女装子愛好クラブ

女装小説、女装ビデオ、女装動画、女装記事などを紹介していきます。

酢で浣腸の続き? ザ★排泄

2021年01月19日 | 女装以外の情報いろいろ
今日の題名を見てびっくりしたでしょう?
18禁ビデオかとおもうかとでしょう。
でもこれは、看護学生用の医学書です。

スマホで本ブログをお読みの方はお分かりですが、「酢で浣腸」という8年前の書き込みが人気です。
そのご参考ということで文献をご紹介します。

実習で学生がとまどいがちな、排泄ケアの手順を解説。
教科書では記述しきれない初歩的な(でも重要な)ポイントを
きめ細かくあげ、「なぜそうするのか?」といったケアの根拠もQ&Aで説明する。

さらに、他書では取り上げられることの少なかった「駆風浣腸」や「月経の処理」などの項目も収載。
声掛けの具体例や生理学的な基礎知識も盛り込み、充実の内容で実習をサポート!


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こちらも看護学生向けの教科書です。
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明治44年、上野・浅草界隈を夜な夜な徘徊する女装者がいた~『秘密』(谷崎潤一郎)

2021年01月19日 | ★女装の本・雑誌
『秘密』は、谷崎潤一郎の短編小説です。普通の刺戟に飽きた男が美しく女装して町を徘徊し、そして昔付き合っていた女と巡り合います。
この小説が書かれたのは明治44年(1911年)ですから、いまから110年前に『女装』はすでに文学のテーマとなっていたのですね。
以下、引用します。

 殊に私の大好きなお召や縮緬を、世間障らず、慾に着飾ることの出来る女の境遇を、嫉ましく思うことさえあった。

 あの古着屋の店にだらりと生々しく下っている小紋縮緬の袷――あのしっとりした、重い冷たい布が粘つくように肉体を包む時の心好さを思うと、私は思わず戦慄した。あの着物を着て、女の姿で往来を歩いて見たい。…こう思って、私は一も二もなくそれを買う気になり、ついで密に友禅の長襦袢や、黒縮緬の羽織までも取りそろえた。

 大柄の女が着たものと見えて、小男の私には寸法も打ってつけであった。夜が更けてがらんとした寺中がひっそりした時分、私はひそかに鏡台に向って化粧を始めた。黄色い生地の鼻柱へ先ずベットリと練りお白粉をなすり着けた瞬間の容貌は、少しグロテスクに見えたが、濃い白い粘液を平手で顔中へ万遍なく押し拡げると、思ったよりものりが好く、甘い匂いのひやひやとした霧が、毛孔へ沁み入る皮膚のよろこびは、格別であった。紅やとのこを塗るに随って、石膏の如く唯徒らに真っ白であった私の顔が、澄刺とした生色ある女の相に変って行く面白さ。文士や画家の芸術よりも、俳優や芸者やー般の女が、日常自分の体の肉を材料として試みている化粧の技巧の方が、遥かに興味の多いことを知った。

 長襦袢、半襟、腰巻、それからチュッチュッと鳴る紅絹裏の袂、―― 私の肉体は、凡べて普通の女の皮膚が味わうと同等の触感を与えられ、襟足から手頚まで白く塗って、銀杏返しの鬘の上にお高祖頭巾を冠り、思い切って往来の夜道へ紛れ込んで見た。

 雨曇りのしたうす暗い晩であった。千束町、清住町、竜泉寺町――あの辺一帯の溝のろい、淋しい街を暫くさまよって見たが、交番の巡査も、通行人も、一向気が附かないようであった。甘皮をー枚張ったようにぱさぱさ乾いている顔の上を、夜風が冷やかに撫でて行く。口辺を蔽うている頭巾の布が、息の為めに熱く湿って、歩くたびに長い縮緬の腰巻の裾は、じやれるように脚へ纏れる。みぞおちから肋骨の辺を堅く繁め附けている丸帯と、骨盤の上を括っている扱帯の加減で、私の体の血管には、自然と女のような血が流れ始め、男らしい気分や姿勢はだんだんとなくなって行くようであった。

 友禅の袖の蔭から、お白粉を塗った手をつき出して見ると、強い頑丈な線が闇の中に消えて、白くふっくらと柔かに浮き出ている。私は自分で自分の手の美しさに惚れ惚れとした。このような美しい手を、実際に持っている女と云う者が、羨ましく感じられた。芝居の弁天小僧のように、こう云う姿をして、さまざまの罪を犯したならば、どんなに面白いであろう。…探偵小説や、犯罪小説の読者を始終喜ばせる「秘密」「疑惑」の気分に髣髴とした心特で、私は次第に人通りの多い、公園の六区の方へ歩みを運んだ。そうして、殺人とか、強盗とか、何か非常な残忍な悪事を働いた人間のように、自分を思い込むことが出来た。

 十二階の前から、池の汀について、オペラ館の四つ角へ出ると、イルミネーションとアーク燈の光が厚化粧をした私の顔にきらきらと照って、着物の色合いや細目がはッきりと読める。常盤座の前へ来た時、突き当りの写真屋の玄関の大鏡へ、ぞろぞろ雑沓する群集の中に交って、立派に女と化け終せた私の姿が映っていた。

 こってり塗り附けたお白粉の下に、「男」と云う秘密が悉く隠されて、眼つきも口つきも女のように動き、女のように笑おうとする。甘いへんのうの匂いと、噂くような衣摺れの音を立てて、私の前後を擦れ違う幾人の女の群も、皆私を同類と認めて訝しまない。 そうしてその女達の中には、私の優雅な顔の作りと、古風な衣裳の好みとを、羨ましそうに見ている者もある。

 いつも見馴れている公園の夜の騒擾も、「秘密」を持っている私の眼には、凡べてが新しかった。何処へ行っても、何を見ても、始めて接する物のように、珍しく奇妙であった。人間の瞳を欺き、電燈の光を欺いて、濃艶な脂粉とちりめんの衣裳の下に自分を潜ませながら、「秘密」の帳をー枚隔てて眺める為めに、恐らく平凡な現実が、夢のような不思議な色彩を施されるのであろう。

 それから私は毎晩のようにこの仮装をつづけて、時とすると、宮戸座の立ち見や活動写真の見物の間へ、平気で割って入るようになった。寺へ帰るのは十二時近くであったが、座敷に上ると早速空気ランプをつけて、疲れた体の衣裳も解かず、毛氈の上へぐったり嫌らしく寝崩れたまま、残り惜しそうに絢欄な着物の色を眺めたり、袖口をちゃらちゃらと振って見たりした。剥げかかったお白粉が肌理の粗いたるんだ頬の皮へ惨み着いているのを、鏡に映して凝視していると、廃頽した快感が古い葡萄酒の酔いのように魂をそそった。地獄極楽の図を背景にして、けばけばしい長襦袢のまま、遊女の如くなよなよと蒲団の上へ腹這って、例の奇怪な書物のぺージを夜更けまで翻すこともあった。次第に扮装も巧くなり、大胆にもなって、物好きな聯想を醸させる為めに、匕首だの麻酔薬だのを、帯の間へ挿んでは外出した。犯罪を行わずに、犯罪に附随している美しいロマンチックの匂いだけを、十分に嗅いで見たかったのである。

 そうして、一週間ばかり過ぎた或る晩の事、私は図らずも不思議な因縁から、もっと奇怪なもっと物好きな、そうしてもっと神秘な事件の端緒に出会した。

「秘密」谷崎潤一郎著・新潮文庫から引用


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