ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

缶コーヒーは悪魔の飲物か

2017-09-25 10:40:50 | その他
知らず知らずに体の不調を生み出し、日々のイライラから肥満・老化・病気までを生み出すのが缶コーヒーをはじめ清涼飲料水で、これが私たちの体を蝕む悪魔の飲物だという記事を読みました。

私は勤務していたころは、朝研究所に着くと必ず缶コーヒーを1本買い、それを飲みながらその日の予定を確認するというような作業をするというのが日課になっていました。

私はコーヒーはかなり好きなのですが、缶コーヒーというのはコーヒーとは違う飲物と考えていました。この記事にありますように「砂糖の塊が溶けた」コーヒー的な飲物として、それなりに缶コーヒーを愛飲していました。今でも外でコーヒーが飲みたいときはスタバなどで購入し、甘さがほしい時は自販機で缶コーヒーを買っています。

この缶コーヒー類には微糖などの表示があっても砂糖として十数グラムの糖質が入っているようです。ここで問題になるのが血糖値の上昇としています。パンやご飯などの炭水化物を食べてももちろん血糖値は上昇しますが、消化吸収という過程を経ますのでその上がり方は穏やかになります。

その点液体である大量の糖質を含む飲料を飲むと、急激な血糖値の上昇、いわゆる血糖値スパイクが現れるようです。これを数値としてみると健康な人は空腹時の血糖値は80~90ぐらいですが(単位は省略します)、通常の炭水化物を含んだ食事を摂ると、1時間後に120ぐらいまで上がり、やがてゆっくり下降していきます。

このように穏やかなカーブであれば問題はないようですが、缶コーヒーでは30分程度で140まで上昇し、その後急激に落ちてしまいます。このように急激に上昇するとセロトニンやドーパミンといった脳内物質が分泌されて、至福点と言われるハイな気分になるようです。

一方で膵臓から大量のインスリンが放出され、血糖値が下がるとハイな気分から一転、イライラしたり吐き気や眠気に襲われるなど不快な症状が出ます。しかし私はこういった事の経験がありません。特にハイになることもありませんが、そのあと不快な症状が出た記憶はありません。

私は割とゆっくり缶コーヒーを飲むせいかもしれませんが、それほどの症状は出ないような気がします。砂糖を飲むとすぐ血糖値が上がるということ自体あまり化学的ではないと思います。

砂糖はスクロースというブドウ糖とフラクトースが結合した二糖類です。この形のままだとたぶん血糖値(グルコースの値)に反映されないような気がします。つまり砂糖を摂取しても、体内で分解されてグルコースが出てきて初めて血糖値の上昇になるわけです。

缶コーヒーを一日何本も飲むのは問題かもしれませんが、1,2本を間隔をあけて飲む分には問題がないような気がします。


胃ガンの多い日本人ピロリ菌のタンパク質

2017-09-24 10:41:41 | 健康・医療
東京大学の研究グループが、日本人には胃ガンが多いがその背景にはピロリ菌が作るタンパク質の結合様式に違いがあることを突き止めました。

これまでも胃ガンの発症にはピロリ菌の感染が関わっていると考えられていましたが、日本を含む東アジアの諸国と欧米のピロリ菌には発ガン性の強さに差があるといわれていました。今回の研究で、東アジアと欧米のピロリ菌には生産するタンパク質の構造に違いがあり、それが発ガン性の高さの違いにつながっていることが判明しました。

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、ヒトの胃粘膜に住み着く病原細菌で、感染すると胃潰瘍や萎縮性胃炎を引き起こすほか、胃ガンの発症原因にもなるといわれています。

しかし私はまだこの理論はやや疑っています。本来胃の中は非常に強い胃酸がありますので、細菌が住み着くことは無いと思われていました。しかしこのピロリ菌はウレアーゼという酵素を持っており、胃内の尿素を分解しアンモニアを生産し自分の周辺だけ中性条件にしているといわれています。

細菌というごくミクロの世界ではありうるのかもしれませんが、科学的に考えると奇妙な現象で、ピロリ菌は好酸性細菌ではないかと思っています。こういった細菌が炎症を起こすことは有りますが、遺伝子を変異させることはないような気がします。私はピロリ菌の検査もしていませんし、当然除菌などやっていません。

