平成二十二年十月二十二日。六代目笑福亭枝鶴が誕生いたしました。
その場に、立ち会ってまいりました。ご報告いたします。

笑福亭小つる師匠。パソコン通信ニフティサーブの酒フォーラムでお見かけした最初は、『小つる』というハンドルの普通のおじさんだと思っていました。みんなが『師匠』って呼んでるのはふざけて言ってると思っていました。
でも、金沢でなぁさんが主催したお酒と落語のオフ。そこで初めてハンドルネーム小つるさんがほんものの落語家さん『笑福亭小つる』師匠であることを知り、そのときに初めて目の前で演じられる生の落語を聴き。
「おもしろい!なんだこれは、ほんとに面白いぞなんだこれは」
と思ったのが、私と落語の出会いでした。
つまり、小つる師匠が私の落語体験の原点なのです。
その、笑福亭小つる師匠が先週10月22日。六代目『笑福亭枝鶴』の名前を襲名なさいました。
笑福亭枝鶴。大きい名前だし、いろいろといわくのある(笑)名前。
その瞬間に立ち会うべく、大阪は国立文楽劇場まで行ってまいりました。寿ぐ気持ちを表す、(自分的)満艦飾に着飾って。


今日の着物:五枚笹模様訪問着(きむらのアンティークを洗い張り仕立て直し)
今日の帯:鶴刺繍帯(るびーぶる)
今日の半襟:鶴刺繍半襟(ヤフオク)
今日の帯揚:銀杏紅葉飛び絞り帯揚(きむら)
今日の帯締:金紫平組帯締(前から持ってた)
今日の帯留:金地多色レース帯留(玉や ふちこま)
今日の簪 :赤華トンボ玉(玉や ふちこま)・鼈甲に金鶴簪(ヤフオク)
今日の足袋:杵や白足袋(広島杵や)
今日の草履:龍村花緒畳表草履(松屋)
着物の五枚笹は笑福亭の紋、そして帯は『小つる』であり『枝鶴』である『鶴』。この日のために求めて、初おろしです。半襟にも鶴で、晴れの門出を祝う気持ちを装いに込めました。
髪は、できればまたみっちゃんに結ってほしかったのですが時間的にかなわず…自分でがんばってみた『束髪』です。
そして、髪と帯留めにはふちこまさんの作品を。この精巧な玉から伝わってくる強い念が、師匠にも届きますように。

同行してくださった皆様。
それぞれに寿ぐ気持ちを装いに込めた華やかな着姿で、嬉しくなってしまいます。

楽屋を訪ねると、(まだ)小つる師匠はいつもと変わらぬ温かい笑顔で迎えてくれました。・・・と思っていたのですが、後で写真を見ると師匠、だいぶやっぱり緊張しておられました。私も緊張していたのでわからなかったらしい。
菓子折り代わりのご祝儀をお渡しし、記念写真を撮らせていただきました。


