きのこ ゼミ ブログ

きのこ ゼミ の情報を掲載しています

マツタケ「1キロ200万円」、数秒で落札 熊本・天草

2013年04月24日 | きのこ ゼミ 情報メール ニュース関連
 熊本県天草市の本渡青果市場に16日、春マツタケ1本が出品された。長さ8センチ、重さ10グラムと例年より小ぶりだが、数秒で「1キロ200万円」で落札された。

 10グラムのため実際には2万円。「日本一早いマツタケ」と市場。毎年、早さを競って出品する人もおり、採れた場所は秘密だ。産地は「ある山」だという。

 かつては東京の料亭からも注文があったが、競り落としたのは地元の青果店主(72)。「店に置くけど、買う人は絶対いない。焼酎仲間と食べます」

マツタケ「1キロ200万円」、数秒で落札 熊本・天草
朝日新聞デジタル 2013年4月16日20時56分

水酸化ナトリウムは水酸化カリウムの代わりにならないのか-補足

2013年04月19日 | きのこ ゼミ
 実験用ガラス器具の洗浄にアルカリバスという液体を使用します.
 これは,水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムをメタノールやイソプロパノールに溶かして作った液体です.
 アルカリ濃度は適当ですが,大体5%より濃いでしょう.
 この洗浄液は,強力に汚れを洗浄してくれるのですが,ついでにガラスも溶解します.
 高分子フィルムをガラス板で作る時(赤外線スペクトル測定用),ガラス表面をアルカリ性メタノールで拭くと平滑になって便利です.これと同じです.(ただし,素手では扱えない)

 『アルカリバス』で検索すればわかりますが,水酸化ナトリウムでも水酸化カリウムでもガラスを溶かします.
 つまり,「水酸化ナトリウムはガラスを溶かすが水酸化カリウムはガラスを溶かさない」という説明が間違っていることがわかります.
 どちらを使っても,濃度が高ければガラスを溶かすということです.
 ほとんど都市伝説のようですね.

菌学会からのお知らせ

2013年04月18日 | きのこ ゼミ 情報メール
菌学会のホームページに掲載されているのですが,あまり周知されていないようなのでここにも掲載しておきます.
こういうのは困るので,きちんと周知して頂きたいのと,再発防止に努めて頂きたいものです.

------------

Mycoscience 54(2)確認のお願い

2013/04/16
Mycoscience 54 (2)の156,157ページに落丁がある冊子があったようです.日本菌学会の英文誌Mycoscienceは印刷をエルゼビア社に変更して2号目です.まだトラブルがあるかもしれませんので,お気づきの点がありましたらお知らせください.

水酸化ナトリウムは水酸化カリウムの代わりにならないのか-4

2013年04月14日 | きのこ ゼミ
結論

『5%濃度であれば水酸化ナトリウムはスライドガラスに対して水酸化カリウムと同じような作用しか及ぼさない』


 もっと長時間ならガラスの表面を溶かすため,散乱が生じるかもしれません.
 ただそれはどちらを使っても同じだと思います.
 この実験でも表面に微細な傷ができているかもしれませんが,分子レベルの傷なら顕微鏡観察にはそれほど影響はないように思えます.

 今回使ったスライドガラスは硬質ガラスという種類です.

(硬質ガラスは側面が青っぽく見えます)

 もしかすると昔はもっとガラスの質が悪くてアルカリで数回使うとすぐに表面の劣化が起こったのかもしれません.
 硬質ガラスだとこのくらいの使い方ならそれほど問題はないようです.

 それでも薄いカバーガラスなら影響が出てくる可能性はあります.
 S氏は,カバーガラスは使い捨てを勧めていたので,特にアルカリを使った場合は絶対に使い捨てにするべきです.
 今回でも,24時間放置した後のカバーガラスには,白い粉のような染みが残りました.これは水で洗っても取れませんでした.

 ただし,この白い染みは水酸化カリウムの場合に見られたものです
 たまたまかもしれませんが,水酸化カリウムを使えば大丈夫というものではなさそうです.

 水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を代用として使用することは可能ですが,研究として使用するのであれば定法である水酸化カリウムを使いましょう.
 水酸化カリウムが手に入らず,アンモニア水だとよくわからない,という時にだけ使用することをお勧めします.
 なお,水酸化ナトリウムも水酸化カリウムも5%でも大変危険です
 使用法がわかっていない人,ならびに応急処置を知らない人は使ってはいけません.

 ちなみに,4%酢酸は中和のために使ってますが,この濃度は食酢に合わせました.
 アルカリの付着したスライドガラスの表面の中和に使えるでしょう.
 家庭の食酢は糖分やアミノ酸なども入ってますので,放置しておくと何か得体の知れないものが発生するかもしれませんのでご注意下さい.

(おしまい)



水酸化ナトリウムは水酸化カリウムの代わりにならないのか-3

2013年04月12日 | きのこ ゼミ
 さて,結果です.

 2時間放置は観察に要する時間を想定しています.実際には光が当たるので温度が上がるのですが,この実験では20℃くらいで放置していました.
 24時間放置は,「あ~片付けるの忘れてた~」,とよくやる場合を想定しています.
 その結果はどうなるのか.
 スペクトルの比較をしてみます.

 5%水酸化カリウムの場合
  放置前 → 2時間放置




  放置前 → 24時間放置




 350nm以下の波長域は,ガラスの吸収を示していますのであまり気にしなくて構いません.
 そうすると,変化はない.
 水酸化カリウムはガラスに何の影響もない,と言えるかもしれません.


