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僕たちはカエンタケとどう付き合えばいいのだろう?

2020年08月30日 | きのこ情報
僕たちはカエンタケとどう付き合えばいいのだろう?

カエンタケというと、これ以上はないという猛毒のきのこだという認識が世間一般に広まっていますね。

例えば、
・食べると小脳が溶けて死に至る
・触ると手がただれる
・皮膚がやけどのようになる
・胞子を吸うと呼吸器がやられる
といったところでしょうか?

でも、それらが正しいのかどうかは誰も確認していません。
以前、紹介した きのこびと というサイトのコラムに興味深い記事が載っています。
1年前に掲載された記事ですが、確かにあまりにカエンタケの毒成分を恐れすぎて検証が追い付いていないようです。

いま一度カエンタケについて考えるべき時が来ているのかもしれませんね。

僕たちはカエンタケとどう付き合えばいいのだろう?
きのこびと

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性別が720種類で、脳がなくても学習!? 謎の生物「ブロブ」にまつわる、5つの疑問

2020年01月26日 | きのこ情報
性別が720種類で、脳がなくても学習!? 謎の生物「ブロブ」にまつわる、5つの疑問

性別が720種類もあり、脳がなくても学習し、半分に切断されても2分で自己治癒する──。そんな奇妙な生物が、パリの動物園で展示されて話題になっている。この「ブロブ」と呼ばれる生物は単細胞の粘菌の一種であるモジホコリ。その謎に満ちた生物に関する5つの疑問にお答えしよう。

もしわたしたちが、この惑星を徐々に破壊することに没頭していなかったとしても、ネット上では互いに徹底的にののしり合うことに時間を費やしている。しかし、人類のロールモデルがますますいなくなっていく世界にも、思いがけないヒントの源がある。

そこで登場するのが、「ブロブ(The Blob)」と呼ばれる“生物”である。単細胞の粘菌の一種であるモジホコリの黄色い塊で、パリ動物園で10月16日に披露された。720種類もの性別をもち、半分に切断されても2分で自己治癒できるブロブは、この手の単純な生物としては驚くほど完成されている。

口や目、脳がないにもかかわらず、モジホコリは物事を記憶し、簡単な問題を解くことができる。こうしたことをほとんど学ばないまま政界入りする人間がいることを考えれば、素晴らしいことだ。

パリのモジホコリは、すでに世界中の人々の心を捉えている。読者の皆さんが彼らに敬意を払うべき理由を以下に説明しよう。

1)いったい何なのか?
2)どんな特徴がある?
3)ブロブを恐れる必要はない?
4)何か人類の役に立つ?
5)ペットとして飼おう。どこで手に入るの?

※5つの疑問に対する回答と写真はこちら↓
性別が720種類で、脳がなくても学習!? 謎の生物「ブロブ」にまつわる、5つの疑問

◇関連記事
研究者も会えない珍キノコ 北海道でひそかに絶滅の危機
粘菌が「農業」…餌の細菌、少なくなると栽培
「南方熊楠」 青空文庫.com

研究者も会えない珍キノコ 北海道でひそかに絶滅の危機

2020年01月02日 | きのこ情報
 北海道内で30年ほど前に発見された「幻のキノコ」がある。150万種とも言われる菌類の中でも、その珍しさから、研究者らによる人気投票でベスト5に選ばれた。しかし今、絶滅の危機がささやかれている。

 若手の研究者や学生でつくる「菌学若手の会」が2013年、菌類の魅力を広めようと「日本珍菌(ちんきん)賞」を始めた。研究者や愛好家がイチオシの「推し菌」をツイッターに投稿して、「いいね」やリツイートの数などで順位を決めている。

