食事の時、看護師さんがポットにお茶を入れて病室まで届けてくれていた。しかし、
それ位のパワーは十分にあるので、食事前は食堂までお茶汲みに出かけるのが習
慣になった。先生からは刺激の強いもの以外は食べても構わないと許可が出たから、
1Fのコンビニに出かけ物色するのが楽しくなっていった。
しかしコンビニにあるもので、病院食のサイドメニューになるようなものは海苔の佃煮
や、簡単な惣菜のようなものに限られた。私は惣菜を買って食べることをしないので、
実際に買うものといったら菓子パンのようなものばかりだった。
他の病室の人を観察してみると、中にはカップ麺を買い食堂の湯を使っている人もあ
り、私も一度でもいいからカップ麺を食べてみたかった。先生に許可を貰う程のことで
はないのか、とんでもないことなのか判断つかず結局あきらめ、そして羨ましく眺めて
いた。病院食は全体的に薄味で元々、塩辛いものが好きだからとても物足りない感じ
がしていた。しかし、病院食の定番かぼちゃは家ではあまり食べないのに、ここでは残
すこともなく食べ、全体的に完食で生臭い魚の時に残すことがある程度だった。
自由に動けるようになったから1Fから8Fまで階段を歩いてうろついた。8階にはレストラ
ンがあり、奥の方に図書室のようなものが開設されていた。レストランのメニューを見な
がら早くこんなのを食べてみたいと随分羨ましがっていた。
治療は毎日の喉への吸入を午前と午後に10分くらい行うこと、4~5日に1回、早朝に採
血、朝一で主治医の先生の回診だけで薬の服用もないから、本当に静養している感じ
だ。傷口はガーゼ交換が主で膿が出るとか縫合の問題などは皆無だったから思ったよ
り早く抜糸があった。この時、あばらの傷も抜糸しているから開胸手術の意味が分かりそ
うなのに、ここでもあばら骨が痛い理由について分かっていない。
外科の抜糸は背中に粉瘤が出来、摘出して貰って以来だがチカッとするだけで何でも
ない。抜糸の終了は風呂の解禁に一歩前進することになるが、管どもが居なくならない
と叶わない。
入院以来、風呂とは縁がなかったから一日でも早く湯船につかりのんびりしたかった。こ
このシステムは風呂の入口にある時間表に自分の入浴時間を記入する。空いていれば
一日に何回入浴しても構わないから、朝夕の2回を予約していた。一度に2~3人は入れ
る風呂場なのに、予約は1人単位だから、駄々広い感じがする。
湯船のお湯は一人様限りで風呂から出る時は湯船を掃除して、次の人が気持ちよく入れ
るようにしていた。最初に入った時は垢が溜まっていたろうから、ボディーソープをつけて
3度も身体を洗い流した。