鳥取大学医学部付属病院などの研究グループは、体内にできるベータヒドロキシ酪酸(BHB)という物質にうつ病を改善する効果があることを確認しました。
BHBは飢餓時などに肝臓で生成される脳の緊急エネルギー源で、ブドウ糖を補う役割があります。うつ病はストレスなどで脳内の炎症性物質が増え、意欲低下などの症状が発症するものです。
2年半前にはアメリカの研究グループが、BHBに炎症抑制作用があることが報告されていましたが、研究グループは実際にうつ症状の改善につながるかを動物実験で確かめました。このBHBは生体内物質としては注目されている物の一つです。
この化合物自体はケトンという部分を含まないのですが、ケトン体の1種とされており、色々な生理活性作用を示しています。特に重要なのがエネルギー源として使われることで、前述の脳だけでなく色々な臓器や筋肉でのエネルギーとなります。
これらは主に肝臓で脂肪酸代謝の産物として、アセチルCoAから生産されています。ケトン体はアセト酢酸やアセトンがありますが、BHBが最も多くの作用を示すようです。ちなみにケトン尿症という病気がありますが、これはこのケトン体を利用することができなくなり、血中濃度が上昇し尿中に排泄されるものです。
またアセト酢酸やBHBは弱酸性物質ですので、やはり血液中に高濃度たまると酸血症を引き起こし、ケトアシドーシスと呼ばれています。このように体内では一般的な物質ですが、過剰存在すると悪い影響があるようです。
最近はBHBに抗酸化作用があり、美容にも良いとされています。研究グループの実験では、BHBを事前に投与したラットと投与していないラット16匹ずつを使用し、夜間にライトなどで1か月間の慢性的ストレスを加え、うつ状態に誘導しました。その後うつ状態の行動として水中に停止してしまう「不動時間」を比較しました。
その結果、BHBを投与したラットの不動時間は平均約30%少なくなりました。また円筒に1時間入れて急性ストレスを与える実験も行い、BHBを投与した20匹の脳内の炎症性物質は、同様に平均約30%少なくなったとしています。
現在の抗うつ薬は、脳の機能障害によって欠乏する物質を補充するというのが主流のようですが、研究グループはうつ病を抑制する新しい治療の可能性が出てきたと期待しています。こういった生体内物質であれば、毒性などは問題ないはずですが、やはりそのもの自身を治療薬として使用することは難しいような気がします。
実験結果もそれほど大きな効果が出ているわけではありませんが、こういった知見を基に新たな治療薬開発の一歩とはなるような気もします。
BHBは飢餓時などに肝臓で生成される脳の緊急エネルギー源で、ブドウ糖を補う役割があります。うつ病はストレスなどで脳内の炎症性物質が増え、意欲低下などの症状が発症するものです。
2年半前にはアメリカの研究グループが、BHBに炎症抑制作用があることが報告されていましたが、研究グループは実際にうつ症状の改善につながるかを動物実験で確かめました。このBHBは生体内物質としては注目されている物の一つです。
この化合物自体はケトンという部分を含まないのですが、ケトン体の1種とされており、色々な生理活性作用を示しています。特に重要なのがエネルギー源として使われることで、前述の脳だけでなく色々な臓器や筋肉でのエネルギーとなります。
これらは主に肝臓で脂肪酸代謝の産物として、アセチルCoAから生産されています。ケトン体はアセト酢酸やアセトンがありますが、BHBが最も多くの作用を示すようです。ちなみにケトン尿症という病気がありますが、これはこのケトン体を利用することができなくなり、血中濃度が上昇し尿中に排泄されるものです。
またアセト酢酸やBHBは弱酸性物質ですので、やはり血液中に高濃度たまると酸血症を引き起こし、ケトアシドーシスと呼ばれています。このように体内では一般的な物質ですが、過剰存在すると悪い影響があるようです。
最近はBHBに抗酸化作用があり、美容にも良いとされています。研究グループの実験では、BHBを事前に投与したラットと投与していないラット16匹ずつを使用し、夜間にライトなどで1か月間の慢性的ストレスを加え、うつ状態に誘導しました。その後うつ状態の行動として水中に停止してしまう「不動時間」を比較しました。
その結果、BHBを投与したラットの不動時間は平均約30%少なくなりました。また円筒に1時間入れて急性ストレスを与える実験も行い、BHBを投与した20匹の脳内の炎症性物質は、同様に平均約30%少なくなったとしています。
現在の抗うつ薬は、脳の機能障害によって欠乏する物質を補充するというのが主流のようですが、研究グループはうつ病を抑制する新しい治療の可能性が出てきたと期待しています。こういった生体内物質であれば、毒性などは問題ないはずですが、やはりそのもの自身を治療薬として使用することは難しいような気がします。
実験結果もそれほど大きな効果が出ているわけではありませんが、こういった知見を基に新たな治療薬開発の一歩とはなるような気もします。