子どもの頃
夏休み
は
うれしかった
けれど
ニガテでもあった
家が自営業だったから
自由な時間は増えても
どこかへ連れて行ってもらえる
訳でもナイし
絵日記のネタ探しには苦労していた
誕生日が
夏休み真っ只中というのも
なんだか不満で
(いま想えば自意識過剰だけど)
おめでとう。
そう友だちに云ってはもらえぬ
淋しさが
カラッとした夏空とは
裏腹にココロに広がったのを
未だ拭えないでいる
そんななか
ヒトツだけ
幸せな記憶があって
何故かその年は
珍しく夏風邪をひいてしまい
ウンウン唸って
アイスノンに慰めながら誕生日を迎えた
母も流石に心配だったようで
(漫画でもいいから読書をするように
常々云っていた)
ドラえもんだったか
ベルサイユのばらだったか
愛読書の最新刊を買ってくれた
そして
これまた何故か
当時
大好きだった男のコが
お見舞い&お祝いに
サッポロポテトバーベキューを
携え
訪ねてきてくれたのだった
あぁ
夏風邪も
夏休みに誕生日も
悪くないモノだな
でも
こんなに
キツイのに幸せな誕生日は
もう二度と無いんだろうな
そう
ボォッとしながらも
ポォッとしていた
あの年の夏休み
を
此の二冊を読みながら
憶い出していた
恩田陸さん
と
酒井駒子さん
が
タッグを組めば
底知れず
美しく
底知れず
儚く
底知れず
不思議なセカイへ
誘われる
一見
ミステリーであり
ファンタジーであるけれど
読み進めると
確実に
ヒューマンドラマであり
青春群像劇なのだから
尚のコト
愛おしい
多感な時代の
無知と想いこみは
ことごとく
現実との
ズレやら
溝やらを
想い痴らせてくれる
でも
勝手に傷付いたり
勝手に打ちのめされる先にしか
真実は存在しないというコトを
皮肉にも
自身を反面教師として
識るコトになる
そんな時代を経て
いつしか
見守り
見送られる世代へと
経年劣化してしまった
いまのワタシには
哀しすぎるくらい
清らかな物語だった
小説の中の少年少女は
特別な夏を過ごしたけれど
もしかしたら
実を生きる少年少女も
退屈だと想っている日常の中に
きっと
こんな特別を潜ませているのだろう
気付く
か
気付けない
か
の
違いがある
だけで