ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

557条1項解約手付、他人物賃貸借

2005年07月08日 01時07分07秒 | 民法
557条1項の「履行に着手する」の意義
契約実現を期待している者の利益と、解約を期待する者の利益を調整する必要
↓すなわち
履行の着手の有無が認識できなければ、解約を期待する者を害する
↓とすれば
履行の着手とは、客観的に外部から認識しうる形で履行行為の一部をなした場合、又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為が行われた場合と解する。
↓では
「当事者」の意義は?履行に着手した者も含まれるか、条文上明らかでなく問題になる。

思うに、557条1項の趣旨は、履行に着手した者は契約完了への期待を強く抱くため、解約の制限はかかる期待を保護する点にある。
↓したがって
履行に着手した者は含まれないと解する。

他人物賃貸借
所有権がないことを知りながら、賃貸借契約を結んだ場合の賃貸人と賃借人
☆構成
・他人物賃貸借契約(559条、560条)は有効
 錯誤無効(95条)の主張不可
 ∵賃借人にとって賃貸人の所有に属することが重要な要素ではない。
 詐欺取消(96条)は詐害行為が認められれば可
・担保責任(559条、561条)は賃借人が善意のみ
 法定責任説を採るため、信頼利益の範囲
・賃貸人に帰責性あれば、債務不履行責任(415条)
 解除、損害賠償請求
・不法行為に基づく損害賠償請求(709条)
賃料債務は当然に消滅
 ∵継続的に使用収益させる契約であり、履行不能でも賃料債務が存続することは均衡を失する。

信頼関係理論
思うに、賃貸借契約は当事者間の信頼関係を基礎とする継続的契約関係にある。
↓とすれば、
基礎となる信頼関係を破壊するような特別の事情がなければ、賃貸借契約を解除することはできないと解する。