AWA@TELL まいにち

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植民地朝鮮の日本人

2005年04月04日 | 
 自分の専門を考えると、今更という感もあるが、ようやく時間を作って読むことができた。
 「植民地朝鮮」で日本人は何をしてきたかを資料を利用して分析している。冒頭に「日本による朝鮮侵略は、軍人たちによってのみ行われたわけではなかった。むしろ、名もない人々の「草の根の侵略」「草の根の植民地支配」によって支えられていたのである」と記されているが、これは紛れもない事実である。
 日本の植民地支配の特徴はここにあると言っても過言ではないだろう。
 内容を細かくすべて紹介することは大変なので、章立てを紹介したい。

はじめに
1 釜山に上陸した日本人
     -朝鮮開港~甲申政変 1876~84
2 高まる植民熱
     -甲申政変~日清戦争 1884~94
3 戦争への協力と移民の奨励
     -日清戦争~韓国保護国化 1894~1905
4 激増する在朝日本人
     -韓国保護国化~韓国併合 1905~10
5 植民地支配の先頭に立つ居留民
     -韓国併合~三・一運動 1910~19
6 「文化政治」の中で
     -三・一運動~満州事変 1919~31
7 「内鮮一体」の現実
     -満州事変~敗戦 1931~45
8 敗戦と引揚
     -1945~48

 教育における朝鮮総督府の役割については、僕はちょっと違う見方をしていて、今、その証拠探しをしているところ。タネあかしは、学会発表か論文で。
 日本の朝鮮植民地支配について最初に読むのにはいいと思いますよ。歴史に関心のある人でなければ、ちょっとしんどいかもしれないけど。
 日本の植民地支配について、発言する前に、まずいろいろなことを知っておくことが必要です。その過程を飛び越えての批判も賞賛も謝罪も、何の意味もありません。

 そういえば、また新入生が大学にやってきますね。
 戦争を知っている世代、親を戦争でなくした世代、その次の世代。今度の新入生も、そういう意味では僕と同じ「その次の世代」ですね。「戦争は古い話だし、自分には関係ない」というスタンスに立つのであれば、それ以前の先祖や郷土の歴史、偉人を誇る資格もありません。
 まず、知ることから始めましょう。ね。

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岩波新書 2002年6月20日 第1刷
高崎宗司 著
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