 この賞の初回で5位に選ばれたのが「センボンキツネノサカズキ」だ。
(続きはこちら

◇関連記事
キンラン・ギンラン
絶滅危惧種のキノコ発見=北海道斜里町の海岸で
きのこが絶滅? - 環境省 第4次レッドリスト

バカマツタケ新菌株

2019年10月06日 | きのこ情報
バカマツタケ新菌株-特許6508793

【要約】
【課題】植物との共生処理をおこなうことなく、全栽培工程を人工環境下の菌床栽培でおこなう完全人工栽培によって、子実体形成が可能なバカマツタケの新菌株を提供することを課題とする。
【解決手段】受託番号が、NITE P-02787であるバカマツタケ新菌株であり、当該バカマツタケ新菌株は、バカマツタケと同定されるDNAを有するものである。また、当該バカマツタケ新菌株からは、バカマツタケの子実体原基を経て、バカマツタケの子実体を得ることができる。


◇関連記事
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植物多様性に合わせたキノコの進化

2019年01月05日 | きのこ情報
植物多様性に合わせたキノコの進化
  堀 千明・岩田 茉奈

 木材を栄養源として利用するきのこ類を木材腐朽菌と呼びます.きのこ類,すなわち担子菌類,の木材腐朽菌は,大きく白色腐朽菌と褐色腐朽菌に分類されます.
 白色腐朽菌は,木材構成成分であるセルロース・ヘミセルロース・リグニンを全て分解できるのですが,褐色腐朽菌はリグニンの分解能力を持たず,セルロースとヘミセルロースのみを分解します.
 きのこ類にとってリグニンはあまり栄養にならないため,糖質から構成されているセルロースとヘミセルロースが分解できれば充分です.
 このため,褐色腐朽菌から白色腐朽菌へと進化したと考えられていました.

 しかし,褐色腐朽菌のセルロース・ヘミセルロース分解能は,いわゆる酵素系ではなく,フェントン反応と呼ばれる反応系であるため,その分解能力は独自に獲得し,進化したものではないかと言う説もありました.

 このコラムでは,最近の分子系統解析の結果から,まず白色腐朽菌が出現して,その後で褐色腐朽菌が出現したという報告を紹介しています.
 その理由は,まず広葉樹に生える木材腐朽菌には白色腐朽菌が多く,針葉樹に生える木材腐朽菌には褐色腐朽菌が多い,という視点から考察されています.

 すなわち,まずセルロース・ヘミセルロース分解能を持った菌類が,リグニン分解能力を獲得し,広葉樹のみを分解する白色腐朽菌が出現した.その後,広葉樹を分解する褐色腐朽菌が出現し,さらに針葉樹に生える褐色腐朽菌へと遷移した.
 一方,白色腐朽菌では,針葉樹を分解する白色腐朽菌から広葉樹をも分解するようになった.
 その後,樹木は被子植物(広葉樹)が爆発的に種数を増やしたため,それに適応する形で白色腐朽菌が勢力を増した.

 そうすると,針葉樹を分解できる白色腐朽菌は,木材腐朽菌の原種に近いということでしょうか?
 それから,褐色腐朽菌のセルロース・ヘミセルロース分解系であるフェントン反応はどういった形で獲得されたのでしょうか?
 一方,白色腐朽菌はフェントン反応系を持っていないのでしょうか?

 まだまだ謎は深まっていきます.

○堀 千明・岩田 茉奈 植物多様性に合わせたキノコの進化
 生物工学会誌第96巻(2018年)第12号 708


◇参考文献
高橋旨像 木材の腐朽型,その木材保存処理への活用 木材研究・資料 (1986), 22: 19-36
吉田 誠 腐朽メカニズムの概要と研究の展望 木材保存 2018 年 44 巻 3 号 p. 172-175
堀 千明, 五十嵐 圭日子, 鮫島 正浩 木材腐朽担子菌のゲノム・ポストゲノム解析から植物細胞壁と分解酵素の共進化を考える 化学と生物 2015 年 53 巻 6 号 p.381-388

スジウチワタケ

2018年11月11日 | きのこ情報
スジウチワタケ
Polyporus grammocephalus Berk.

先日の採集会でこう同定されていたきのこがあった.
※ 写真を載せるとどこの採集会かわかるので控えます.

Fungorumによると,
現在は,Polyporus hypomelanus Berk. ex Cookeということである.

Microporusではないため,管孔はそれほど細かくないはずであるのだが,上記のきのこはどう見ても,Microporusのように管孔が見えないほど細かい.