開場まで表で待っていると、おひさしぶりのさえさん親子と会うことができました。さえさんも鶴の帯。

ロビーは人でいっぱい。記念の手ぬぐいを売っていたり、後援会の募集もしていました。キモノを着た人もたくさん。そして、大阪は粉浜の『メルシー寄席』の皆さんからの幕も飾ってありました。
さて、いよいよ時間です!!
まずはじめは、笑福亭喬若さん『動物園』。喬若さんは、前に『き楽寄席』で金沢にみえたことがあります。あのときは、まだ襲名の話も出ていなかったころ。時の流れを感じます。さらっと笑わせて空気を温めてくれる『動物園』でした。
続いて、笑福亭学光さんの『試し酒』。ぶつぶつぼやきながら次々と一升酒を飲み干す酒飲みの、そのぼやきがマクラの語り口調とあいまって妙におかしい。
そして、桂 南光師匠。このお祝いの席にこれをやるか!という感じのシモネタ系『義眼』。もうこれがおかしくって、襲名披露という硬めの場所だということを忘れて笑ってしまいました。
中トリ、桂春團冶師匠。襲名を寿ぐ短いマクラのあとにしゅっと衣擦れの音を残して羽織を脱ぐと、そこで会場の空気が変わりました。『祝いのし』。おなじみの、たよりないような男のあれこれ、少しドッキリするような台詞もあったり、別の世界に連れて行かれる感じ。
中入りを経て、幕が上がります。舞台中央で頭を下げる師匠…今はもう、枝鶴師匠。厳しく緊張した面持ちです。枝鶴師匠の左右には、黒紋付の師匠連が綺羅星のごとく居並んでいます。
そして、その後ろには、梅香茶に水引の鶴をあしらった幕。そうです、これが我々『き楽寄席』世話人一同であつらえた幕なのです。席亭のなぁさんはじめ、一同でいろいろと相談しつつデザインを決めた、この幕。眺めていると感無量です。初めて師匠の落語を聴いたときのこと。金沢で寄席をはじめるという話をなぁさんから聞いたとき。初めてのお茶子。初めての大きな舞台。いままでのいろんなことが一瞬でぐるぐると頭を巡りました。
口上。司会の鶴瓶師匠、なぜだか思いっきり笑いをこらえながらの司会です。笑福亭筆頭の笑福亭仁鶴師匠から始まって、桂福團治師匠 笑福亭松喬師匠 笑福亭福笑師匠 桂南光師匠 笑福亭松枝師匠 笑福亭鶴志師匠 と、それぞれ先代枝鶴師匠の爆笑エピソードやら笑えないエピソードやらを紹介しつつ、新しい枝鶴師匠誕生を祝いました。会場には爆笑とどよめきが満ちていき、枝鶴師匠、頭を下げながらだんだんと吹き出すのをこらえるようなお顔になっていきました。
口上の最後は桂春團冶師匠。先代の枝鶴師匠とともに落語に燃えていた青春時代を振り返りつつ、この六代目笑福亭枝鶴の活躍は、春團冶師匠自身の青春がまた甦り続く気持ちでもある、と語っておられました。落語への、そして枝鶴師匠への思いがしみじみと伝わる祝辞でした。
その、春團冶師匠の音頭での『大阪締め』。舞台も客席も、そしてきっと舞台袖や裏に詰めかけた噺家さんたちも、みんな心を合わせて六代目笑福亭枝鶴の誕生を祝い、活躍を祈る。そんな温かい空気が、会場全体に満ち溢れているのが感じられました。
口上のあとは、笑福亭仁鶴師匠の『道具屋』。いろんな人で何度も聴いているこの古典、仁鶴師匠が演じるといっそう、そのとぼけてへんてこな主人公の味が染みていくようです。しみじみと爆笑した、そんな時間。
そしてとうとう、六代目枝鶴初の落語。
谷六寄席の贔屓連が贈った大きな座布団が運ばれます。そして、枝鶴師匠登場。なにかふっきれたような、爽やかな笑顔です。座布団の話から枕を振って、噺は『宿替え』。先代の枝鶴師匠も得意としてレコードにも吹き込んだというこの噺、いつものようなめりはりのある丁寧な話しっぷりで、はちゃめちゃな主人公に笑わせてもらいました。
襲名披露の会が終わり。
ロビーでは枝鶴師匠が出てきて記者会見をしたり、たくさんの人がどよめいて笑いと興奮と華やぎが満ちていました。
私たちも、心地よい余韻を感じつつ、会場をあとにしたのでした。
うん、とてもいい襲名披露公演でした!
そのあとは打ち上げでいっぱいやってー。
mikaさんと、飲み足りずにもういっぱい飲んでー。

楽しい気持ちで、襲名披露公演の夜は更けて行ったのでした。
お付き合いくださったキモノ友達のみなさま、どうもありがとうございました。それから、カメラマンとか道案内とかいろいろしてくれたオット、いつもありがとう~。
枝鶴師匠、襲名ほんとにおめでとうございます。これからもまた、落語で幸せな気持ちにしてくださいね。
と、その六代目笑福亭枝鶴襲名披露公演。
後ろ幕を作った、金沢の『き楽寄席』でも来年公演いたします。
2011年1月8日(土)。きっと、今回同様あたたかく楽しい会になることと思います。
マイミクの皆様、よろしかったらぜひお運びくださいませ。
興味ある方はコメントまたはメールなどでお知らせくださったら、チケットの手配などさせていただきますわ。どうぞよろしくお願いいたします。

