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学校教育の影響力

2012年08月17日 | 教育
 教員の中には、「学校の教育なんて、子供に大した影響を与えない。それよりむしろ、家庭で、親がどんな教育を行っているかの方がずっと重要だ。」と言う人がけっこういる。他方、「いや、学校でどんな教育を行うかは、大きく子供に影響する。」と、反対の意見を言う人がいる。
 さて、一体どちらが正しいか?

 前者、「学校教育の影響力は少ない」というとらえ方は、子供一人一人に着目して「個人」として見る場合、学校教育の影響よりも親の影響力の方が大きい。反論する人はいないだろう。格差の再生産が生じる理由にもつながる。

 ところが、子供を「集団」として捉えると、はたして学校教育にはさしたる影響力がないと言えるだろうか?
 それこそ、真実か否かは別として、「ゆとり教育」が子供に与えた影響は大きかったか、それとも何の影響もなかったか。----答えるまでもないだろう。誰しもが学校教育が与える影響は大きい、と認めたから、新しい教育課程が生まれたのだろう。
 家庭科の「食物」に関わる指導で、一定の年齢層以上が小・中学校で学ばされたのは、「赤のタンパク質など」「黄色の炭水化物と脂肪」「緑の野菜など」の栄養のバランスの徹底である。未だ戦後の余韻を引きずっていた時代は栄養状態の善し悪しが一番の関心事だったからだろう。ところが、近年、社会が豊かになってきたら、「楽しく食べる」が食事の目的になった。栄養のバランスが----おそらく豊かさゆえに足りないもはがないという考え方で----、昔ほど重視されていない。それが子供の食生活に与えている影響は大きくないか。
 国語で「筆順」が重視されなくなった。文字の形が乱れる生徒が増えた。今後、ICT教育が進むと、子供たちはどんな影響を受けるか。

 子供一人一人に着目すると、学校よりも家庭の影響が大きいと言える。親の言う一言の方が教員の一言より大きな影響を与えることが多い。教師がどんなに頑張っても、親がしっかりしていなかったら子供は不幸である。
 しかし、中長期的な見方をすると、また、子供を「マス」として見ると、学校教育は大きな影響を子供に与える。
 教育の基本中の基本だと思うが、こうした前提から捉える見方は、意外になされていないように思う。

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