食道がんと闘う自然爺の活動

自然の中での暮らしに憧れ、自作の山小屋を起点に自然と戯れていたが、平成21年10月、食道・胃がんが見つかり手術。

『回想旅行記、ベトナム編』

2014年02月16日 17時31分26秒 | 旅行

ベトナムは1970年代の熾烈な内戦ではなく東西冷戦の代理戦争のような様相になり共産

主義と自由主義が真っ向から長く、辛い戦いを繰り広げた。当時、政権はアメリカが後ろ盾

となり傀儡政権と揶揄されながらも統治の体は為していた。一方の北で反発していたホーチ

ミンを頭とする共産主義者はソビエトの支援を受け、最初はゲリラ的な戦いだったが、勢力を

増し遂には政権を倒しアメリカをも撃退したことは歴史的には、そう古い事ではない。

私たちは離れた所から、この理不尽な戦を眺めていた。理不尽というのはベトナム国民の選

択ではなく、世界の両巨頭の意志のままに進められたようなものだからだ。アメリカとソビエト

が戦回避の努力を十分にしたとは思えない、戦になり戦力に勝るアメリカは自国の軍事品在

庫処分の如く消費し、無駄な殺戮を続けた。

あまりにも戦力に違いがあり大人と子供の戦いのような違いが報道されるようになると、アメリカ

は『悪』ベトコンは『正義』のような図式に見え出した。アメリカの若者たちを中心にアメリカの直

接的な敵ではないベトナムで命を落とさなければならないのか、戦争に対する意義が問われ

ていた。

フォークソングやヒッピーなど当時の若者は反戦の象徴としてこの問題を取り上げていた。戦争

が終わるとアメリカは回顧に走りランボーが現れてくる。この頃は、ベトナムでの戦いに関する映

画が次々と出てきた。時代は移り変わり、ベトナムで反米などと言う声は一つも聞こえてこない。

むしろ、ドイモイ政策の推進によってかつての同胞だったソビエトよりアメリカに近い路線に変わ

り、国内ではソビエトの通貨ではなく米ドルの流通が一般化している。

ベトナム戦争でB52北爆、ベトコン、アメリカ大使館放棄、サイゴン陥落の経過と共に生きてきた

者にとって、復興の道を確実に歩んでいる姿は気になる所だ。2009年5月、米子発、韓国経由

のベトナムツアーが企画された。予め計画していたものではなかったが、たまたま旅行会社のHP

でこのツアーを見つけ参加することにした。旅行から帰り2か月後に食べ物が詰まるという自覚症

状が現れ、10月、食道、胃がんの手術を受けた。

当時を思い返してみると、体調は絶好調ではなく食欲は低下傾向にあり、酒が残り易いのが常

態化していた。食は細いものの朝昼晩と食べていたし、食道がんや胃がんの兆候のようなものは

何も感じなかった。何よりも海外旅行に出かけるだけの元気と気力は問題なかった。


『がん、今更ながらⅠ』

2014年02月16日 17時20分37秒 | 日記

今までに発症前からの経験の殆どは掲載したつもりだが、時折もう少し詳しいことをふと

思い出すことがある。今までのことの隙間のような話だから大したことはないと思うが、折

角思い出したのだから記録として残しておく。自覚症状の詰まりが出始めた時のことであ

る。どうも癌になったらしい、これは大変なことになったと観念せざるを得なくなり、ここは

冷静にならねばならないと自分に言い聞かせた。

私の場合、7月の初めか中ごろに最初の症状が出て月末までには、自己がん告知をして

いる。最初の症状が出て僅かの期間しか経過していない、経過観察などと無駄な時間を

使わないで病院に行くのだから、これは早期発見、早期治療の部類に入るに違いないと

思っていた。ただ自分の心の中でいやらしい癌は肝臓と食道、怖い癌は肺がんだった。

長年ヘビースモーカーでいたから、私自身が肺がんにかかるリスクは高いはずなのに自

分は癌にはならないが肺がんは怖いと支離滅裂な論法を振りまいていた。それというのも、

私の友達2人、義兄の3人とも肺がんからの生還を果たせなかったからだ。自分自身の周

辺や状況はともあれ、大病をすることはおろか癌などの心配はしていないし、がんのことを

えることがあっても、ほんの一時のこと。理由はよく知らなかったのに食道がんはいやらし

いから、間違ってがんになったとしても、こいつだけは願い下げたいと勝手なことを思ってい

た。ところが食道がんとおまけの胃がんに襲われてしまった。

手術をして2度目の抗がん剤治療を受けた後に食道がんのことを調べ始めた。手術前に右

左往する情報の嵐は錯綜を起こし気分が滅入るのではなかろうか、医者からの情報以外

のことを知らなかったために、取り返しのつかないことが起こるとは考えなかった。知らなけれ

ば気楽という一番いい加減な道を選んでしまった。

術後に調べてみると自覚症状が出始めた時、食道は半分近くまで塞がれていて、食べたもの

が詰まる自覚症状が出始める、とあった。それなのに早期発見の部類にあるのではないかとい

う、藪医者のとんでもない誤診だ。

お気楽なことで結構でございました・・・と間抜けなことだが、もし最初からそんなことを知ってい

たら、どのような心境で手術に臨んだのか知る由はないが、知らなかったことで何一つとして後

悔するようなことはない。


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