南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

破滅寸前の公的医療現場

2008-12-08 17:51:08 | Weblog

麻生政権の支持率が末期的状況と聞くが、そんなことはもうどうでもよくなってきた。
昨日は三重県で連合東海ブロック拡大幹事会があった。
どこもかしこも雇用環境は最悪、各県からそんな報告がされた後、連合三重から地域医療について問題提起される。

公立病院の存続と地域医療の崩壊だ。
亀山モデルで有名なシャープの工場がある亀山市で、市立病院が大変な状況になっているとのこと。
25人いた医者が7人に減ってしまい、病院収入も激減するばかりか、このままでいくと地域医療の拠点を失ってしまうかもしれないとのこと。
状況を聞きながらとても他人事とは思えなかった。
長野県でも産科医の不足で“里帰り出産”は断られているとのこと。

急速に地域で医師不足が起こってきた背景には「臨床研修制度」の改正がある。
日本で医者になるためには、まず医科大学で教育を受けて医師免許を取得する。
そして2年以上の臨床研修で先輩の医師から実務研修を受ける。
自動車免許で言えば仮免をとって路上研修をするようなものである。
昔は医科大学を卒業後1年間の臨床実施研修をした後に国家試験の受験資格を得られるという制度であったが、研修期間中の不安定な身分が問題とされて現在のような制度となった。

しかしそれでも臨床研修中の劣悪な環境が社会問題となり、4年前に新しい制度に改正される。
新制度では研修医に労働者性を認め、賃金面の改善や、研修医が研修先を自ら選択できるようにした。
その結果、多くの研修医は待遇のいい民間病院や都市部の病院を希望し、地方の公立病院は嫌われてしまったのである。

さらに研修医のアルバイトも禁止されたことから、夜間や休日の当番医が不足し、大学病院でも関連先に派遣していた医師を引き上げることとなってきた。
医者が少なくても公立病院は診療を断ることの出来ない宿命がある。
リスクを伴う医療(産科や小児科)や不採算部門(救急医療など)も引き受けざるを得ない。
連日の夜勤などで36時間勤務などが恒常化しているとも聞いた。
そんなところでいつまでも働きたくないから、お金が出来たら独立して町医者になる。
最近の町医者は医院と住居を別にするから緊急患者に飛び込まれることもない。
かくして公立病院はますます過酷勤務になっていくのであろう。

掛川市と袋井市の新病院も話題になっているが、新たに土地を求めていくような愚挙は考えものだ。
大勢の医者が来たくなるような仕掛けを考えないと“仏つくって魂入れず”になる。
税収もますます落ち込む。
掛川市民も袋井市民も真剣に考えたほうがいいと思う。
新病院の土地代も建設費もあなたたちの税金だ。