考えるのが好きだった

徒然でなくても誰だっていろんなことを考える考える考える。だからそれを書きたい。

大卒同士の相互扶助(1)

2004年11月23日 | 教育
 先日進路研究会とかそういう名前の会に出席した。同業者にはおなじみのものだが、ちょっと説明すると、受験情報を予備校等の業者が独自情報をエサに高校の先生を集める会である。業者のみぞ知る模試受験者の動向から見て来年度の受験はこうこうになるだろうという予測をたててくれる。大勢の先生が集まって、たくさんの資料を貰って帰る。うちの学校は、他のクラスの先生にもと、何冊が余分に学校に送ってもらう。相当な量である。
 
 今に始まった話ではないが、なんで、こんなにたくさんの資料が、情報が必要になったのか?

 私の母校も進学校だったが、生徒の進学指導、どこの大学を受けさせる否かはおそらくここまで業者に依存することはなかった。だって、おぼえているもん。今を去ること二十数年、私が高校生の時、「大学入試センターテスト」の前身「共通一次」という全国統一テストが実施されるぞというとき、進路指導の先生が「これで、我々が長年集積してきたデータがおじゃんだ」と全校集会でおっしゃった。貧乏県一番の進学校だったものだから大学進学には力が入っていて、その頃も確かにあったが、業者模試の成績より、先輩たちの実績を頼りした校内実力テストの成績の方がよほど当てになっていたらしい。

 昔は、こうだった。県外を含む進学であっても情報は限局されていた。

 ところが、昨今、猫の目のような入試改革で、1校数百人規模の受験生しか持てない現場が得られる情報だけでは難易度の判定のしようがなく、進学指導がやれなくなったのだ。

 案外誤解されていると思うが、大学の難易度は決して大学が決めるものではない。実は受験生の人気による。成績の良い受験生に人気があれば難易度が高くなるし、そうでなければ低くなる。入試改革を利用して実にうまいこと名を挙げた大学は現にある。また、学部・学科間に関して言えば、全国津々浦々の「工学部」は、同じ大学内では「機械科」の入試難易度が高い。ついで電気・電子科か。物質・材料といった科は一般に低い。これは、機械が学問として、電気電子や物質工学より高級だとか難しい学問だというわけでは決してない。ただ、年端の行かない18歳の子供たちが最も興味を持ちやすい分野が何かで決まるのだ。端的に言えば、何が彼らに「わかりやすいか」で決まる。機械は目で見て手で触って幼児の頃から分かっている。対して、セラミックはわかりにくい。だから、機械科は材料・物質より難易度が高くなる。

 つまり、鍵を握るのが18歳の好み、志望動向である。で、それを知るのが模試業者。模試業者も大勢の受験生が集まらなければデータとしての信憑性に欠けるので、多くの受験生を集めたがる。コロコロ変わる入試制度では、生徒も先生も情報がほしい。で、学校と業者は持ちつ持たれつの関係になる。

 前置きが長くなったが、私が出席した進路研究の会には多くの先生たちが集まった。

 で、はっと気が付いた。

 前に立って説明してくれる担当者、受付係、司会等々の業者関係者、座っているのは高校の先生。ここにいる人って、みんな、大卒じゃないのかぁ。

 業者関係者に確かめたわけではないが、まぁ、大学進学の説明会なんだし、ほとんどが大卒だと推測されよう。高校教員は大卒でなければ免許は取れない。よって、全員が大卒。ここで得られた情報を元に進路を開拓していく生徒も、大方はいずれは大卒になるはずだ。そのための説明会だもの。(続く)

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