 5%水酸化ナトリウムの場合
  放置前 → 2時間放置




  放置前 → 24時間放置




 変化がない・・・
 水酸化ナトリウムでもガラスに影響がない,ようです.

 今回の測定は,可視範囲のスペクトルをスライドガラスに対して垂直に測定していますので,散乱・回折・干渉といった変化は検出できていません.
 でも表面が溶けていれば散乱が増えるため,スペクトルに乱れが生じるはずです.
 一応顕微鏡で覗いてみましたが,特に変化はないようです.

(続く)

菌類の事典 朝倉書店 発売!

2013年04月10日 | きのこ ゼミ 情報メール
菌類の事典 朝倉書店

B5/712ページ/2013年05月20日
ISBN978-4-254-17147-1 C3545
定価24,150円(税込)
日本菌学会 編

 菌類(キノコ,カビ,酵母,地衣類等)は生態系内で大きな役割を担う生物であり,その研究は生物学の発展に不可欠である。
 本書は基礎・応用分野から菌類にまつわる社会文化まで,菌類に関する幅広い分野を解説した初の総合事典。

〔内容〕
基礎編:
 系統・分類・生活史
 細胞の構造と生長・分化
 代謝
 生長・形態形成と環境情報
 ゲノム・遺伝子
 生態
人間社会編:
 資源
 利用(食品,産業,指標生物,モデル生物)
 有害性(病気,劣化,物質)
 文化(伝承・民話,食文化等)

アミガサタケが人工的に栽培できる?!

2013年04月08日 | きのこ ゼミ 情報メール
春に生える人気者のきのこと言えば,アミガサタケでしょう.
ちょっと奇っ怪な形ですが,なかなか美味しいのがポイントですね.
これまで多くの研究者が人工栽培に挑戦してきましたが,なかなか難しいようです.

しかし!人工的にきのこが発生した報告がありました.

Segula Masaphy
Biotechnology of morel mushrooms: successful fruiting body
formation and development in a soilless system
Biotechnol Lett (2010) 32:1523-1527


子実体が大きくなる写真を見ると,なるほどと唸らされます.
しかし,栽培方法には特段の工夫があるようには思えません.
いよいよ実用化か?!と思ったのですが,大量生産されているニュースはないですね・・・
早く実用化して欲しいものです.

水酸化ナトリウムは水酸化カリウムの代わりにならないのか-2

2013年04月07日 | きのこ ゼミ
実験

1 顕微鏡観察をする時のように,スライドガラスに蒸留水をたらし,カバーガラスをかぶせた.
2 この状態で分光光度計でスペクトル測定を行った.
3 蒸留水をろ紙で吸い取った後にカバーガラスを外し,5%水酸化カリウム水溶液または5%水酸化ナトリウム水溶液をたらしてから,またカバーガラスをかぶせて,乾燥しにくいように容器に入れ,2時間放置と24時間放置を行った.
4 放置後,水洗してアルカリ液をできるだけ除去してから,4%酢酸水溶液につけて24時間放置した.
5 1と同じように蒸留水を使って分光光度計で測定を行った.

 スキーム

 スライドガラス+水+カバーガラス ――――→ 測定1
         ↓
 スライドガラス+5%アルカリ水溶液+カバーガラス
   ※5%アルカリ水溶液:5%水酸化ナトリウムまたは5%水酸化カリウム
         ↓
   2時間 または 24時間 放置
         ↓
   水でアルカリを洗浄・除去
         ↓
    4%酢酸に24時間浸す
         ↓
       水で洗浄
         ↓
 スライドガラス+水+カバーガラス ――――→ 測定2,3
   ※測定2は2時間放置の場合,測定3は24時間放置の場合

(続く)


水酸化ナトリウムは水酸化カリウムの代わりにならないのか-1

2013年04月01日 | きのこ ゼミ
 きのこの顕微鏡観察では水酸化カリウム(苛性カリ)が使われます.しかし,水酸化カリウムは劇物であり,アマチュア研究者では入手できません.
 一方,水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)は劇物ではあるものの,薬局などでは身分証と印鑑を持っていけば購入可能です.

 以前から,水酸化カリウムが入手できないなら,水酸化ナトリウムで代用できないかと思ってました.

 先日,こういうことに詳しいS氏に訊くと,
「水酸化ナトリウムはガラスを溶かすからダメです.水酸化カリウムなら大丈夫」
と答えてくれました.

 ん?
 水酸化ナトリウムはガラスを溶かすが,水酸化カリウムはガラスを溶かさない・・・?

 ちょっと待て.
 水酸化ナトリウムと水酸化カリウムはそんなに性質は変わらないぞ.
 むしろ,アルカリとしては水酸化カリウムの方が強いはず.
 水酸化ナトリウムの方がガラスを溶かす理由として考えられるのは,ナトリウムイオンがカリウムイオンより小さいから,ガラスの分子の結合の中に入っていって溶かす・・・のか?

 イオン半径は検索すると見つかるのですが,大体が固体中の値なので参考程度に掲載しておきます.
  Naイオン 0.99-1.39オングストローム
  Kイオン 1.33-1.64オングストローム
(単位がオングストロームだとひく人がいるだろうな)

※水溶液中のイオン半径をMOPACで計算してみたけど,上の値と随分違うので間違っているかもしれないのでここには書きません.

 確かにKイオンの方が大きい.
 これに加えて,電子の軌道が違うのでそれが影響しているのかもしれない.
  Naイオン 2p6
  Kイオン 3p6

 さて,論より証拠で試してみた.

(続く)