さて研究グループによると、発ガンの過程にはピロリ菌が作り出すあるタンパク質が関わっており、これがヒトの胃細胞に侵入してある種の酵素と結びつくことで、その酵素が異常に活性化し、細胞のガン化が促進されるとしています。

今回研究グループは日本と欧米の2種のピロリ菌が生産するタンパク質を原子レベルで分析し、アミノ酸残基の違いによる立体構造の違いが発ガン活性に影響していることを解明しました。

欧米型の持つアスパラギン酸残基よりも東アジア型の持つフェニルアラニン残基のほうが、よりこのタンパク質と酵素の結合を安定化させるようです。またこの安定した結合が胃細胞のガン化を強力に誘導するとしています。

今回の研究は、胃ガン発生のメカニズムの化学的な解明に役立つほか、胃ガンの予防や早期治療の開発などにもつながる可能性があるとしています。

私としてはこの酵素と結びついたタンパク質が、なぜ胃ガンの促進になるかのメカニズムのほうが重要な気がしますが、こういった基礎的な研究の積み重ねが全体の解明には必要なのかもしれません。


スーパーの「もやし」安すぎ問題

2017-09-23 10:45:07 | その他
これは時事問題という程のことでは無いのですが、スーパーでのもやしが安売りされ過ぎて話題になっているようです。

先日私もかみさんとスーパーに行ったとき、もやしが1パック17円というのがあって驚きました。こういった状況に工業組合もやし生産者協会が、「長年にわたり原料種子高騰や賃金上昇などに対応し続けたことにより、体力が消耗している。経費削減の努力は限界を超え、健全な経営ができていない」と窮状を訴えています。

同協会によれば、もやしの小売価格はここ12年ほどで約10%下落し、40年前の価格より安いのに対し、原料種子や人件費などの生産コストは上がり続けているようです。

なぜもやしは安売りされてしまうのかというと、青果コーナーで一番安い上に、工場の中で生産される野菜であるため、一年中安定供給・安定価格であることを背景に、目玉品にしやすいためのようです。またスーパーの事情としても、メロンを1個売れずに廃棄して2000円の損金を出すより、もやし1パック20円なら50パック廃棄しても1000円の損金で済むといったこともあるようです。

一般的なもやしとされる「緑豆もやし」は、異常な安売りによってかつては230社以上あったもやし生産者も、この10年で100社以上が廃業になっているようです。こういった状況を考えると、賃金や緑豆の種の高騰により現在で1パック40円ぐらいが適正価格となるようです。

今後のもやし業界としては、適正な価格まで値上げすると同時に、独自ブランドの商品を開発するなど、全体的にプレミアム化が進むと考えられます。ここ数年では通常のもやしの2〜3倍程度の価格の「機能性もやし」市場が拡大しているようです。

その代表として大豆を発芽させた大豆もやしが上げられます。これは大豆ともやしの栄養が一度に摂取できる食材で、緑豆もやしに比べると平均してあらゆる栄養素が2〜3倍含まれており、なかには生鮮食品としては初の「機能性表示食品」となっているのもあるようです。

また包装も工夫されており、電子レンジ対応パックなどもあり、袋のまま電子レンジにかけて食べられるような仕様になっているようです。このような付加価値を付けたものによって、従来のもやしも価格が引き上げられるかどうかは難しいところのような気もします。

私は特にもやしが好きというわけではありませんが、日本の食卓には欠かせないものだと思っています。どこがどう動けばこういう状況が変わるのかわかりませんが、商品として不適切な価格を適正に戻す努力は続けてほしいものです。


肥満のメカニズム脳内酵素が関与

2017-09-22 10:40:19 | 健康・医療
自然科学研究機構基礎生物学研究所の研究グループは、肥満の場合は脳の中での特定の酵素が増え、食欲を抑制する体内のホルモンの働きをブロックしていることを見出し発表しました。

食事をすると、体内の脂肪細胞から「レプチン」というホルモンが分泌され、脳内の摂食中枢に働きかけて食欲を抑制しています。レプチンは食欲をつかさどるペプチドホルモンとして注目されています。

これは脂肪細胞から血管に入り、食欲と代謝の調整のためにおおまかな体脂肪量を脳に伝えるとされています。そのため肥満抑制のために利用できないかという研究はいろいろされていました。しかしペプチドのため脳への伝達には複数の神経ペプチド類が関与しており、投与すれば食欲が抑えられるという結果は出ていないようです。