しかも,スジウチワタケは沖縄などかなり暖かい地域に発生する.
つまり,どう考えてもスジウチワタケではないと思う.
たぶん,個人的な見立てであるが,ツヤウチワタケが古くなってツヤがなくなっただけだろう.

どうも採集会では,なんとか名前をつけないといけないという使命感に追われている印象がある.
その結果,おかしな同定結果が記録として残ってしまうことになっている.

私は,名前をつけなければならないという状況を放棄しているので,まず誰も私に訊いてくることはない.
その方が助かるし,おかしな記録が残ることも回避できる.

したがって,採集会での同定法は次のようにしなければならないだろう.
#1 現場でつけた名前は暫定的なものである,
#2 名前をつけたきのこは持ち帰り,鑑定結果を後日報告する.
#3 報告のできない人は名前をつけない.

大勢が採集会に来ているのであるから,各人がひとつずつ持ち帰って鑑定してくれば,可能であろう.

ただし,ここでいう鑑定とは,顕微鏡やDNA鑑定ではなく,外観の特徴を図鑑と照らし合わせてくるだけでもいいのと思う.
採集会の現場では図鑑すら見ずに名前がつけられているのであるから.

ちなみにスジウチワタケは,大勢の人が持ち歩いている山渓のフィールドブックスきのこに載っているので,現場で確認すれば誤同定は避けられたはずである.

第3回次世代生物研究会

2018年10月27日 | きのこ情報
第3回次世代生物研究会

開催日時:2018年11月24日(土)12時00〜18時00分頃

会場:大阪府立大学 I-site なんば C1室 〒556-0012 大阪市浪速区敷津東2丁目1番41号
南海なんば第1ビル2階 Tel 06-7656-0441

第3回次世代生物研究会プログラム

シンポジウム

1.発芽玄米由来白米における高GABA含有量の遺伝的変異の探索
近畿大学 生物理工学部 堀端 章先生

2.複数の量子ビームを相補的に用いたタンパク質の構造研究
量子科学技術研究開発機構 玉田太郎先生

3.吸汁摂食を行う菌食性動物の世界にようこそ!
近畿大学 農学部 澤畠 拓夫 先生

4.バカマツタケの林地接種における子実体発生
奈良森林技術センター 河合 昌孝先生

5.マツタケの香りに関する研究
大阪府立大学 楠田 瑞穂

6.ホクトのきのこづくりときのこが持つ嗜好性と機能性について
ホクト株式会社 安積 良仁先生

7.きのこ生産の変遷と現況,そして今後の栽培技術開発
エムシーテクノオフィス株式会社 山内 政明先生

8.伏菟野地区の災害復興とキクラゲ栽培(予定)
伏菟野キクラゲ協同組合 打越 さとみ(予定)


民族自然誌研究会 第92回例会

2018年10月27日 | きのこ情報
民族自然誌研究会 第92回例会


●日時:2018年11月10日(土)午後1時~5時
●タイトル【京都・きのこ・菌従属栄養植物】
●プログラム

○13:00 ~ 13:10 「趣旨説明」
 吹春 俊光(千葉県立中央博物館)

○13:10 ~ 13:40 「京都のアマチュアのきのこ活動」
 森本 繁雄(幼菌の会/関西菌類談話会/元・小学校教員)

○13:40 ~ 14:10 「京大生のきのこ活動」
 佐藤 博俊(京都大学大学院人間・環境学研究科)

○14:10 ~ 15:10
 「光合成をやめた植物『菌従属栄養植物』のしたたかな生存戦略」
 末次 健司(神戸大学大学院理学研究科)

 15:10 ~ 15:30 休憩

○15:30 ~ 16:30 「菌従属栄養植物とその菌根菌について」
 谷亀 高広(東京都西多摩郡瑞穂町郷土資料館)

○16:30 ~ 17:00 総合討論 

●場所:京都大学稲盛財団記念館3階セミナー室(318室)
  → アクセス https://www.cias.kyoto-u.ac.jp/access/
  → 建物 http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/inamori

※どなたでも参加できます。事前申し込みは不要です。お気軽にご参加ください