ずいぶんと屁理屈をこねたような本だな、と読み始めは感じたが、読み進むとなかなか共感を感じはじめる1冊だった。
小林和之著『“おろかもの”の正義論』。
殺したければ殺せばいい。
欲しければ取ればいい。
あなたが殺すのが自由というならば、あなたを殺すのも自由ということだ。
あなたが取るのが自由というならば、あなたのものを取るのも自由ということだ。
すべての人が思いのままに振舞おうとするならば、すべての人がその思いを遂げられないということになる。
車を運転し、左側通行も右側通行もなく、赤信号も青信号もなく、思いのままにみんなが走ったらとても目的地まではたどりつけない。
人がしたいことを実現していくためには、ルールを定め、「してはいけないこと」を決めなければならない。
正しいか正しくないかは、そのルールに従って決定されるということになる。
例えていえば“欲求の交通整理”である。
ルールを定めるときに考えねばならないことがある。
一部の人がすべての欲求を満たすことと、すべての人ができるだけ多くの欲求を満たすことと、どちらが「正しい」のだろうか。
(昨今の雇用問題は実にこのルール問題で労働側が負けたことから発生している)
最後に著者はこう語っている。
『「正しさ」について語ろう。
われわれは、いまよりはもう少し優しく・正しくなれることをわたしは疑わない。
「正しさ」について考える最大の意味はそこにあるのだと思う』
小林和之著『“おろかもの”の正義論』。
「おろかもの」の正義論小林 和之筑摩書房このアイテムの詳細を見る |
殺したければ殺せばいい。
欲しければ取ればいい。
あなたが殺すのが自由というならば、あなたを殺すのも自由ということだ。
あなたが取るのが自由というならば、あなたのものを取るのも自由ということだ。
すべての人が思いのままに振舞おうとするならば、すべての人がその思いを遂げられないということになる。
車を運転し、左側通行も右側通行もなく、赤信号も青信号もなく、思いのままにみんなが走ったらとても目的地まではたどりつけない。
人がしたいことを実現していくためには、ルールを定め、「してはいけないこと」を決めなければならない。
正しいか正しくないかは、そのルールに従って決定されるということになる。
例えていえば“欲求の交通整理”である。
ルールを定めるときに考えねばならないことがある。
一部の人がすべての欲求を満たすことと、すべての人ができるだけ多くの欲求を満たすことと、どちらが「正しい」のだろうか。
(昨今の雇用問題は実にこのルール問題で労働側が負けたことから発生している)
最後に著者はこう語っている。
『「正しさ」について語ろう。
われわれは、いまよりはもう少し優しく・正しくなれることをわたしは疑わない。
「正しさ」について考える最大の意味はそこにあるのだと思う』