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日本人に新型コロナが少ない「BCG仮説」は正しかったか

2023-05-16 10:32:11 | 健康・医療
新型コロナも分類が5類に移行し、インフルエンザなどと同じ扱いになりました。

全数把握も行われませんのでどの程度流行しているかは明確ではなくなりましたが、3年も続いたコロナ騒ぎも一段落したといえるようです。

この状況になってもコロナワクチンの6回目の接種券が来ましたが、接種すべきかは考慮中です。私はワクチンの多重接種には懐疑的なのですが、無料でもあり副反応もほとんど出ていませんので、受けても良いかという方向になるかもしれません。

さて2020年にコロナ禍が始まってからしばらくは、日本の感染者数が海外に比べて非常に少ないことが話題となりました。この理由について色々な仮説が出され、専門家も含めて議論されたというのは懐かしい記憶といえるようになりました。

実際はコロナワクチン接種などが進み、特に日本の感染者が少ないということにはなりませんでしたので、自然消滅した感があります。私もそういった仮説をこのブログでも取り上げ、当時の解説を評価したりしていました。

そのうちのひとつにBCGがコロナの予防に役立つという「BCG仮説」がありました。このBCG仮説は海外でも取り上げられたようで、この仮説に基づく臨床試験が実施され、その結果が最近発表になりました。

BCGは弱毒化した結核菌から作られる生ワクチンで、日本は結核の中程度のまん延国でしたので、小児期の重篤な結核を予防するためBCGが定期接種されています。欧米の多くの国では結核があまり流行していないので、定期接種されていませんでした。

さてBCGの臨床試験は、オーストラリア、オランダ、スペイン、イギリスなどの4000人近くの医療従事者を対象に実施されました。BCGを接種する介入群と生理食塩水を接種する対照群にランダムに分け、6カ月間追跡し新型コロナの発症及び重症化を比較しました。

症状のある新型コロナの発症は、介入群で14.7%、対照群で12.3%であり有意差はありませんでした。重症化も介入群で7.6%、対照群で6.5%で、やはり有意差はありません。この研究ではBCGの新型コロナに対する予防効果はないという事が明らかになりました。

通常このような否定的な結果が出ると、なかなか一流のジャーナルには掲載されないのですが、やはりこの研究は注目度が高かったためといえるようです。

この研究が実施された時期は、まだ新型コロナワクチンもできておらず、何でも試してみようという危機感の表れだったのかもしれません。一般にひとつの研究結果で判断してはいけないといわれていますが、この「BCG仮説」は否定されたといっても良いでしょう。

やはり新型コロナの発生初期は、この新しい感染症をいかに恐れていたかを示す研究といえるような気がします。


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