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水酸化ナトリウムは水酸化カリウムの代わりにならないのか-4

2013年04月14日 | きのこ ゼミ
結論

『5%濃度であれば水酸化ナトリウムはスライドガラスに対して水酸化カリウムと同じような作用しか及ぼさない』


 もっと長時間ならガラスの表面を溶かすため,散乱が生じるかもしれません.
 ただそれはどちらを使っても同じだと思います.
 この実験でも表面に微細な傷ができているかもしれませんが,分子レベルの傷なら顕微鏡観察にはそれほど影響はないように思えます.

 今回使ったスライドガラスは硬質ガラスという種類です.

(硬質ガラスは側面が青っぽく見えます)

 もしかすると昔はもっとガラスの質が悪くてアルカリで数回使うとすぐに表面の劣化が起こったのかもしれません.
 硬質ガラスだとこのくらいの使い方ならそれほど問題はないようです.

 それでも薄いカバーガラスなら影響が出てくる可能性はあります.
 S氏は,カバーガラスは使い捨てを勧めていたので,特にアルカリを使った場合は絶対に使い捨てにするべきです.
 今回でも,24時間放置した後のカバーガラスには,白い粉のような染みが残りました.これは水で洗っても取れませんでした.

 ただし,この白い染みは水酸化カリウムの場合に見られたものです
 たまたまかもしれませんが,水酸化カリウムを使えば大丈夫というものではなさそうです.

 水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を代用として使用することは可能ですが,研究として使用するのであれば定法である水酸化カリウムを使いましょう.
 水酸化カリウムが手に入らず,アンモニア水だとよくわからない,という時にだけ使用することをお勧めします.
 なお,水酸化ナトリウムも水酸化カリウムも5%でも大変危険です
 使用法がわかっていない人,ならびに応急処置を知らない人は使ってはいけません.

 ちなみに,4%酢酸は中和のために使ってますが,この濃度は食酢に合わせました.
 アルカリの付着したスライドガラスの表面の中和に使えるでしょう.
 家庭の食酢は糖分やアミノ酸なども入ってますので,放置しておくと何か得体の知れないものが発生するかもしれませんのでご注意下さい.

(おしまい)