わたくし、お茶子いたします。襲名披露では、いつもとちょっと違った所作もあって、今から緊張しています。
その場に、立ち会ってまいりました。ご報告いたします。

笑福亭小つる師匠。パソコン通信ニフティサーブの酒フォーラムでお見かけした最初は、『小つる』というハンドルの普通のおじさんだと思っていました。みんなが『師匠』って呼んでるのはふざけて言ってると思っていました。
でも、金沢でなぁさんが主催したお酒と落語のオフ。そこで初めてハンドルネーム小つるさんがほんものの落語家さん『笑福亭小つる』師匠であることを知り、そのときに初めて目の前で演じられる生の落語を聴き。
「おもしろい!なんだこれは、ほんとに面白いぞなんだこれは」
と思ったのが、私と落語の出会いでした。
つまり、小つる師匠が私の落語体験の原点なのです。
その、笑福亭小つる師匠が先週10月22日。六代目『笑福亭枝鶴』の名前を襲名なさいました。
笑福亭枝鶴。大きい名前だし、いろいろといわくのある(笑)名前。
その瞬間に立ち会うべく、大阪は国立文楽劇場まで行ってまいりました。寿ぐ気持ちを表す、(自分的)満艦飾に着飾って。


今日の着物:五枚笹模様訪問着(きむらのアンティークを洗い張り仕立て直し)
今日の帯:鶴刺繍帯(るびーぶる)
今日の半襟:鶴刺繍半襟(ヤフオク)
今日の帯揚:銀杏紅葉飛び絞り帯揚(きむら)
今日の帯締:金紫平組帯締(前から持ってた)
今日の帯留:金地多色レース帯留(玉や ふちこま)
今日の簪 :赤華トンボ玉(玉や ふちこま)・鼈甲に金鶴簪(ヤフオク)
今日の足袋:杵や白足袋(広島杵や)
今日の草履:龍村花緒畳表草履(松屋)
着物の五枚笹は笑福亭の紋、そして帯は『小つる』であり『枝鶴』である『鶴』。この日のために求めて、初おろしです。半襟にも鶴で、晴れの門出を祝う気持ちを装いに込めました。
髪は、できればまたみっちゃんに結ってほしかったのですが時間的にかなわず…自分でがんばってみた『束髪』です。
そして、髪と帯留めにはふちこまさんの作品を。この精巧な玉から伝わってくる強い念が、師匠にも届きますように。

同行してくださった皆様。
それぞれに寿ぐ気持ちを装いに込めた華やかな着姿で、嬉しくなってしまいます。

楽屋を訪ねると、(まだ)小つる師匠はいつもと変わらぬ温かい笑顔で迎えてくれました。・・・と思っていたのですが、後で写真を見ると師匠、だいぶやっぱり緊張しておられました。私も緊張していたのでわからなかったらしい。
菓子折り代わりのご祝儀をお渡しし、記念写真を撮らせていただきました。


