ごっとさんのブログ

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怪しげな免疫療法になぜ患者は惹かれるのか

2017-09-08 10:43:50 | 健康・医療
ガンの免疫療法は保険が適用されないため高額の医療費がかかり、科学的に効果が証明されていないものも多いのに実際に行う患者が多いようです。

この辺の事情についての記事が出ていました。確かに免疫療法でネット検索すると、いわゆる科学的に取り組んでいる大学などのサイトも出ますが、大部分が何とかクリニックばかり出てくるようです。こういったところをあまり詳しく見ているわけではないのですが、タイトルのように怪しげなところが多いような気もします。

この免疫療法の多くは、患者から血液を採り本来はその中からT細胞といった特殊な細胞を分離し、これに患者のガン組織を加えて培養するのですが、たぶんこの操作は手術をした大病院でなくては難しいので、現在試みられているゲノム編集技術を使うのかもしれません。

本当の免疫療法は、こういった操作により患者の免疫細胞がガン細胞を攻撃するように改質して患者に戻すものですが、非常に複雑な操作が必要で通常のクリニックなどでできるとは思えません。

この記事では膵臓ガンの患者の例が出ていましたが、診断時に肝臓や腸にも転移しており手術はできず抗ガン剤だけの治療となりました。このケースでは担当医の対応が不親切だったこともあり、標準治療だけではなく独自の治療法を求めたようです。

食餌療法などを試みたのちにこの免疫療法を行ったようです。しかしもう末期になっており免疫療法の途中で亡くなったのですが、それでも数百万の医療費を必要としたようです。こういった場合は医師とのコミュニケーションが必要とされていますが、患者も遠慮したり医師側も適切な対応ができないといったところが現状のようです。

特に最近は免疫チェックポイント阻害剤という新薬が、末期がんの患者に有効であったというようなニュースも多く、免疫療法を頼ることが多くなっているようです。

ついでにこの新薬について感想を述べると、夢の新薬的な扱われ方をしていますが、高額で話題のオプジーポでも有効率は20%とされています。つまり色々な状況がうまくこの薬に合う人には効果が出るが、どういう人に良いかは分かっていません。通常の抗ガン剤も有効率は30%程度とされており、これも低い値ですがこれよりも効果が少ない薬は、夢の新薬ではない様な気がします。

免疫療法の話に戻りますが、結局患者は病院にかかっていても、もっと良い治療法はないかや現在の治療法で大丈夫かといった不安が付きまとうようです。本来こういった不安をなくすのが医療関係者の仕事なのですが、どうも現在の医療制度ではやむを得ない部分もあるようです。こういった怪しげな治療を取り締まるべきという声もあるようですが、難しい問題のような気もします。