。
いまやいつ日本に帰って来るかもわからない。

Nさんとは、2人目の子どもの出産を間近に控えているときに会ったのが最後となっている。
お腹の大きな彼女を見るのは初めてだった。
「おっさんになったな」と、彼女はぼくを見て笑った。

Nさんは外国の空の下で暮らしている。
未来に思い描く夢を居酒屋で話していた20代は遠い。
飯積河畔砂丘まで自転車を走らせた夏も離れていく。
日々は川の流れのように過ぎ去り、
かつての季節を思い出すことはなくなっていくのかもしれない。

7年前と変わらない印象で横たわる飯積河畔砂丘。
「今」と「昔」がつながるそこには、
「夢」も一緒に織り交ざっている。


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