開場まで表で待っていると、おひさしぶりのさえさん親子と会うことができました。さえさんも鶴の帯。

ロビーは人でいっぱい。記念の手ぬぐいを売っていたり、後援会の募集もしていました。キモノを着た人もたくさん。そして、大阪は粉浜の『メルシー寄席』の皆さんからの幕も飾ってありました。
さて、いよいよ時間です!!
まずはじめは、笑福亭喬若さん『動物園』。喬若さんは、前に『き楽寄席』で金沢にみえたことがあります。あのときは、まだ襲名の話も出ていなかったころ。時の流れを感じます。さらっと笑わせて空気を温めてくれる『動物園』でした。
続いて、笑福亭学光さんの『試し酒』。ぶつぶつぼやきながら次々と一升酒を飲み干す酒飲みの、そのぼやきがマクラの語り口調とあいまって妙におかしい。
そして、桂 南光師匠。このお祝いの席にこれをやるか!という感じのシモネタ系『義眼』。もうこれがおかしくって、襲名披露という硬めの場所だということを忘れて笑ってしまいました。
中トリ、桂春團冶師匠。襲名を寿ぐ短いマクラのあとにしゅっと衣擦れの音を残して羽織を脱ぐと、そこで会場の空気が変わりました。『祝いのし』。おなじみの、たよりないような男のあれこれ、少しドッキリするような台詞もあったり、別の世界に連れて行かれる感じ。
中入りを経て、幕が上がります。舞台中央で頭を下げる師匠…今はもう、枝鶴師匠。厳しく緊張した面持ちです。枝鶴師匠の左右には、黒紋付の師匠連が綺羅星のごとく居並んでいます。
そして、その後ろには、梅香茶に水引の鶴をあしらった幕。そうです、これが我々『き楽寄席』世話人一同であつらえた幕なのです。席亭のなぁさんはじめ、一同でいろいろと相談しつつデザインを決めた、この幕。眺めていると感無量です。初めて師匠の落語を聴いたときのこと。金沢で寄席をはじめるという話をなぁさんから聞いたとき。初めてのお茶子。初めての大きな舞台。いままでのいろんなことが一瞬でぐるぐると頭を巡りました。
口上。司会の鶴瓶師匠、なぜだか思いっきり笑いをこらえながらの司会です。笑福亭筆頭の笑福亭仁鶴師匠から始まって、桂福團治師匠 笑福亭松喬師匠 笑福亭福笑師匠 桂南光師匠 笑福亭松枝師匠 笑福亭鶴志師匠 と、それぞれ先代枝鶴師匠の爆笑エピソードやら笑えないエピソードやらを紹介しつつ、新しい枝鶴師匠誕生を祝いました。会場には爆笑とどよめきが満ちていき、枝鶴師匠、頭を下げながらだんだんと吹き出すのをこらえるようなお顔になっていきました。
口上の最後は桂春團冶師匠。先代の枝鶴師匠とともに落語に燃えていた青春時代を振り返りつつ、この六代目笑福亭枝鶴の活躍は、春團冶師匠自身の青春がまた甦り続く気持ちでもある、と語っておられました。落語への、そして枝鶴師匠への思いがしみじみと伝わる祝辞でした。
その、春團冶師匠の音頭での『大阪締め』。舞台も客席も、そしてきっと舞台袖や裏に詰めかけた噺家さんたちも、みんな心を合わせて六代目笑福亭枝鶴の誕生を祝い、活躍を祈る。そんな温かい空気が、会場全体に満ち溢れているのが感じられました。
口上のあとは、笑福亭仁鶴師匠の『道具屋』。いろんな人で何度も聴いているこの古典、仁鶴師匠が演じるといっそう、そのとぼけてへんてこな主人公の味が染みていくようです。しみじみと爆笑した、そんな時間。
そしてとうとう、六代目枝鶴初の落語。
谷六寄席の贔屓連が贈った大きな座布団が運ばれます。そして、枝鶴師匠登場。なにかふっきれたような、爽やかな笑顔です。座布団の話から枕を振って、噺は『宿替え』。先代の枝鶴師匠も得意としてレコードにも吹き込んだというこの噺、いつものようなめりはりのある丁寧な話しっぷりで、はちゃめちゃな主人公に笑わせてもらいました。
襲名披露の会が終わり。
ロビーでは枝鶴師匠が出てきて記者会見をしたり、たくさんの人がどよめいて笑いと興奮と華やぎが満ちていました。
私たちも、心地よい余韻を感じつつ、会場をあとにしたのでした。
うん、とてもいい襲名披露公演でした!
そのあとは打ち上げでいっぱいやってー。
mikaさんと、飲み足りずにもういっぱい飲んでー。

楽しい気持ちで、襲名披露公演の夜は更けて行ったのでした。
お付き合いくださったキモノ友達のみなさま、どうもありがとうございました。それから、カメラマンとか道案内とかいろいろしてくれたオット、いつもありがとう~。
枝鶴師匠、襲名ほんとにおめでとうございます。これからもまた、落語で幸せな気持ちにしてくださいね。
と、その六代目笑福亭枝鶴襲名披露公演。
後ろ幕を作った、金沢の『き楽寄席』でも来年公演いたします。
2011年1月8日(土)。きっと、今回同様あたたかく楽しい会になることと思います。
マイミクの皆様、よろしかったらぜひお運びくださいませ。
興味ある方はコメントまたはメールなどでお知らせくださったら、チケットの手配などさせていただきますわ。どうぞよろしくお願いいたします。

わたくし、お茶子いたします。襲名披露では、いつもとちょっと違った所作もあって、今から緊張しています。
良いですね~着物と帯、バッチリですね
豪華で華やかで暖かい会、師匠が沢山の人に愛されているのが判ります。
金沢の会のお茶子さんも頑張ってね~
そして、葉さんのこの日のお召し物をじっくり拝見するのも楽しみでした!さすがのコーディネートですね。客席でオーラを放っていたこととお察しします。
なかなかご縁がないのですが、いつか枝鶴師匠の高座を聴ける日を楽しみにしています。
豪華で華やかで暖かい。ほんとうに、そのお言葉どおりの会だったのですよ。行ってよかった、あの場に立ち会えてよかったと心から思います。
金沢での会も、きっとこんな会になることと思いますのよ。トモさんも、どうぞご一緒にいらしてくださいませ。いいよーーー
いやほんとうに、感無量でありました。その思いをサリィさんも感じ取ってくれたことがまたうれしく。どうもありがとうございます。
この日のいでたち…あとで「客席でいちばん目立ってた」と師匠に言われたとか言われなかったとか(笑)。
で、サリィさん!来年の1月8日はいかがですか?金沢です!