神戸の空の下で。~街角の歴史発見~

足かけ8年、150万PV突破。「近畿の史跡めぐり」のサブタイトルも、範囲が広がったために少し変更しました。

京都・下鴨神社(賀茂御祖神社)。

2009年12月17日 | ◇京都府 -洛北
開運招福・商売繁盛・交通安全・厄除け・縁結び

賀茂御祖神社

(かもみおやじんじゃ)
京都市左京区下鴨泉川町59




神仏霊場京都 楽土の道・第21番札所

通 称
下鴨神社






〔御祭神〕
賀茂建角身命
(かもたけつのみのみこと)
玉依媛命
(たまよりひめのみこと)



 下鴨神社は正式名称を「賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)」といい、上賀茂神社と併せて「賀茂社」と称され、山城国の一の宮として京都の守護神として厚い崇敬を集めてきた古社です。紀元前90(崇神天皇7)年に瑞垣の造営が行われたという記録や、紀元前2(垂仁天皇27)年に御神宝が奉られたという記録が残されている事から、かなり以前から祭祀が行われていたと考えられています。それを裏付けるかのように、社殿の南に広がる糺の森では古代の祭祀跡が発掘されています。





鬱蒼と茂る「糺の森」。柔らかな木漏れ陽が緑を鮮やかに引き立てています。


 
 下鴨神社には「丹塗り矢伝説」と呼ばれる伝承が残されています。賀茂建角身命の娘・玉依媛命が鴨川で禊を行っていた際、1本の丹塗りの矢が上流から流れて来ました。それを持ち帰って寝床に置いていたところ不思議な事に玉依媛命は懐妊、元気な男の子を出産します。賀茂建角身命は誕生を祝う宴を七日七晩開いたのち、孫に向かって「お前の父親と思う者にこの酒を飲ませよ」と声をかけたところ、男児は「この酒を天に捧げます」と答えて屋根を突き破り、天へと上っていきました。父親は雷の神・火雷命である事が分かり、この男児は祖父と父の名前にちなんで「賀茂別雷命」と名付けられました。この賀茂別雷命は、上賀茂神社の御祭神として祀られています。





縁結びの御利益があるといわれる相生社(左)と、朱塗り色鮮やかな楼門(右)。



  平安京への遷都が行われた後、下鴨神社は王城の守護神として朝廷より厚い崇敬を受け、807(大同2)年には最高位である正一位の神階を受けます。さらには延喜式神名帳において名神大社に列せられるなど高い格式を誇る名社となり、平安時代末期には29ヶ所の社領を持つなど経済的にも恵まれていましたが、戦国時代の混乱の中でこのような荘園は次第に失われ、1582(天正9)年から始められた太閤検地のために経済的に非常に厳しい状況に陥る事となります。しかし、江戸時代には幕府によって社領が寄進され、財政的基盤も安定して再び隆盛を誇る事となりました。





青空に朱色が映える楼門


 
 下鴨神社上賀茂神社で毎年5月15日に行われる賀茂祭は、「祇園祭」や「時代祭」と並んで「京都三大祭」の1つに数えられています。祭りの歴史は古く、今から1,400年以上前の544(欽明天皇5)年4月には既に祭礼が行われたという記録が残されています。この頃は凶作による飢餓や疫病が蔓延した時期で、この鎮護のために欽明天皇が勅使を遣わされて祭礼を行ったのが起源とされています。応仁の乱の後から1693(元禄6)年までの約200年間と、1871(明治4)年から1883(明治16)年、戦中戦後の1943(昭和18)年から1952(昭和27)年までの間こそ祭礼の中断や行列の中止があったものの、京都御所から下鴨神社を経て上賀茂神社へと向かう祭礼行列は復活を遂げ、京都の初夏を彩る風物詩として現在も雅な京の名残りを今に伝えています。なお、この祭の事を「葵祭」と呼ぶのは、祭礼に用いる御所車や行列を彩る勅使、従者の衣冠や牛馬に至るまですべてを葵の葉で飾り立てた事に由来します。





楼門の正面に立つ舞殿。



 下鴨神社の境内には、「糺の森(ただすのもり)」と呼ばれる杜が広がっています。その面積は約12万4000㎡、実に甲子園球場の3倍以上の広さを誇っていますが、平安時代には約495万㎡もの森林が広がっていたといわれています。しかし、応仁の乱の真っ只中の1470(文明2)年6月の兵火に巻き込まれた際には総面積の70%が灰燼に帰したといわれています。さらに、明治維新後の上知令によって社領が没収された結果、現在の規模にまで縮小してしまいました。1983(昭和58)年には、杜全体が国の史跡の指定を受けて大切に保存されています。常緑樹だけでなく落葉樹も数多く群生している事から、鎮守の杜独特の清涼感と暖かな木漏れ日が愉しめる素晴らしい杜となっています。





舞殿の奥に建てられた下鴨神社の神門(左)と、その内陣にある本殿(右)。



 下鴨神社は「みたらし団子」発祥の地としても知られています。境内東側にある御手洗池に湧く水泡のさまにヒントを得て、下鴨神社の西にある「加茂みたらし茶屋」が作ったのがみたらし団子だといわれています。ここのみたらし団子は1本の串に5つの団子が刺されているのが特徴で、1番上の団子が少し大きめに作られていて、そこから少し間隔を空けて4つの団子が並んでいます。これは人間の姿を模しているといわれ、最初の団子が頭を、そして残りの4つの団子が両手両足を表すといわれています。





御手洗社の前に広がる御手洗池。


アクセス
・京阪電鉄本線「出町柳駅」下車、北へ徒歩10分。
・JR京都駅より京都市バス205系統、「下鴨神社前」バス停下車すぐ
下鴨神社地図  【境内図】 Copyright (C) 2000-2009 ZENRIN DataCom CO.,LTD. All Rights Reserved.

拝観料
・境内無料  ※「大炊殿」の拝観には、大人・中高生:500円、小学生:250円の拝観料が必要

拝観時間
・5時30分~18時 ※夏時間
・6時30分~17時 ※冬時間
(特別拝観「大炊殿」:10時~16時、御祈祷時間:9時~16時)


公式サイト