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きのこもエンドファイト(endophyte)?

2006年08月03日 | きのこ ゼミ 情報メール
◆きのこもエンドファイト(endophyte)?
         (きのこ情報メール 8月3日配信)

エンドファイト(endophyte):
「植物の体内で病気を起こさずに生活をしている菌類をエンドファイトと呼ぶ。エンドファイトは片利共生的なものが多いとされている。しかし種類によっては、植物はエンドファイトの存在によって摂食阻害物質を獲得して草食動物に食べられにくくなるので、この場合は相利共生的である。ところが、相利共生的なエンドファイトの中には植物の有性生殖を阻害して栄養生殖だけで繁殖することを強いているものも多い。また、植物の生理状態が悪化するとエンドファイトが病原性を発現することもある」(Wikipediaより)

エンドファイトとは、植物体内で共生的に生活している真菌や細菌のことで,endo(within)とphyte(plant)からの造語です.広義には,根粒菌や菌根菌もエンドファイトに含まれますが,一般にはイネ科植物に寄生する麦角病菌科の真菌を指すことが多いようです.

では、菌根菌以外のきのこにはエンドファイトが存在するのでしょうか?

興味深い報告があります。

ツリガネタケ(Fomes fomentarius (L.:Fr.) Fr.)がエンドファイトの可能性があるということです。健全なブナを切り出して、その木片を培養すると8週間後にこのサルノコシカケの菌糸が発生してきました。多数のツリガネタケがこうして木片から分離した菌から同定され、遺伝的にも異なるものが得られたということですから、こうした性質は普通なのでしょう。

また、カバノアナタケもエンドファイトである可能性が示唆されています。
宿主樹木を枯らせることなく成長し、菌核を作る(これがチャーガと呼ばれています)のですが、一方で、病害菌からの罹病を防ぐことが報告されています。


また、突然発生するきのこの性質も実はエンドファイトではないかと考えられています。
例えば、ある時突然大量にきのこが発生する。その前にバーク堆肥を撒いていた場合が多いのですが、このために、それに菌がついていたのだろう、あるいは隠れていたきのこが堆肥のおかげで活性化し大量発生したのだろう、などと推理しますね。

別の推理があります。

もともと堆肥になる前からきのこが樹木内部あるいは樹皮内部で繁殖しており、それを堆肥にすることで活性化して大量発生につながったのではないか、ということです。
堆肥にしている過程で感染したにしても、あまりに独占的に発生する様は説明が難しいのでこう考えるのでしょう。
こうしたきのこの候補が、Psilocybe類ということです。

そういえば、ある時突然大量にヒカゲシビレタケ(Psilocybe argentipes K.Yokoyama)が発生しているのを見たことがあります。それは、翌年には全く発生しませんでした。元々、エンドファイトであったとしたら、一時的には地上に生えることがあっても、生活の大部分が植物との共生であるなら説明がつきそうです。