摂取山念仏寺
(せっしゅざん ねんぶつじ)
神戸市北区有馬町1641
神戸十三仏霊場・第9番札所
KOBE七福神・寿老人
垣根に囲われることなく直接通りに面する念仏寺。とても立ち寄りやすい寺院です。
〔宗派〕
浄土宗
〔御本尊〕
阿弥陀如来像
(あみだにょらいぞう)
温泉寺や湯泉神社に隣接する念仏寺は、1532(享徳7)年に岌誉上人を開祖として創建された浄土宗の寺院です。文献によっては1538(天文7)年創建と記されているものもあります。もともとは谷之町にありましたが、創建から半世紀以上経った慶長年間(1596~1614年)に豊臣秀吉公が正室・北政所のために建てた別邸の跡である見晴らしの良い一等地の高台に移されました。徳川家の菩提寺だった岡崎・大樹寺と同じ浄土宗の寺院だったこと、さらには様々な政治的思惑もあって、念仏寺には幕府から特別な便宜が図られていたとも言われています。
念仏寺は1703(元禄16)年に起きた有馬大火災で全焼しましたが、1711(正徳元)年に再興されました。現在の本堂はこの翌年に建てられたもので、有馬温泉の中では最も古い建築物といわれています。この寺の石垣も有馬一古いと言われており、見事な石材が使われています。ご本尊は快慶作と伝えられている阿弥陀如来像で、神戸七福神の一つ・寿老人も祀られています。また、法然上人画像の「月輪御影(つきわのみえい)」も寺宝として所蔵されています。
本堂の前には観音像(左)や少年時代の法然上人像(右)などが安置されています。
念仏寺には「沙羅樹園」と呼ばれる美しい庭園があります。「蛤石」や「雀石」と呼ばれる石があるその庭園には、樹齢270年といわれる沙羅双樹があり、6月中旬から下旬ごろに純白の花を咲かせます。これらの石組みや植栽には、豊臣家びいきの人々によるアンチ徳川家の隠されたメッセージが込められていると言われています。豊臣秀吉公の湯殿や北政所の別邸の跡に寺院を築くことで、有馬温泉から豊臣家のイメージを薄めようとした徳川幕府に対し、豊臣家への同情を禁じえなかった職人たちが、作庭する段階で『平家物語』の栄枯盛衰の象徴である沙羅双樹を植えたり、物事が大きく変化するという意味もある「雀、海に入りて蛤となる」という中国の諺にちなんで蛤石と雀石を置いたりすることで、我が世の春と豊臣家の築いた名残りを消し、権力を振りかざす徳川幕府もいつ瓦解するか分からないという秘めたメッセージを沙羅樹園に託したのではないかといわれています。
本堂の左側の御堂(左)には、「KOBE七福神」の寿老人像が祀られています(右)。
そんな「沙羅樹園」では、毎年沙羅双樹の花の見頃に『沙羅の花と一弦琴の鑑賞会』と銘打った催しが開催されています。 毎年6月に行われるこの催しでは、まず本堂でお茶と沙羅の花のイメージの茶菓子を頂き、そのあと沙羅双樹の白い花を鑑賞しながら住職による御法話と須磨琴保存会の先生方の演奏を愉しむことができます。朝9時から2時間おきに1日計4回行われる『沙羅の花と一弦琴の鑑賞会』の定員は100名で、参加料は1,500円。 参加希望者はイベントの2週間前までに①代表者の氏名②住所③電話番号④参加人数⑤ご希望の鑑賞会(第2希望まで)を記入のうえ、〒651-1401 神戸市北区有馬町828 有馬温泉観光協会総合案内所「沙羅の花と一絃琴の鑑賞会」宛てに往復ハガキでお申し込み下さい。
本堂の前にある手水鉢(左)と歌碑(右)。
アクセス
・神戸電鉄「有馬温泉駅」下車、南東へ徒歩10分
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拝観料
・無料 (開花シーズンの「沙羅庭園」はお茶・お菓子付きで入場料500円)
拝観時間
・9時~17時