南町の独り言

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人民元切り下げ?

2008-12-09 17:28:42 | 経済

本日の気になるニュースは、読売新聞の「人民元切り下げ浮上」の記事だ。
中国政府が来年の経済運営の基本方針を決める「中央経済工作会議」で、人民元の対ドル・レートの切り下げを検討するという内容だ。

為替は市場の需給動向で決定されており、中国も完全な変動制ではないものの“通貨バスケット制”を参考とした政府による“管理された変動相場制”を敷いている。
それが金融危機を受けた世界的な景気悪化で中国本土の輸出企業の不振が鮮明となり、輸出振興のために元安への誘導を行なおうとしているのではないかという観測記事である。
(日本の輸出産業も円安になれば国際競争力が増すように、いまや世界の生産工場化している中国ではなおさらだ)

しかし市場を無視した意図的な政府による元安政策は、自由貿易のルール違反だ。
意図的な元安は不振にあえぐ中国の輸出産業にとってはありがたいが、裏返してみれば貿易相手国にとっては自国の産業に打撃を与えるものである。
この政策が行きつく先は保護貿易やブロック経済化、そして権益の保護と拡大を画策するために起こる不幸な戦争への道である。
それを食い止める力は最早アメリカにはない。
したたかな中国は日本を抜いて米国債の最大の受け皿になった。
アメリカは莫大な財政支出を強いられており、中国の協力無しにはドルの安定も覚束ないだろう。
中国自身がその身の丈の大きさを自覚して、“真の大人”として行動することを願うばかりである。