通天閣
(つうてんかく)
大阪市浪速区恵美須東1-18-6
大阪のシンボル
雑多な雰囲気の中にも、なぜか人々を惹きつける魅力を持つ「新世界」。
神戸のポートタワー、東京の東京タワー、姫路の姫路城や京都の京都タワー、東寺五重塔など、街のシンボルとなるランドマークを持つ都市は数多くあります。そんなランドマークのひとつとして、大阪城とともに日本有数の大都市・大阪を象徴しているのが、天王寺エリアにそびえ立つ通天閣です。5階には幸運を呼ぶ神様・ビリケンさんの像が置かれた展望台があり、4階にも展望台や喫茶店があります。3階はイベントホールとして利用できる貸スペースがあり、2階には展望台へのエレベータ乗り口や売店があります。
また、地下にはNHKの朝のドラマ「ふたりっ子」で有名になった通天閣歌謡劇場があります。ここは道頓堀にあったB1角座が閉鎖されたために代替施設として利用されることが決まり、「スタジオ210」と改称されました。2008(平成20)年7月5日からは、松竹芸能による演芸イベント「通天閣劇場 TENGEKI」が土・日曜日に行われ、これまで週末に行われていた歌謡ショーが「通天閣歌謡劇場」のタイトルで毎週月曜日に開催されています。庶民文化の中心地として大阪市民に深く愛されている通天閣は、2007(平成19)年5月15日付で国の有形文化財に登録されました。
にぎやかな新世界の町並み(左)。ここをまっすぐ行くと、通天角の入口に辿り着きます(右)。
日本の近代化を急速に進めていた明治新政府は、殖産興業政策の一環として、1877(明治10)年に東京・上野公園を会場に第1回内国勧業博覧会を開催しました。そして、大阪でも1903(明治36)年に天王寺周辺を第1会場、堺を第2会場として第5回内国勧業博覧会が開催されました。天王寺会場では、開門を待つ人の列が遥か1キロ先の日本橋まで伸びるほどの大盛況だったそうです。
博覧会跡地の大部分は天王寺公園として整備され、残った土地は民間企業に払い下げられました。「新世界」と呼ばれるこの地域には、パリをイメージした放射線状の通りが整備され、南エリアに作られた遊園地・「ルナパーク」とともにランドマークとなる塔が建設されました。下半分が凱旋門、上半分がエッフェル塔を模して1912(明治45)年に建てられたこの塔の名は、「通天閣」。儒学者の藤沢南岳氏によって「天に通じる高い建物」という意味で名付けられたこの塔の工事には、のちに松下電器産業を興して立志伝中の人物となった松下幸之助氏も配電工として参加していました。
5階展望台からの景色。スパワールドやフェスティバルゲートなどが並ぶ南側の景色(左)と、
天王寺動物園や大阪市立美術館などがある天王寺公園方面を望む東側の景色(右)。
初代の通天閣は、真下にあった映画館から出た火災によって鉄骨がむき出しになって溶けるなど強度が大きく落ち、危険な状態となったために残念ながら解体されてしまい、軍需用資材として大阪府に供出されました。1943(昭和18)年のことです。さらに1945年(昭和20年)の大阪大空襲のため、新世界一帯は灰燼に帰しました。しかしながら、戦災からの復興の象徴としてもう一度通天閣を復活させようという地元の人々の熱意が高まり、1956(昭和31)年に見事に再建されました。避雷針を含め、103mの全高を誇る2代目通天閣は東京タワーや名古屋テレビ塔なども手がけた早稲田大学の内藤多仲教授によって設計されたもので、関東大震災級の大地震や風速70mの強風にも耐えられる構造の建築物として建てられました。
翌1957(昭和32)からは、塔の側面に日立製作所の広告が設置されました。以来、内容こそ時代とともに変更されこそすれ、一貫して日立製作所の広告看板が通天閣を彩り続けています。また、夜は塔全体がゴールドと白を基調としたネオンでライトアップされ、塔頂部分には翌日の天気予報を表すネオンサインが点灯されています。大阪管区気象台から専用回線でリンクされているこのネオンサインは、晴を白、曇をオレンジ、雨を青、雪をピンク色で表現していますので、夜にここを訪れた際はぜひ確認してみてください。毎時0分ちょうどになるときれいなグラデーションで光り輝く大時計も要チェックです。
5階展望台にはビリケンさま(左)や、昔のエレベーター部品などが展示されています(右)。
5階の展望台には、「ビリケンさん」が安置されています。足の裏を撫でて願い事をすると、必ず願いを叶えてくれるという幸運の神様・ビリケンさんは、1908(明治41)年にアメリカの女性彫刻家であるE=I=ホースマンさんの夢枕に現れた「世界に幸運をもたらす神様」を具現化したキャラクターといわれています。世界的に流行していたこのキャラクターは、1912(明治45)年に新世界にルナパークが開園された際に安置され、幸福を夢見る人々の人気を博していましたが、閉園と同時に行方不明となったまま長い年月が経っていきました。
ビリケンさんが復活したのは、1980(昭和55)年のこと。初代の写真など資料が残されていなかったことから復元は難航しましたが、ビリケン像の版権を持っていた企業の好意によってビジュアルイメージの提供を受け、伊丹市の彫刻家・安藤新平氏によって木彫りのビリケン像が製作されて見事に復活を果たしました。
2階にある遊び心満載の「ビリケンロマン通り」(左)。右は、北から見た通天閣です。
アクセス
・JR大阪環状線「新今宮駅」下車、北東へ徒歩10分
・大阪市営地下鉄堺筋線「恵美須町駅」下車、南東へ徒歩3分
・大阪市営地下鉄御堂筋線「動物園前駅」下車、北へ徒歩10分
・阪堺電軌阪堺線「恵美須町駅」下車、南東へ徒歩3分
通天閣地図 Copyright (C) 2000-2008 ZENRIN DataCom CO.,LTD. All Rights Reserved.
拝観料
・大人:600円、大学生:500円、中高生:400円、小人:300円
拝観時間
・10時~18時30分
※年始(1月1~10日)10時~20時、夏季(7月21日~8月31日)10時~20時30分
公式サイト
通天閣オフィシャルサイト