ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

刑法230条の2について

2005年07月19日 00時54分16秒 | 刑法
入門講座では理解していたつもりでも、論文できちんと書こうとすると本当の意味が分かるのはよくあると思いますが、230条の2の内容もその一つです。

名誉毀損罪(230条1項)に該当し、真実性の証明に失敗した場合
☆構成
・問題提起
・反対説:違法性阻却事由説
×軽信した者の保護
・処罰阻却事由説
・35条により違法性阻却する

名誉毀損罪に該当し、真実性の証明にも失敗した場合230条の2は適用されず処罰されるのか。
↓しかし
表現の自由保障の観点から、真実性の証明に失敗した場合、常に処罰するとするのは妥当でない。
↓そこで
一定の場合に処罰をしない法的構成をいかに解すべきか問題になる。
↓この点
230条の2を違法性阻却事由と解し、真実の証明に失敗した場合を違法性阻却事由の錯誤とみて故意を阻却するとする見解
↓しかし
真実性を軽信した者も保護することになり、妥当でない。

思うに、230条の2は真実性の挙証責任を被告人に負わせている点で処罰阻却事由と解する。
↓とすると
真実性の証明に失敗した場合には230条の2の適用はないというべきである。
↓そこで、
確実な資料・相当の根拠に基づき、誤信に相当の理由がある場合には、表現の自由の正当な行使(35条)として違法性が阻却されると解する。

名誉毀損罪(230条1項)に該当し、真実性の証明に失敗した場合Part2
☆構成
・問題提起
・反対説:処罰阻却事由説
×表現の事由に基づく真実の公表は正当な行為と評価すべき
・違法性阻却事由説
・違法性阻却事由の錯誤

名誉毀損罪に該当し、真実性の証明にも失敗した場合230条の2は適用されず処罰されるのか。
↓しかし
表現の自由保障の観点から、真実性の証明に失敗した場合、常に処罰するとするのは妥当でない。
↓そこで
一定の場合に処罰をしない法的構成をいかに解すべきか問題になる。
↓この点
230条の2は、真実性を挙証責任を被告人に負わせている点で処罰阻却事由とする見解
↓しかし
表現の自由に基づく公益目的、公共の利益を図る事実を公表する行為を違法とすべきでない

思うに、表現の自由に基づく公益目的、公共の利益を図る事実の公表は、積極的に正当な行為と認めるべきであり、230条の2は違法性阻却事由と解する。
↓とすると
真実性の証明に失敗した場合には真実性の錯誤、すなわち違法性阻却事由の錯誤として認識は正当行為であるため、故意を阻却
↓もっとも
軽信したものまで保護することは、名誉権を不当に害するおそれあり
↓したがって
名誉権保護と表現の自由の調和の観点から、確実な資料・相当の根拠に基づき誤信に相当の理由があるならば、故意は阻却されると解する。

論基礎解答力養成編刑法第3回突入 錯誤

2005年07月19日 00時27分11秒 | 刑法
いやぁー、夏ですね。暑いです。もう外に出たくないです。

昨日、最悪なことにゴキブリが登場しました!!
もちろん戦いましたが、最初逃げられて焦りました
今年は3匹目です。今度バルサンを買いまくって、焚きまくります。

論基礎解答力養成編刑法第3回(論文の森刑法下巻)に突入しました。計画通りの良いペースです。

具体的事実の錯誤
☆構成
・問題提起:認識した内容と発生した事実が異なる具体的事実の錯誤
・故意責任の本質
・法定的符合説
・反対説:一故意説
×目的客体以外に複数の結果が発生した場合にどの客体に故意を認めるか不明
・数故意説

具体的事実の錯誤がある場合、故意責任は認められるか?

思うに、故意責任の本質は、犯罪事実を認識し、反対動機の形成があるにもかかわらず、犯罪を実現したことに対する道義的非難である。
↓そして
犯罪事実は、構成要件として刑法学上類型化されている。
↓よって
認識した内容と発生した事実とが構成要件の範囲内で符合するならば反対動機の形成があるといえ、故意責任を問い得ると解する。
↓さらに
結果発生の客体が複数の場合
↓この点
一つの故意で複数の故意犯を認めることは、責任主義に反するとする見解
↓しかし
目的客体以外に複数の結果が発生した場合、どの客体に故意を認めるかが不明
↓そもそも
法定的符合説に立てば、故意は構成要件の範囲内で抽象化されているため、故意の個数は問題となり得ない。
↓また
複数の故意犯の成立を認めても、両罪は観念的競合(54条1項)となり刑の均衡も失しない。
↓したがって
数故意説が妥当であると解する。

抽象的事実の錯誤
☆構成
・問題提起:認識した内容と発生した事実が異なる抽象的事実の錯誤
・故意責任の本質(上述より短くしています)
・重なり合う限度で故意責任を問う:法定的符合説からの帰結
・重なり合いの判断基準

抽象的事実の錯誤がある場合、故意責任は認められるか?

思うに、故意責任の本質は、構成要件として類型化された犯罪事実を認識により反対動機の形成があるにもかかわらず、犯罪を実現したことに対する道義的非難である。
↓よって
認識内容と事実とが構成要件の範囲内で符合がなければ、故意は阻却
↓ただし
構成要件の重なり合いがある限度で反対動機の形成があるといえ、故意責任を問い得ると解する。
↓そして
構成要件は、法益侵害を行う違法行為を類型化したもの。
↓よって
重なり合いは、法益侵害及び行為態様の共通性を考慮して判断すべきである。