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「ガン」はどのくらい遺伝する病気なのか

2023-05-17 10:39:01 | 健康・医療
かみさんは両親、祖父母だけでなく親族の多くがガンで亡くなっていますので、自分は「ガン家系」ではないかと心配しています。

最近「ガン」はむしろ「遺伝しにくい病気」であるという記事を見ました。遺伝によって発生するガンは確かにあり、よく知られているのが乳ガンの一種である遺伝性乳ガンです。

BRCA1またはBRCA2という遺伝子に異常が起きて、それをそのまま受け継ぐことで40〜80%の確率で乳がんになります。問題は遺伝性のガンがどのくらいあるかという事です。

近年ゲノムワイド関連解析(GWAS)という解析技術の発展により、ゲノム全体を見渡してSNP、すなわち塩基1文字の違いと病気の起こりやすさの関連を調べられるようになっています。

このなかで1万6000組の双子を対象とする複数の調査を総合的に分析した研究があります。欧州で実施されたもので、ガンの発生に遺伝がどのくらい影響するかを調べたものです。

一卵性双生児は身体の設計図が完全に同じで、もし遺伝だけで決まる病気が伝わっていれば2人そろって同じ病気になるはずです。これに対して1人が発症してももう1人が同じ病気になる確率が仮に40%だったとしたら、その病気が遺伝する確率は40%と推定できます。

2016年の公表された研究結果を見ると、遺伝の影響は大腸ガンが11.3%、乳ガンは11.2%、肺ガン9.9%、胃ガン8.3%、調べたガンの中で最も大きかった前立腺ガンでも約19%しかありませんでした。

これは意外に少ない数字といえるようです。乳ガンについては日本人のデータがあり、BRCA1などの遺伝子にもともと起きていた異常を原因とする乳ガンが全体の5〜10%を占めています。

欧州の研究によると、アレルギー性の病気である気管支喘息は遺伝の影響は48.6%、糖尿病とアルツハイマー型認知症はいずれも32%台、片頭痛は約27%でした。これらの病気と比べると、がんはむしろ遺伝しにくい病気だといえます。

これを裏付けているのが、ハワイやブラジルなどの海外に移住した日系人のガンの発生率です。詳細は省略しますが、海外に移住した日系一世も、胃ガン、前立腺ガン、乳ガン全てで、ガンの発生率が日本ではなく海外の移住地の発生率に近づいていることが分かりました。

つまりガンの発症には遺伝的要因より環境的要因が大きいことが明らかになっています。そのほか生活習慣とガンの発生率の関係なども調べられていますが、結論としてはガンと遺伝との関連は非常に少ないというものです。

これはガンが遺伝子の変異による細胞の病気という考えからも、ほとんど遺伝しないというのは納得できるものといえそうです。


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