また過剰のレプチンは交感神経の活動を亢進させ、血管を収縮させることにより血圧を上昇させるということも分かってきました。このようにレプチンは食料摂取量とエネルギーの消費に関連しており、研究が進展しているところと言えます。

肥満の場合は、食欲が止まらない「レプチン抵抗性」が起きており、このメカニズムは不明でした。研究グループは、肥満が進むと脳内に発現するある酵素に着目しました。通常のマウスとこの酵素のノックアウトマウス(遺伝子が欠損してこの酵素を作れないマウス)各12匹に、生後16週まで高脂肪食を与えました。

その結果、ノックアウトマウスは体重が14%、体脂肪は40%も少なくなりました。高脂肪食を食べ続けるとこの酵素が増え、レプチン抵抗性が生じて肥満が進みますが、酵素が欠損している場合は抵抗性が生じずに摂食量が抑えられました。

この結果よりこの酵素がレプチンの食欲抑制を妨げていると結論付けました。ただこの結果だけではレプチンの関与の証明にはなりませんが、たぶんここには出ていないようなデータが存在するのかもしれません。

この酵素には長い略号が付いていますが、それから推測するとチロシンというアミノ酸のリン酸化酵素のようです。この酵素がどうやってレプチンを妨げるのかわかりませんが、脳内の酵素ですので欠損させると他の異常が生じるような気もします。

研究グループは、この酵素が血糖値を下げるインスリンの働きを妨げていることも証明しており、酵素の働きを抑制する薬を開発できれば、肥満と糖尿病の双方を改善できる可能性があるとしています。

私は肥満というのは、体質的な色々な要素が関連しており、それほど単純なものではないような気がしますが、肥満の一つのメカニズムが解明されたといえます。


パーキンソン病の進行抑制化合物を開発

2017-09-21 10:39:36 | 健康・医療
細胞のエネルギーの基となるATP(アデノシン三リン酸)の量を調整することで、パーキンソン病の進行を抑える化合物を京都大学などの研究グループが開発しました。

パーキンソン病は千人に1人が発症し、神経伝達物質であるドーパミンを作る神経細胞が変性し、手足の震えから進行して運動機能が失われる病気です。

このドーパミンの減少によることが分かってから、ドーパミン自身の投与が検討されましたが、小さな分子なのに脳血管関門という脳に入るためのバリアーを通過しないことが分かりました。

そこで脳内に入ってから容易にドーパミンに変換されるアミノ酸の一種であるL-DOPAが見つかり、1960年代に症状を改善する治療薬として開発されました。これは天然のアミノ酸ですが、長期服用していると副作用も出るようで、その後色々な薬が開発されています。

しかし大部分がドーパミンの代わりにその受容体を刺激するようなメカニズムが多く、これもいわゆる対症療法であり、パーキンソン病の原因を根本的に治療する方法は見つかっていません。

この研究グループは、パーキンソン病で生ずるATPの減少に着目しました。このATPの産生を促進する作用を持つ化合物を約10万種類の化合物から探索し、「エスクレチン」という化合物を見出しました。

このエスクレチンというのは私にとってややなじみのある化合物で、クマリンと言われる化合物の類縁体です。もともとは植物の生産する青色の蛍光化合物で、色々な生理活性、特に抗凝固作用が知られています。私がクマリン系の化合物を扱っていた時、エスクレチンも原料の一つとして使用していました。確か化粧品会社から入手しましたので、日焼け止めなどにも使われているようです。

研究グループはこのエスクレチンをパーキンソン病のモデルマウスに投与したところ、ATPの低下が抑えられ細胞死が少なくなり、運動能力の低下も抑制されたとしています。

研究グループは、ATP量の低下が背景にある病気は多く、他の神経疾患に応用できる可能性は高いとしています。ATPは人間にとってエネルギーの源であり、あらゆるところに存在する物質ですが、今までこの分解を抑えたり産生を促す物質というのは聞いたことがありませんでした。

今回の方法もパーキンソン病の根本治療になるものではありませんが、ATPという普遍的な化合物を増やしてやると、症状が緩和されるというのは面白い発想と言えるのかもしれません。