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肥満のメカニズム脳内酵素が関与

2017-09-22 10:40:19 | 健康・医療
自然科学研究機構基礎生物学研究所の研究グループは、肥満の場合は脳の中での特定の酵素が増え、食欲を抑制する体内のホルモンの働きをブロックしていることを見出し発表しました。

食事をすると、体内の脂肪細胞から「レプチン」というホルモンが分泌され、脳内の摂食中枢に働きかけて食欲を抑制しています。レプチンは食欲をつかさどるペプチドホルモンとして注目されています。

これは脂肪細胞から血管に入り、食欲と代謝の調整のためにおおまかな体脂肪量を脳に伝えるとされています。そのため肥満抑制のために利用できないかという研究はいろいろされていました。しかしペプチドのため脳への伝達には複数の神経ペプチド類が関与しており、投与すれば食欲が抑えられるという結果は出ていないようです。

また過剰のレプチンは交感神経の活動を亢進させ、血管を収縮させることにより血圧を上昇させるということも分かってきました。このようにレプチンは食料摂取量とエネルギーの消費に関連しており、研究が進展しているところと言えます。

肥満の場合は、食欲が止まらない「レプチン抵抗性」が起きており、このメカニズムは不明でした。研究グループは、肥満が進むと脳内に発現するある酵素に着目しました。通常のマウスとこの酵素のノックアウトマウス(遺伝子が欠損してこの酵素を作れないマウス)各12匹に、生後16週まで高脂肪食を与えました。

その結果、ノックアウトマウスは体重が14%、体脂肪は40%も少なくなりました。高脂肪食を食べ続けるとこの酵素が増え、レプチン抵抗性が生じて肥満が進みますが、酵素が欠損している場合は抵抗性が生じずに摂食量が抑えられました。

この結果よりこの酵素がレプチンの食欲抑制を妨げていると結論付けました。ただこの結果だけではレプチンの関与の証明にはなりませんが、たぶんここには出ていないようなデータが存在するのかもしれません。

この酵素には長い略号が付いていますが、それから推測するとチロシンというアミノ酸のリン酸化酵素のようです。この酵素がどうやってレプチンを妨げるのかわかりませんが、脳内の酵素ですので欠損させると他の異常が生じるような気もします。

研究グループは、この酵素が血糖値を下げるインスリンの働きを妨げていることも証明しており、酵素の働きを抑制する薬を開発できれば、肥満と糖尿病の双方を改善できる可能性があるとしています。

私は肥満というのは、体質的な色々な要素が関連しており、それほど単純なものではないような気がしますが、肥満の一つのメカニズムが解明されたといえます。


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