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ゴキブリに生えるキノコ?

2007年04月29日 | きのこ ゼミ 情報メール
◆ゴキブリに生えるキノコ?
  
冬虫夏草というと虫に生えるキノコ(子嚢菌類)ですが、ゴキブリに生える種類もあるのをご存知ですか?
1924年にセイロン島でゴキブリタケというのが見つかっています。
これはその後見つかっていませんが、宮崎県で同じようなものが最近見つかっています。
これがヒュウガゴキブリタケ(仮称)というものです。

当初、オオゴキブリから発生していると考えられていましたが、実はエサキクチキゴキブリから発生していました。
どうしてこんな勘違いが起こったのでしょうか?

実は、エサキクチキゴキブリとオオゴキブリの幼虫はそっくりなのです。
このためどちらがどちらかよくわかっていなかったため、林地でよく見かけるオオゴキブリではないかと思われたのです。
まだこの冬虫夏草がオオゴキブリに発生するかは不明のようですが、寄主特異性があるとすれば発生しないかもしれません。

ちなみに
ゴキブリというと家に潜む不潔な害虫という印象があるかもしれませんが、大部分のゴキブリは森林で生活し、朽ち木や落ち葉などを食べる生活をしています。
エサキクチキゴキブリもオオゴキブリも朽ち木を食べる普通(?)の野外昆虫です。


スギヒラタケの毒性分は何?

2007年04月13日 | きのこ ゼミ 情報メール
◆スギヒラタケの毒性分は何?
 2007年度日本農芸化学会大会の発表から(4月13日情報メールにて配信)

2007年度日本農芸化学会大会でスギヒラタケの中毒成分に関する発表が2題ありました。
・講演番号2A27p18 スギヒラタケ食中毒事件の化学的解明
・講演番号2A27p19 スギヒラタケ由来、低分子毒性化合物の化学的探索
これらの報告について簡単に説明いたします。 

まず講演番号2A27p18では、高分子成分として、水・熱水抽出画分についてマウスの死亡が確認されました。
遅効性の毒性分であり、数kDaの糖タンパク質と推定されている。
糖の組成としては、ガラクトースが他の糖に比べてやや多め、アクチナーゼによるタンパク質分解処理により、致死作用が低下するとのことです。

講演番号2A27p19の低分子毒素成分についての報告としては、分画の過程で致死活性が消失してしまったため、物質は特定できませんでした。
ただし、D型アミノ酸としてD-セリンが検出できたとのことです。D-セリンは神経系に作用することが知られており、この物質を多く含むことがスギヒラタケの中毒と因果関係があるかもしれないとのことでした。