ことぶき勧学院北都留教室の窓

コロナ禍の感染予防対策をしっかりと行い、年間計画に沿って講座や活動を行っております。自主活動も8月から再開の見込みです。

私を束ねないで

2022-03-16 17:18:31 | おしらせ

昨日、いただいた花束はこちらです。なんて素敵。大好きな花のアレンジ。

式場の花はこちらです。担当者の自宅の庭にあるねこ柳と椿。それから大好きな季節の花でアレンジしました。

・・・とここで気が付きました。どちらにも共通の花・・。ストック、またの名を「アラセイトウ」と言います。

新川和江さんの「私を束ねないで」という詩に登場します。大好きな詩のひとつです。

最近思います。勧学院を「高齢者」「シニア」というくくりで束ねられたくない・・・・以下に引用します。

 

 

わたしを束ねないで

新川和江

 

わたしを束(たば)ねないで

あらせいとうの花のように

白い葱(ねぎ)のように

束ねないでください わたしは稲穂(いなほ)

秋 大地が胸を焦がす

見渡すかぎりの金色(こんじき)の稲穂

 

わたしを止めないで

標本箱の昆虫のように

高原からきた絵葉書のように

止めないでください わたしは羽撃(はばた)き

こやみなく空のひろさをかいさぐっている

目には見えないつばさの音

 

わたしを注(つ)がないで

日常性に薄められた牛乳のように

ぬるい酒のように

注がないでください わたしは海

夜 とほうもなく満ちてくる

苦い潮(うしお) ふちのない水

 

わたしを名付けないで

娘という名 妻という名

重々しい母という名でしつらえた座に

座りきりにさせないでください わたしは風

りんごの木と

泉のありかを知っている風

 

わたしを区切らないで

(コンマ)や   (ピリオド)いくつかの段落

そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには

こまめにけりをつけないでください わたしは終りのない文章

川と同じに

はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩

 

―詩集『比喩でなく』