神戸の空の下で。~街角の歴史発見~

足かけ8年、150万PV突破。「近畿の史跡めぐり」のサブタイトルも、範囲が広がったために少し変更しました。

神戸・関帝廟。

2008年03月17日 | ■神戸市中央区

関帝廟

(かんていびょう)
神戸市中央区中山手通7-3-2



山手幹線から住宅街を少し入ると、中国風の門構えが目を引きます。


〔宗派〕
単立寺院

〔御本尊〕
関羽雲長公
(かんううんちょう)


 詳しく読んだことはなくても、「桃園の誓い」で義兄弟の契りを結んだ劉備玄徳公・関羽雲長公・趙飛翼徳公や名軍師として名高い諸葛亮孔明公が中国大陸を舞台に大活躍した「三国志演義」のことは耳にされたことがあると思います。その中でも、最後まで劉備玄徳公に仕えて壮絶な最期を遂げた関羽雲長公は、信義に厚く約束を必ず守るという点や、蓄財に長けて経済に明るかったという伝説から、商売の神さまとして華僑の皆さんを中心に厚く崇敬されています。
 そんな関羽雲長公を祀る寺院は「関帝廟」と呼ばれ、函館・横浜・大阪・長崎など日本にも何ヶ所か存在しています。今回はそのひとつ、神戸にある関帝廟をご紹介します。




龍門をくぐると境内の奥に関羽雲長公が鎮座する本堂が見えます。




 神戸の関帝廟の歴史は1892(明治25)年、在日華僑として神戸で成功を収めていた呉錦堂氏たちが中心となり、華僑の寺院として東大阪市の布施にあった長楽寺が廃寺になるところを神戸に移転させ、宇治市にある黄檗宗の萬福寺の末寺にしたことに始まります。長楽寺は、中国風の外観から「南京寺」と呼ばれて崇敬を集めていました。このときには関羽雲長公像と十一面観音像、そして航海安全の神さまとして信仰を集めていた北宋時代の道教系信仰の開祖・媽姐(まそ)の像が祀られていたそうです。







 華僑の皆さんの崇敬を集めていた関帝廟は、さきの大戦の際に神戸市民を無差別に襲った神戸大空襲によって全焼。しかしながら天台宗の僧侶・釈仁光師を住職に迎え、1948(昭和23)年に華僑の皆さんの有志が発起人となって寄付が集められて本堂や庫裏、休憩所などが無事に再建されました。その後も礼堂や山門などが徐々に整備されましたが、1977(昭和52)年に子供の火遊びから出火し、本堂が焼失してしまいます。この際にも有志の皆さんが尽力されて2年後の1979(昭和54)年に本堂が再建されました。

 関帝廟の苦難はまだ続きます。1995(平成7)年1月17日に発生した阪神・淡路大震災による激しい揺れによって関帝廟も大きなダメージを受けました。この時も関帝廟復興委員会が設立されて再建工事が進められ、1999(平成11)年2月に復興落慶法要が営まれました。このように、関帝廟の苦難の歴史は同時に、その都度有志の皆さんの熱い思いが集結されて再建されるという不屈の歴史でもありました。それはあたかも曹操孟徳公率いる軍の圧倒的な兵力に何度も苦杯を喫しながらも苦難を跳ね除け、主君・劉備玄徳公を支えて蜀漢の建国に尽力した関羽雲長公の生き様であるかのように感じてしまうのは私だけでしょうか。




境内から本堂を眺めると、中国に居るような錯覚に陥ります。


 旧暦の7月13日から16日の盂蘭盆の時期に行われる水陸普度勝会(すいりくふどしょうえ)の際には、紙や竹で作られた冥宅(みんたく)と呼ばれるミニチュアの家が作られ、故人が生前に好んでいたお供え物をお供えするそうです。この祭事が行われている間は、太鼓や鐘などが鳴らされる中で読経が行われるなど賑やかな雰囲気でご先祖さまの霊を慰めるのですが、冥界の扉が閉まるという7月16日の午前0時までに「送り火」をしなければご先祖の霊が極楽浄土に戻れないということから、すべての冥宅関帝廟の前で燃やされるそうです。



アクセス
・神戸高速鉄道「花隈駅」下車、北へ徒歩7分
・神戸市営地下鉄「県庁前駅」下車、西へ徒歩7分
 関帝廟地図 Copyright (C) 2000-2006 ZENRIN DataCom CO.,LTD. All Rights Reserved.

拝観料
・無料

拝観時間
・9時~17時



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (maki)
2009-06-23 16:09:10
神戸関帝廟を詳しく載せて下さり、ありがとうございます。とても勉強になりました。
一つだけ気になりましたので恐れながら訂正させて頂きます。「関亭」ではなく、「関帝」です。そして現在の廟は、震災で倒壊した後再建されたものです。
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ありがとうございます! (きみー)
2009-06-24 02:38:06
誤字のご指摘、本当にありがとうございました。掲載内容に関しても、訂正と加筆をさせていただきました。

文字や内容など、ひととおり確認してからUPするようにはしているのですが、ついつい見逃してしまうことも多いので、これからもお気づきの点がありましたらどんどんご指摘ください!
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