神戸の空の下で。~街角の歴史発見~

足かけ8年、150万PV突破。「近畿の史跡めぐり」のサブタイトルも、範囲が広がったために少し変更しました。

滋賀・石山寺。

2008年04月13日 | ◆滋賀県


石光山石山寺

(せっこうざん いしやまでら)
滋賀県大津市石山寺1-1-1




西国三十三ヶ所観音霊場・第13番札所
神仏霊場近江 欣求の道・第14番札所







〔宗派〕
東寺真言宗

〔御本尊〕
如意輪観音像
(にょいりんかんのんぞう)


 「近畿の水瓶」と呼ばれ、約275億立方mの貯水量で京阪神の1,400万人の飲料水を支える日本最大の湖・琵琶湖。その湖水はまず瀬田川へと流れ込みますが、その川のほとりに、奈良時代から1200年以上もの長きに渡って法灯を護り続けている古刹があります。平安時代を代表する多くの文学作品にもその名が見られ、かの紫式部はこの地を参拝した折に『源氏物語』の着想を得たとも言われており、京都・清水寺、奈良・長谷寺と並ぶ観音霊場のひとつと言われている真言宗の寺院、石山寺です。





境内は「源氏物語千年紀」イベントの演出が施されていました。



 745(天平17)年のこと、東大寺大仏の造立を発願し、大仏像に施す鍍金用の黄金を求めていた聖武天皇の勅願を受けた良弁僧正は、当時「金が湧く山」と信じられていた吉野・金峯山で祈願を行いました。その時夢枕に現れた金剛蔵王「金峯山の黄金は56億7千万年後の弥勒菩薩による衆生救済の時に用いるため使うことは出来ない。琵琶湖の南に観音菩薩が姿を現される土地があるので、その地において黄金産出の祈願を続けるがよい」というお告げに従って瀬田川のほとりを訪れた良弁僧正は、比良明神の化身である古老に導かれて石山に登り、巨大な岩の上に聖徳太子の念持仏といわれる如意輪観音を安置して祈願を続けました。それから2年後の747(天平19)年、祈りが通じたのか陸奥国から黄金が産出されるようになったため、草庵を閉じて如意輪観音を移そうとしたところ、不思議なことに岩に張り付いたまま一向に動く気配がありません。そのため、この地に如意輪観音像を祀る堂宇を建てたのが石山寺の始まりといわれています。




 
石段を登ると、蓮如堂(左)や弘法大師をお祀りする御影堂(右)などが立ち並びます。


「石山寺」という寺号の由来となったといわれている硅灰石。




 761(天平宝字5)年にはこの地に造石山寺所が設置され、造東大寺司からも仏師をはじめとした人材が派遣されるなど、国家的プロジェクトとして大規模な伽藍整備が行われました。9世紀末に聖宝僧正が座主に就いた頃に真言密教道場なった石山寺には多くの貴人たちが参拝しました。『枕草子』や『蜻蛉日記』、『更級日記』にも取り上げられ、紫式部石山寺を訪れた際に『源氏物語』の着想を得たといわれています。本堂には「紫式部の間」が設けられ、山上の豊浄殿では「。紫式部展」が開催されています。源氏苑にも紫式部像が建てられているなど、境内の至る所で『源氏物語』の香りを愉しむことが出来ます。





現在の本堂の内陣は1096(永長元)年に再建されたもの。雷などで被害を受けた
外陣は1600(慶長5)年に淀君の寄進によって再建されました。

 
本堂に設けられた「紫式部源氏物語の間」。この部屋から眺めた名月の美しさに心を
打たれた紫式部は『源氏物語』の執筆を思い立ったといわれています。


 2008(平成20)年は『源氏物語』が生まれてちょうど1000年目にあたるため、ゆかりのある名所旧跡では様々なイベントが行われています。滋賀県でも「源氏物語千年紀in湖都大津」と銘打って石山寺滋賀県立近代美術館大津市歴史博物館などで12月まで多彩なイベントが行われます。なみなみと湖水を湛える琵琶湖からの涼風を感じながら、平安文学の香りを味わうのも一興ではないでしょうか。



「源氏物語千年紀in湖都大津」実行委員会公式サイト



 
境内奥の高台にある「月見亭」の傍からは瀬田川の流れが一望できます(左)
右の写真は1194(建久5)年に源頼朝公の寄進によって建立された多宝塔。


アクセス
京阪電車「石山寺駅」下車、南へ徒歩10分
石山寺地図  【境内図】  Copyright (C) 2000-2006 ZENRIN DataCom CO.,LTD. All Rights Reserved.

拝観料
・大人500円、小学生以下250円 (※駐車場:140台)

拝観時間
・9時~16時30分 (受付は16時まで)

公式サイト




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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お琴 (リン)
2013-01-28 23:44:33
こんばんは。記念撮影ならここ。
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